● 以下に公表する大学生へのアンケート調査結果は、専修大学・明星大学・大東文化大学などで放送論・マスコミ論を担当されている土谷精作さん(元HNK放送文化研究所長)が作成し、対米同時多発テロ事件直後の9月18・20日に、専修大学・明星大学の学生を対象として実施されたメディア論「同時多発テロのニュース報道」のデータで、私がたまたま土谷さんにお会いしたさいに調査用紙をいただき、10月4日に一橋大学でも実施したものです。一橋大学学生データの集計は、男女別にしたうえで、土谷さんに準じました(百分率の取り方は、複数回答や自由記述を入れた場合、異なる方法もある)。
● 土谷教授はこのほか、大東文化大学学生101人のデータ(調査日10月1日)を加え、計501人のデータを集計しているが、男女差が出ていないため、ここには400人のデータを掲載するに留める。
● ちょうど同じ頃、吉田悟郎さんHP「ブナ林便り」に、大阪の井野川さんが高校生に対して行ったアンケート調査結果が公表されたため、本HPではこれを「日本の高校生は対米テロをどう受けとめたか?」として、すでにトップページで紹介し、イマジンにも収録しています。 この種の調査の性格上、アンケートをとった時点、授業・講義の中で事件について教師が述べた前であるのか後であるのかで、回答に微妙な差が出てくるのは避けられませんが、おおまかな傾向を示すものとして、高校生との比較を含め、分析は、読者にお任せしておきます。
● 私とほぼ同じ時期に、イスラム地域研究の同僚内藤正典教授のゼミが行った一橋大学・恵泉女子大学学生意識調査が、同ゼミHPの一橋大学内藤正典ゼミ「テロ事件にみるイスラム報道」に収録されましたので、リンクしておきます。
調査者 専修大学・明星大学(放送論・マスコミ論) 土谷精作
一橋大学(政治と社会) 加藤哲郎
目的1.同時多発テロ発生時の大学生のメディア行動
2.ニュース映像の印象、テロ事件の背景に対する見解
調査方法
1.9月18日専修大学、20日明星大学の講義冒頭にアンケート配布、講義終了後回収
2.10月4日一橋大学教養共通科目「政治と社会」講義冒頭に配布、講義終了後回収(集計方法は専修大学に準じた)
調査対象 計 400人
1.専修大学・明星大学の土谷講義受講者 181人(2/3年生)
2 一橋大学加藤講義「政治と社会」受講予定者 219人(1-4年生、男子146人・女子73人)
|
|
専修・明星実数 |
専明% |
一橋全実数 |
一橋全% |
一橋男実数 |
一橋男% |
一橋女実数 |
一橋女% |
|
発生と同時、または直後に |
167 |
92% |
194 |
89% |
131 |
90% |
63 |
87% |
|
翌朝になって |
13 |
7 |
23 |
11 |
14 |
10 |
9 |
12 |
|
翌日の午後以降に |
1 |
1 |
2 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
|
|
専修・明星実数 |
専明% |
一橋全実数 |
一橋全% |
一橋男実数 |
一橋男% |
一橋女実数 |
一橋女% |
|
テレビ |
142 |
78% |
151 |
71% |
93 |
64% |
58 |
80% |
|
ラジオ |
4 |
2 |
6 |
3 |
6 |
4 |
0 |
0 |
|
新聞 |
2 |
1 |
7 |
3 |
5 |
3 |
2 |
3 |
|
人の話・電話・インターネット |
32 |
18 |
49 |
23 |
37 |
25 |
12 |
17 |
|
|
専修・明星実数 |
専明% |
一橋全実数 |
一橋全% |
一橋男実数 |
一橋男% |
一橋女実数 |
一橋女% |
|
同じCHのテレビを見続けた |
20 |
11% |
23 |
8% |
10 |
6% |
13 |
13 |
|
CHを切り換えながらテレビを見た |
129 |
71 |
150 |
55 |
100 |
60 |
50 |
49 |
|
翌朝以降は新聞も詳しく読んだ |
19 |
10 |
62 |
23 |
38 |
23 |
24 |
