外来治療 2003年1月〜
5クール目の抗がん剤投与は外来で行うことになりました。しばらくすると鉄人さんが待合室にいる私を手招きします。そして今日投与される抗がん剤の用紙を見るとエンドキサンが入っています。私はびっくりして看護師さんを呼びました。看護師さんは丁寧に「CHOP療法というのは…」と説明し始めます。私はカルテを確認してもらえば解るがエンドキサンで間質性肺炎になっているのだから、CHOPに鉄人さんの場合は入っていない事、もし受けるにしても主治医から何の説明も受けていないのだから説明を聴いて納得できなければ今日の治療は受けれないと目くじらを立てました。看護師さんは主治医に連絡をとってくださり、指示間違いということが解りました。
鉄人さんは「やっぱりエンドキサンを受けないとまずいのかもよ。」等とのん気な事を言っていました。あのまま気づかずに投与されていたらと思うと寒気がします。その後、失礼だとは思うのですが、抗がん剤を受ける時は用紙を確認し投与量もメモするようにしました。
3月に入ってからK医師から、CTの結果からも腹腔内の腫瘍は瘢痕(はんこん)であろうと言われました。つまり、癌の残骸だというのです。ガリウムシンチ等の結果からも癌の活動は見られませんでしたが、瘢痕の大きさは3×9センチもあるので放射線治療に進むか、ここで一度治療を終了とするか決断が求められました。10センチ以上の腫瘍に放射線をするのが一般的な治療と言われていました。鉄人さんの場合はその腫瘍の後ろに骨髄を作る大事な場所な為、危険があるという話しもありK医師とも相談の結果、放射線の治療は行いませんでした。
私の中で2つの大きな思いがありました。1つはもしも、再発をしてしまった時に放射線治療が行えるとという治療選択が残っているのは、有難いことと思おうという気持ちが芽生えたこと。もう1つは、辛い治療で肉体的・精神的に疲れている鉄人さんを少し休ませてもあげたくなったのです。これは本当はあまり良いことではないと自分でも思います。このような気持ちで治療の妨げになる事は、控えなくてはならない事だと思うのです。それでも私の中で芽生えてしまった2つの感情でした。正しい選択だったのか間違った選択だったのか、振り返ることはあります。「貴方が願わなくて誰が願うのか」と励まされながら、日々自分は間違っていなかったと言い聞かせます。歌詞にもあります。♪思い込みでも強く願えばいい、本物になれる日まで♪確かにそのとおりです。
放射線治療をしないと決めた後、K医師からエンドキサンを抜いてるので体内に使える量が決まっているアドリアシンを限界まで使用することとなりました。80%投与の時もあれば100%の量で投与する時を計算してだしていただきながら、9クールまで行いました。
8クール目の3日後には長男の小学校卒業式、9クール目の前日は中学入学式と家の中でも節目の時でした。長男の学ラン姿を見せる事が出来た時には、本当に嬉しく思ったものです。