わたしたち、「地球平和公共ネットワーク」は、生活者市民の立場から地球的平和の創造を少しでも実現しようと志して結成されました。わたしたちは、先般のイラク戦争に反対し、「イラク非戦声明」を表明しました。今に至るも、イラク戦争の理由として挙げられた核兵器や生物・化学兵器は見つかっていないので、イラク戦は正当化できないと考えます。また、イラク「復興」に関係しての各国の利害争奪を強く懸念します。そのように戦争処理も曖昧なまま、このたび、いわゆる「有事関連3法案」が衆議院で充分な論議もされずに急ぎ可決され、現在、参議院で審議中です。これに対して、わたしたちは、以下のような重大問題があると考え、その議決に反対いたします。
1 この法案は文字通り「有事」(=戦争)を前提として、そのための態勢づくりをめざすものですが、これは戦争放棄を定めた憲法第9条の平和主義の精神と真っ向から矛盾します。
2 戦争のための態勢づくりは、さらに憲法に定められた国民の権利と自由全体を損ないます。日本国憲法は戦前の軍国主義への厳しい反省の上に作られたもので、そこでの人権や自由をめぐる規定はすべて、日本国家はこれ以後戦争をしないということを前提に定められています。「有事」を想定する法体系の導入は、第9条のみならず、日本国憲法を支える理念全体を根底から覆し、戦争遂行の名のもとに国民生活全体が統制下に置かれる、軍国主義の再来を招きかねません。
3 この法案はあくまで「自衛」のためのものだとされていますが、国会での答弁からは、「テロ対策特別措置法」に基づいて国外で米軍の活動に協力中の自衛隊に対して加えられる攻撃も日本に対する「武力攻撃事態」と見なされること、また国外での米軍・自衛隊の協力のあり方を定めた「周辺事態法」で想定される事態と、「有事」法制の想定する事態が重なる場合もあり得ることが明らかになっています。「有事」の名のもとに日本国民が、日米一体となった国外での戦争に動員、協力させられることが危惧されます。
日米安保条約のもと、日本はアメリカとの緊密な軍事的協定態勢にありますが、そのアメリカは近年、2001年「9・11」後のアフガン戦争や、イラク戦争に見られるように、「自衛」概念の極端な拡大解釈、さらには「先制攻撃」論に基づき、国際法上認められていない戦争に次々と乗り出しています。そして日本政府はこうしたアメリカの政策の是非を、主体的に判断し批判する態度を示していません。このような状況下では、「自衛」概念の拡大解釈の危険性、日本国民が「自衛」の名のもとに、アメリカ主導の戦争に動員、協力させられる危険性を警戒せざるを得ません。
4 今回の「有事関連3法案」は、現アメリカ・ブッシュ政権の「反テロ」世界戦争を東アジアへと拡大する一翼を担ってしまう危険性を有しています。すでに中国政府や韓国世論の一部も、当該3法案の圧倒的多数による衆議院通過に危惧の念を示しています。当該3法案は、北朝鮮無害論の立場に立つにせよ、北朝鮮脅威論の立場に立つにせよ、北朝鮮をいたずらに刺激し追いつめる役割を不可避的に果たしてしまうのは目に見えています。こうした政府の行動は、戦後日本の平和主義外交の原則に逆行するだけでなく、東アジアの緊張を不必要に高め、東アジアを戦場にしてしまうことを危惧します。
以上の理由に基づき、有事関連3法案に強く反対いたします。
2003年6月1日
呼びかけ人 「地球平和公共ネットワーク」有志
賛同者
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