32 |
|
インターネットも利用した |
13 |
7 |
36 |
13 |
20 |
12 |
16 |
16 |
|
|
専修・明星実数 |
専明% |
一橋全実数 |
一橋全% |
一橋男実数 |
一橋男% |
一橋女実数 |
一橋女% |
|
信じられない気持ちだった |
115 |
25% |
100 |
24% |
56 |
22% |
44 |
13% |
|
しばらくは現実感が湧かなかった |
115 |
25 |
144 |
34 |
91 |
35 |
53 |
36 |
|
テロよりも戦争だと思った |
31 |
7 |
28 |
7 |
19 |
7 |
9 |
6 |
|
道連れになった人々があまりに多いことに怒りがこみあげてきた |
46 |
10 |
23 |
6 |
13 |
5 |
10 |
7 |
|
高層ビルの脆さに驚いた |
19 |
4 |
27 |
6 |
17 |
7 |
10 |
7 |
|
こういうテロがまた起こるのではないかと不安になった |
57 |
12 |
41 |
10 |
26 |
10 |
15 |
10 |
|
その他(自由記入) |
80 |
17 |
55 |
13 |
37 |
14 |
18 |
12 |
|
|
専修・明星実数 |
専明% |
一橋全実数 |
一橋全% |
一橋男実数 |
一橋男% |
一橋女実数 |
一橋女% |
|
テロ組織とそれをかくまう国に軍事行動をするのは当然だ |
23 |
6% |
29 |
6% |
26 |
8% |
3 |
2% |
|
犯罪の全貌を公表し、世界の理解を得てから軍事行動に移すべきだ |
65 |
16 |
72 |
17 |
53 |
17 |
19 |
13 |
|
報復攻撃が無関係の民衆を殺すことになりはしないか |
108 |
26 |
132 |
29 |
76 |
24 |
56 |
36 |
|
報復が新たなテロを生む悪循環が心配だ |
112 |
27 |
132 |
29 |
81 |
26 |
51 |
34 |
|
大規模テロを実行するための資金源を絶つことを考えるべきだ |
18 |
4 |
55 |
12 |
46 |
15 |
9 |
6 |
|
その他(自由記述) |
82 |
20 |
42 |
9 |
31 |
10 |
11 |
7 |
|
|
専修・明星実数 |
専明% |
一橋全実数 |
一橋全% |
一橋男実数 |
一橋男% |
一橋女実数 |
一橋女% |
|
十分だとはいえない(進行する事態の報道に追われ、背景まではよく判らない) |
115 |
52% |
147 |
62% |
93 |
50% |
54 |
68% |
|
背景の解説はかなり行われている(テレビの特番や新聞の解説を総合すれば、ある程度理解できる |
53 |
24 |
47 |
20 |
34 |
21 |
13 |
23 |
|
事件の背後に関心がない |
0 |
0 |
1 |
0 |
1 |
1 |
0 |
0 |
|
わからない |
5 |
2 |
8 |
3 |
5 |
3 |
3 |
4 |
|
その他(自由記述) |
48 |
22 |
36 |
15 |
27 |
17 |
9 |
11 |
|
|
専修・明星実数 |
専明% |
一橋全実数 |
一橋全% |
一橋男実数 |
一橋男% |
一橋女実数 |
一橋女% |
|
世界は一致して断固たる行動を採るべきだ |
61 |
19% |
36 |
11% |
31 |
14% |
5 |
5% |
|
中東和平の実現、貧富格差の是正など根源の問題を解決すべきだ |
105 |
33 |
151 |
47 |
93 |
43 |
58 |
56 |
|
対話を通じて相互理解を深める努力を諦めてはならない |
87 |
27 |
103 |
32 |
66 |
30 |
37 |
36 |
|
4 その他(自由記述) |
65 |
20 |
30 |
9 |
27 |
12 |
3 |
3 |
(専修明星、自由記述例)
(一橋女子、自由記入例)
●<小特集>
いま、アメリカの大学は?
