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4. 「吹奏楽」について考える(4) 



 これまで3回にわたって様々な「吹奏楽」の特性について考えてきました。今回はこれまでの内容をまとめてみたいと思います。

 これまで考察してきた点を整理すると,大きく以下のようにまとめられます。

1. 屋外においてアコースティック(電気的な増幅がない)楽器のみで,一定の演奏効果を上げられる。
2. 移動しながらの演奏が可能である。
3. 管弦楽や弦楽合奏などに比べて,比較的短期間に練度を高めることができる。
4. 編成が細かくは固定化されておらず,ある程度の拡大縮小が可能である
5. クラシックからポピュラーまで,幅広いスタイルの音楽を演奏できる。

 
 これらを吹奏楽の現状にいくつか当てはめてみましょう。屋外における各種式典やイベントなどの演奏で,マーチングという形で,現在の吹奏楽の一側面を担っているのが分かります。現在,日本吹奏楽界の大多数を占める学校吹奏楽は,3と4との特長が最大限に活きているというのは第2回で考察した通りです。そのスクール・バンドが,野球やサッカーなどのスポーツの応援演奏をしている情景をイメージすると,そのレパートリーまで含めて考えるとの特性が活かされていると考えられます。これだけ多くの特長が反映されていることを考えると,世間一般で「吹奏楽=野球応援」というイメージが強くなってしまうのも,仕方がないようにも思えてきます。

 について,もう少し掘り下げて考えてみましょう。現代の一般的な吹奏楽団は,吹奏楽のために書かれたいわゆる“オリジナル作品”を,当然数多く演奏しています。オリジナル作品には,クラシカル,ポップどちらのスタイルのものも(圧倒的に前者が多いですが)存在しており,現在も新作が次々に発表されています。とりわけ“芸術音楽”と一般に分類されるものの創作活動については,吹奏楽は,現在最も活気のある音楽分野と言うこともできるでしょう。
 その一方で,吹奏楽以外のために書かれたクラシック音楽作品(管弦楽作品がほとんどですが,一部,歌劇やピアノ作品もあります)を吹奏楽に編曲して演奏されることも広く行われています。第1回のコラムで述べたとおり,これは近代軍楽隊の成立当初から広く行われてきました。また,ポピュラー音楽も多くの楽曲が吹奏楽に編曲され,演奏されており,吹奏楽で演奏されることによって,新たな魅力を獲得しているといえる曲も挙げることができるでしょう。

 このように,もともとほかのジャンルのために書かれた作品をも幅広く演奏できる吹奏楽ですが,そこで必要になってくるのが「編曲」という作業であり,また「編曲家」という職業ということになります。かくいう私も,吹奏楽の「編曲家」を名乗っている一人であり,吹奏楽の魅力・特長の一側面を押し広げるべく,日々活動に励んでいるわけです。
 この「編曲」という活動について,どのように考えているのかということも,また追々このコラムで書いていきたいと思っています。

 以上,「吹奏楽について考える」というテーマで,4回にわたって考察してきました。いろいろと話してきた割には,当たり前の結論しか導けていない気もするのですが(苦笑),何気なく接している「吹奏楽」について,多少なりとも,普段とは違った視線で捉えていただけたのならとても嬉しく思います。

 これだけの魅力を兼ね備えた吹奏楽です。今後,さらに発展,充実させていくべく,吹奏楽界に活きる皆で力を合わせて,これからも,前向きに精力的に活動していけたら良いと思っています。私もそのために精一杯活動していきたいと思います。