なってるハウス通信 第3号  2005年7月1日発行

編集:なってるハウス・スタッフ(広沢、有永、小林)   special thanks:芝田文乃 

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今月のピックアップ・アーティスト


泉 邦宏いずみ くにひろ (sax)
「まっすぐな音、そしてポストフリージャズへの一つの解答」


泉邦宏さんのサイト:きたから通信ー泉邦宏
 泉邦宏さんの魅力はどこにあるか?まずsaxの音色が良い。まっすぐでゴマカシがない。一度聞くと他のsax吹きと 区別がつく。

 ジャズを演奏しようとするミュージシャンが陥りやすい罠に、先人の偉業を大事にするあまり音楽としてのエネル ギーが削がれてしまうということがよくあると思う。またそういった演奏を好むジャズファンが多いのも事実だ。い わく「2コーラス目のあそこで誰それのフレーズを吹いていた」等。物真似のうまいことが良いことだった。泉さん は、聞いたとたんに泉さんだ。誰それに似ていると思う前に圧倒的な音量と音色にやられてしまう。「今ここで俺は 生きている!!」という思いを、音で叩きつけられる。いわゆるバップのフレーズは吹かないからジャズとしては間 違っているかもしれない。しかしたぶん「音楽」としては正解なのだ。何よりもドキドキさせてくれる。手垢のつい たツーファイブのフレーズは吹かないかわりに、「今」の「泉邦宏」を吹いてくれる。すばらしい事だと思う。

 また独自の音楽観がある。昨年発売した自宅で多重録音したCD「馬鹿が牛車でやってくる」は泉さんの弁によると 「泉邦宏という地方にある泉邦宏という村に住んでいる泉邦宏という原住民たちの演奏している民族音楽」なんだそ うだ。また「みんなが自分ひとりひとりの民族音楽を演奏するようになればいいのに」とも発言している。1960 年以降に、それまでのフリージャズへの一つの解答としてポストフリージャズという運動があった。その中で「アー トアンサンブルオブシカゴ」やドンチェリーが民族音楽を基礎に置いた視線から、もう一度ジャズを再構築していっ た。現在、泉さんがやろうとしているのは、さらにその先のことのように感じられる。つまりポスト・ポストフリー ジャズだ。今回はなんと自分自身が民族音楽となってしまう事でジャズやフリージャズという音楽の垣根を飛び越え 自分のやっている事を正当化してしまうという画期的な方法だ。確かにあの音が間違っていると言っても、うちの地 方ではこうですからと言ってしまえば良いのだ。米をサラダにしていても、よその国の風習なら納得するしかない。 それを間違いと決めつけるのは傲慢以外の何ものではない。そこにはあるのはただ好きか嫌いかの判断だけだ。

 (泉邦宏 撮影:芝田文乃

 そして何よりもそれらを支えているのは「音楽」を愛し、真剣に取り組んでいる姿勢だ。この3年半ほど毎月その 演奏に接しているが、そのあいだにもずいぶんと変化しているように思う。まだ泉さんの音楽に触れていない人や、 以前観て分かったような気がしている人はぜひ一度観に来てください。「なってるハウス」が自信を持ってお勧めで きる「今」のそしてこれからのミュージシャンです。

(店長:広沢)
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合羽橋なってるハウス日記    朝顔市と四万六千日


 「なってるハウス」は何処にあるかと聞かれると「合羽橋道具街のはしっこ」と答えているのだが、「合羽橋」で 話が通じない場合やミエをはりたい時は「浅草」と答えている。でも実は「浅草」というのは、正確ではない。 「浅草」に住んでいると胸をはって言っていいのは、「三社祭」に参加できる地区に住んでいる人だけなんだと思う。 ちょうど道具街の道の向こうがわまでなのだ。とは言っても8月末に「つくば新線」が開通すると最寄りの駅が 「つくば新線」の「浅草駅」になりそうなので、それ以降は「浅草」と答えてしまうかもしれない。

 今の所は日比谷線の「入谷」がもっとも最寄りの駅だ。山の手線なら「鶯谷」。毎年7月6日から3日間 「入谷」と「鶯谷」のあいだにある「鬼子母神」の境内を中心にして「朝顔市」が開催される。明治のころに植木 屋が沢山あった名残りだそうだ。これはなかなか壮観だ。なによりも朝顔というのが、夏らしくて良い。お値段は 「なってるハウス」でライブを観てビールを2杯飲んだのと同じ値段。ちょっと高いか?まあ縁起物だしいいんじ ゃないかとも思う。ただ昼にいくと朝顔を売っている屋台がみな上にブルーシートをかけていてむちゃくちゃ暑い。 人も多いし夜は12時ごろまでやっているみたいだから、日が暮れてから行くのが 賢いかもしれない。

 7月9日と10日は浅草寺の「ほおずき市」だ。正確には「四万六千日」(「しまんろくせんにち」と読む)。 この日にお参りすると四万六千日分の御利益があるそうだ。
別に不精をしているわけではなく、昔丁稚奉公している人たちのために出来た方便だと本で読んだ事がある。 間違っているかもしれないが、良い話なのでそのままこれを信じている。風鈴なんかも売っていてこれも 夏らしくてよろしい。

 で、7月の一番最後の土曜日は「隅田川花火大会」だ。昨年はわざわざ店を休みにして見に行ったのだが 圧巻だった。上げる方も気合いが入っているみたいで見た事もないような花火がバンバン上がる。 おかしいのは浅草警察署の近所の家は見晴らしのよさそうな車道にイスや机を持ち出したり、レジャーマットを 引いたりして宴会をしている事だ。交通ルールもへったくれもない。事情がわからず入り込んでしまった車は たちまち立ち往生する。

 7月の「なってるハウス」周辺は、なかなか夏らしいイベントが盛り沢山で今から楽しみだ。

・「あさがお市」7/6(水)〜8(金)
 朝5:00(!)〜24:00
 「入谷駅」すぐそば の「入谷鬼子母神」あたり
・「四万六千日」7/9(土)〜10(日)
 浅草寺 一日中(!!)
・「隅田川花火大会」7/30(土)
 19:10〜20:30開催予定


(店長:広沢)
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カウンターの向こうから (スタッフ雑感)    「なってるハウスの壁」


 普段のなってるハウスの壁には、店の名前の由来ともなっているアイルランドの画家 グレアム・ナッテルさんの味わい深い絵画が展示されていますが、時々に応じて国内 の様々なアーティストの個展も開催しています。記憶に新しいところでは、昨年末に 開催した室舘洋一・彩親子の親子展。「渋さ知らズ」でも活躍中の室舘彩さんですが、 絵の才能もなかなかのもの。しかし、さすがお父様の室舘洋一画伯の絵は、絵には素 人の私でも唸らされるような大迫力。ステージにも展示したので印象に残っているお 客様も多いのではないでしょうか。4月はこの「なってるハウス通信」に素晴らしい 写真も提供していただいている写真家芝田文乃さんの写真展、5月はギタリスト加藤 崇之さんのプレイ同様の独創的な絵が、なってるハウスの壁を賑わしてくれました。 いつものナッテルさんの絵もすがすがしい異国情緒の風を吹き込んでくれるのですが、 こうした個展が開催されるとまた違った空気を運んでくれて、店番をやっていてもピ リリと気持ちが引き締められリフレッシュされるような気がして嬉しくなるのです。 当面は個展の予定はありませんが、10月には、この3月に少しだけ「顔見せ公演」 をしていただいた、かりや淳子さんの個展を予定しています。また店の空気をどのよ うに変えてくれるのか、今から楽しみにしています。

(スタッフ:有永)
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