■小林正弥「実践的行動案内──戦時下の『学問的自由』のための声明」
■デービッド・エーベル「大学関係者はアメリカ国民団結のマイナス面に注目、市民的権利が窒息すると述べる教授も」
■Michael A. Fletcher「大学では報復攻撃への反対意見を出しにくくなっている」
■Student privacy under attack in US
■Student Gets Suspended For Wearing Clothes
■Michael A. Fletcher, "Dissenters Find Colleges Less Tolerant of Discord Following Attacks "
■アメリカの学生運動Concerned Students for Peace and Justice
●平和を望む東大生の会(Peace from Todai; PeaceT)
●学生・青年のSpark
Project 「魂は無限、発想は無数
」
●反戦集会 全米100以上の大学で一斉に開催
【ニューヨーク佐藤由紀】ハーバード大学からカリフォルニア大学バークリー校まで、全米約40州に及ぶ100以上のキャンパスで20日、テロ攻撃に戦争ではなく平和的な解決で応えるよう訴える集会「平和的正義」が一斉に開催された。愛国心をあおるメディア報道や米政府の軍事報復への傾斜に危機感を抱く学生団体が呼びかけて実現した。
AP通信によると、ハーバード大学ではイスラム系米国人の女子学生、アリシア・カーンさんが「テロ攻撃を非難するにあたって、彼らの過ちに私たちも過ちで応えるべきではない」と米国の武力行使の可能性に警告を発した。
ミシガン大学の学生新聞によると、武力報復を支持するのは学生の約3分の1で、3分の2は戦争ではない非暴力の解決を求めているという。 [毎日新聞9月21日]
「米国人すべてが軍事報復を支持してはいない。テロの被害者に涙を流しながらも、反戦運動を支持する人もいる。米国発の情報は軍事報復を意図的にあおるものが多く、信用性に欠く」と批判(京都新聞2001.10.06 )
【ニューヨーク7日共同】米中枢同時テロの背景を論議したニューヨーク市立大のティーチイン(討論集会)に参加した教授が「(テロは)米帝国主義への反発」などと発言したことに対し、タブロイド紙などが「非米的」「極左の言動」などと猛烈な批判を展開している。
同大のマシュー・ゴールドスタイン学長は七日までに「思想的、歴史的な観点から(テロ)攻撃を正当化したり言い訳したりする発言には同感できない」と異例の釈明を発表した。しかし「これは善と悪の戦争。米国は善だ。教授らの言動は常軌を逸している」(五日デーリーニューズ紙社説)と、愛国心をあおる動きは強まる一方だ。
問題のティーチインは同大ハーレム校で行われ、学生ら二百人が参加。人類学のサマードマティアス教授らが、事件について「欧米の搾取に対するイスラムの抵抗」「米資本主義の支配者に真の責任がある」などと主張したという。
ニューヨーク・ポスト紙がコラムで「これらの学者たちはばかか、不正直者かだ」とかみつき、論争に火を付けた。
同大の理事も「非米的で扇動的」として、ティーチインを主催した教員組合を激しく非難する理事会決議案を用意。発言を非難された教授らは「テロ行為に至った背景を説明したもので、テロを正当化したのではない」と反論している。(共同10月7日)
宗教を学校教育の中でどう扱うかを考えるシンポジウムが十三日、京都市上京区の同志社大・神学館礼拝堂であった。米国同時中枢テロの発生で宗教が注目されるなか、「異文化教育の一環として、主要宗教の知識を教えることが必要」などの意見が出た。
シンポは「『心の教育』の可能性を問う・公教育における宗教教育」のテーマで、同志社大神学部が開いた。
沖田行司・同志社大教授が、明治以降の教育制度の変せんをなぞり、「一貫して近代産業社会に必要な知識教育が行われてきた。本来、学ぶことには心の修行も含まれていた」と話した。
新聞記者で宗教を取材してきた菅原伸郎さんは「宗教の迷信性を排除し、根元的な部分を教えることはできないか」と提案。井上順孝・国学院大教授は「学校の教師は宗教を教えるのが苦手。自分とは別の価値観を強く持った人がいるということをきちんと教えるべきだ」と指摘した。各発言を受けて討論が行われ、会場の約百二十人は熱心に聞き入っていた。(京都新聞10月14日)
(京都新聞2001.10.16)
佐賀大学の教官129人が16日、同時多発テロに対する米の報復攻撃と自衛隊派遣に反対する声明を発表、衆参両院議長に送付した。豊島耕一農学部教授ら9人が呼びかけ人となり、約1週間で講師以上の全教官の約3分の1が賛同した。
声明では、9月11日に起きた同時多発テロを「多数の市民の生命を無差別に奪った犯罪で、世界の法と秩序に対する攻撃」と非難。一方、米主導の攻撃も「国際法上の根拠がない」「報復が報復を生み、罪なき一般市民の犠牲者を出す危険性が大」――などと批判し、国連中心の法的手段による断罪がテロ根絶の道と訴えている。
また、自衛隊派遣に向けて政府・与党が目指す新規立法は「憲法を踏みにじるもの」と断固反対を表明。日本の果たすべき役割を「米に法と理性に基づく行動を求めることと難民救済など人道的支援」と主張している。【平山千里】(毎日新聞10月17日)
鹿児島市の外国語専門学校、鹿児島外語学院(手嶋八洲男学長)は17日、同市下荒田4の同学院で勉強会「What is Islam?」を開く。同時多発テロ後、各地でイスラム系の人々に対する嫌がらせが起きるなど偏見のまん延が懸念されるため、イスラム圏出身者たちの話を聞き、理解を深めるのが狙い。広く参加者を募っている。
勉強会にはパキスタンやエジプト、インドネシアなど5カ国の留学生が参加。質問に答える形で、食生活や祈りの習慣、女性の人権など日常的なことから原理主義者の存在やテロの背景まで、それぞれ出身国の状況を説明する。会場からの質問も受け付ける。
手嶋学長は「テロ事件後、イスラムは怖いというイメージが一人歩きしており、留学生も肩身の狭い思いをしている。私も含め、日本人はイスラムに対する知識があまりに少なく、まず一般的なことから学びたい」と話している。
当日は午後5時半から約1時間半の予定。無料。問い合わせは同学院(099・254・9290)へ。【吉田博治】(毎日新聞10月17日)
テロも戦争も反対する意志を色とりどりの手形で示す「ピースハンド−平和の手形」の街頭活動が十八日夜、京都市下京区の四条河原町で行われた。
平和への思いを集めよう、と京都精華大の学生や市民団体が今週から始めた。この日は歩道に学生たち十二人が長さ十メートルの模造紙を広げ、「イマジン」の曲を流しながら「水彩絵の具で手形を押して」と協力を呼びかけた。
これまでに集まった手形の数は約二百。学生たちは「言葉にできない気持ちも伝えたい」とし、今後も大学のキャンパスやイベントなどで活動を続ける。(京都新聞10月19日)
学生の約7割は米国の軍事的報復に反対で、新法制定には6割以上が否定的――。米英両軍によるアフガニスタン空爆直前、大阪大大学院生らが実施したアンケートでこんな結果が出た。調査に当たった豊中市の雑誌編集者の女性(28)は「戦争ムードに巻き込まれることに敏感な姿が浮き彫りになった。また、アンケート作業を通じて、若い世代同士で考えることが出来たのでは」と話している。
大阪大を中心とした大学院生サークルを母体に京都大、立命館大、関西大、関西学院大、神戸大、奈良女子大などの各大学で協力者を募り、関西の大学を中心に32校で対面調査。計722人から回答を得た。
それによると、「軍事報復行為について」では「賛成」が7%、「どちらかといえば賛成」が21%なのに対し、「反対」が37%、「どちらかといえば反対」が34%と大きく上回った。また、自衛隊派遣のための新法制定については、「どちらかといえば」を含む「賛成」29%に対し、同じく「反対」が64%だった。
自衛隊の派遣については「新法を制定して積極的にすべき」は15%。「現行法で可能な範囲で」が52%、「すべきでない」が24%だった。また、「何故米国が狙われたか」は「ほとんど」を含む「知らない」が52%と過半数を超える一方、53%が「事件は自分に関係があると感じる」と答えた。
調査した大阪大医学部大学院の國府裕子さん(26)=箕面市=は「記述では米国追従への反発や、なし崩し的な憲法改定への危機感を訴える意見が多かった。デモなどの報道を見るにつけ、学生として何か声を出せないかと思い実施した。同じ犠牲者を出すことでは解決にはならないと思う」と話している。 【中村一成】(毎日新聞 10月23日)
医療活動などについて学んでいる学生サークル「こころの翼」が27、28の両日、大田区大森西の東邦大医療短大の大学祭「大森祭」で、写真展「アフガニスタンの女性のヴェールを上げる」を開く。イスラム原理主義勢力「タリバン」の実効支配下で「虐げられたアフガン女性の世界に触れてほしい」と、主催者は話している。
国際医療援助NGO「メドゥサン・デュ・モンド」(本部・フランス)が所有する、ステファン・デュポン氏ら著名カメラマンが首都カブールなどで撮影したアフガンの女性や荒れた大地の写真約30点を借り、展示する。
サークル代表の岡真澄さん(25)は、7月に大田区で開かれた人権問題の勉強会で、同NGOのアフガン報告を耳にしてショックを受けた。タリバン政権下のアフガンでは女性が教育を受ける権利がない。診察は女医以外から受けられない。女性は教育を受けられないから、女医が育たない。国際ボランティアの女医にかかれなければ、座して死を待つケースも多い。岡さんは男尊女卑というレベルをはるかに超えた抑圧を伝えようと、同NGOに「大学祭で写真展を行いたい」と申し出た。
一方、写真展準備中の9月11日には米同時多発テロが発生した。米が攻撃を繰り返し、タリバンは悪という見方が定着しつつあるが、タリバンのような原理主義がなぜ生まれ、政権を取ったのかを紹介するパネルも作り、「多角的にアフガンの歴史を伝えたい」と岡さんは話している。
両日とも午前10時から午後4時まで。入場無料。【石原聖】(毎日新聞10月25日)
イスラム文化について理解を深めてもらおうと、群馬大工学部(桐生市天神町1)の留学生が28日までの同大文化祭で、「イスラム文化展示会」を開いている。
展示会を主催するのは、同学部に留学するインドネシア、マレーシア、エジプトなどのイスラム教徒の学生約20人。家族に対する考え方や、イラスト付きの祈りの順番などを、パネル展示。27日には、イスラミックセンタージャパン(本部・東京都)の職員による質疑応答もある。
主催者の代表を務めるインドネシア人で同大大学院工学研究科博士課程3年のアント・トリ・スギアルトさん(29)は「米同時多発テロの発生後、イスラムについて誤解されることが多い。本当のイスラムの姿を紹介したい」と話している。【大貫智子】(毎日新聞10月27日)
第二次大戦中の欧州で約六千人のユダヤ人難民を救い、「日本のシンドラー」と呼ばれる故杉原千畝氏の妻、幸子さん(88)が二十七日、京都市上京区の同志社女子大で講演し、「この世から戦争をなくすよう、日本や世界中の人々が一緒に考えるべき」と訴えた。
幸子さんは、駐リトアニア領事代理の夫に同行。ナチス・ドイツの迫害からユダヤ人難民を救うため、独断で日本通過ビザを発給した夫を支え、励ました。
講演で幸子さんは、領事館前に泣いて詰めかけたユダヤ人の様子や、自らもルーマニアで戦火に巻き込まれ体験などを語った。その上で、米国同時テロと米英アフガニスタン攻撃に触れ、「戦争はいつも残酷。人は互いの理解や愛を忘れてはいけない」と強調した。
同女大卒業生の会「地の塩」の主催で、市民ら約二百五十人が聞き入った。(京都新聞2001.10.28)
米同時多発テロとアフガニスタン空爆について、追手門学院大文学部の井谷鋼造教授(西南アジア史)が担当講義の学生を対象にアンケート調査を実施した。「民間人の犠牲者を出してはいけない」「米国は強硬すぎる」といった意見が目立ち、井谷教授は 「なじみの薄い地域だが、今後も一般民衆の被害が予想され、学生に関心を持ち続けてほしい」と話している。
アフガンを含む「西南アジア史」のクラスの3、4回生60人からの回答では「米政府首脳の発言をどのように思うか」との設問に、27人が「少し強硬すぎる」と回答、29人が「米国は自制し報復すべきではない」とした。米国支援の質問では、31人が「軍事協力はせず、人道支援を行う」と回答、「憲法の範囲内での後方支援」が17人だった。
自由記述では「誤爆は、私たちには『またか』で済むが、現地の人はいろいろなものを失っている」「弱い者がいつも泣くことになるのがいや。悲しみと憎しみが残るだけ」などの意見もあった。
井谷教授は「比較的客観的に事態を見つめる学生が多かった。国際世論から見捨てられ続けたことがアフガニスタンの混乱の原因。そういう意味で、日本の若い世代にこの地域の実情を知ってほしい」と話している。井谷教授は、担当する別の講義の学生も含め、計約160人から回答を得ており、分析を進めている。
これらの結果は、29日午後3時半、茨木市西安威の同大学で開かれる公開講演会「アメリカの同時多発テロと西南アジア情勢」で紹介される。井谷教授が「アフガニスタンの歴史と現代」、加賀谷寛・元教授が「パキスタンの歴史と現代」のテーマでそれぞれ講演する。 【山田泰正】 (毎日新聞10月29日)
尼崎市若王子の英知大と同大学園祭実行委員会は11月3日午前10時から「憎悪の連鎖を断ち、真の平和を」と題し、米同時多発テロ事件をテーマにした公開討論会を同大サピエンチアタワー10階大ホールで開く。大学教授らがそれぞれテロの背景などを語り、平和への取り組みについて話し合う。
9月11日のテロ発生時に米国にいた山根キャサリン・同大学国際言語教育センター長が「アメリカ人として」と題して話す。この後、イスラム宗教思想やパレスチナ問題などについて松本耿郎・同大学国際文化学科長、和田幹男・同大学副学長らが発言する。
主催者は、「会場の参加者らとともに今すべきことについて考え、討論していきたい」と話している。参加無料。(毎日新聞10月30日)
信大教育学部(長野市)で国際理解教育を学ぶ学生たちが三十一日、米国のアフガン攻撃を受けて、日本の国際貢献のあり方をテーマに討論会を開いた。自衛隊の海外派遣を含むテロ対策特別措置法が成立した現実を前に、「国際情勢を考えればやむを得ないのか」「憲法の精神は生かせないのか」といった声が出た。
卒業論文のテーマを「平和教育」とした四年生中村崇志さん(22)が「戦争を放棄したはずの日本が自衛隊を海外派遣できる現実を子どもたちにどう教えたらいいのか。一人で考えるより多くの人の意見を聞きたい」と企画。二―四年生の九人が参加した。
自衛隊派遣や武器使用の是非などを焦点に討論。「日本は今や大国。米国との関係を無視できない」と自衛隊派遣を肯定する意見に対し、四年生の一人は「(第二次大戦で日本の被害を受けた)隣国やアジアの視点を忘れていないか」と指摘。「米国一辺倒」にみえる政府の姿勢も批判した。
テロ対策特措法と憲法の整合性も議論に。テロ対策特措法成立を後押ししたとされる「湾岸戦争で資金提供しかしなかった」との見方に対し、「日本は平和憲法があるのだ―と、なぜ、胸を張れないのか」といった批判があったほか、「国際貢献というなら徹底した難民支援でアピールはできる」との意見も出た。
終了後、長崎県出身で、被爆体験者の話を何度も聞いたという山之内隆伸さん(20)は「自衛隊派遣(の是非)については自分の中でも答えが出せない。社会科教師を目指しているが、どう考えていったらいいのか」。中村さんは「大戦で日本がアジアに何をしたのか、なぜ憲法ができたのか、そうした事実を知ることが、今回の問題を議論する力を育てるのではないか」と話していた。(11月1日)
アフガニスタン難民を支援しようと、2日に始まる神戸女学院大の大学祭で同大の学生10人が、「Show your support」をキャッチフレーズに募金活動を行う。募金は国連難民高等弁務官事務局を通じて、アフガニスタン周辺の難民キャンプで必要なテント、毛布、炊事用具などの購入費用に充てる。
募金を呼び掛けたのは、4年生の藤田詠子さん(22)。米国の同時多発テロを引き金に始まった米英のアフガニスタン攻撃について、友人と話し合ったり、新聞記事を読んだりするなかで「同情する気持ちがあってもだめ。そういう気持ちを行動で表したい」と募金活動を思い立った。できる限り、多くの人の共感を得ようと「日本国連HCR協会」と提携し、国連認定の募金箱とポスターを提供してもらった。
募金に協力する同大の礒田優香さん(21)は「留学中に知り合ったアメリカの友人は『自由のために戦う』と書いたメールを送ってくる。でも、アフガニスタンの人たちを思うと怖くなった」と言う。藤田さんは「大学祭後も募金を続けたい。卒業しても難民支援の活動にかかわり続けたい」と話している。 【大場弘行】 (毎日新聞11月2日)
十八歳選挙権について考える活動を続ける京都の大学生、高校生のグループ「18」は四日、米国での中枢同時テロへの報復攻撃の是非を問う模擬投票を京都市北区の立命館大で行った。若者の政治参加、選挙権年齢の見直しへの機運づくり狙った。
模擬投票は、京都府内の私立中学・高校の生徒が集まる「京都私学フェスティバル2001」に合わせて企画した。
会場では「18」のメンバー二人が候補者役となり、米国の報復攻撃に賛成、反対の立場で演説した。報復攻撃に賛成する候補者が「報復攻撃はテロを不可能にし、抑止する。国際的な共通認識」と主張したのに対し、反対の候補者は「報復は報復を招くだけだ。『法にもとづく裁き』で冷静に対応すべきだ」と応酬し、それぞれに投票を呼びかけた。
メンバーの訴えにもかかわらず、演説会場には空席ができたが、代表の山本匡人さん(24)は「若者は政治や選挙に関心を持っている。それが行動につながるように活動を続けていきたい」と話していた。(Kyoto Shimbun 2001.11.05 News)
米中枢同時テロの背景や今後の情勢を考えようと宮崎市の宮崎公立大で六日、緊急シンポジウム「同時多発テロを考える」が開かれた。同大の教授、助教授四人がパネルディスカッション。各専門分野の視点から意見を交わした。
まず友杉孝教授(比較文化論)がアフガニスタンを「古くは文明の十字路だった。難民、貧困は今の話」と紹介。
テロが起きた背景について、広瀬訓・助教授(国際法)は「米国を悪者に仕立てれば、不満のはけ口になる。悪いことをしているから狙われるというより、標的にしやすいのでは」。田中宏明助教授(国際関係論)は「米国は世界中に軍事基地を広げている。米国が外国の問題に関与することとテロに遭うことは相関する。軍事縮小への政策転換が必要」と話した。
また「米国は冷戦終結後、どんな世界をつくるかビジョンを描ききれていなかったところに敵が現れた。国の動きが決まり、安心しているようにも見える」と広瀬助教授。罍(もたい)昭吉教授(経済学)は貧困と戦争との関連性を指摘。「貧困根絶のためにも、途上国は日本の援助をインフラではなく教育に投資してほしい」と訴えた。
会場には学生や市民約八十人が集まった。「軍国主義に向かっているように見える日本の政治をどう変えるか、という視点も大事」などと会場からも意見が出た。(2001年11月07日)
アフガニスタンへの報復攻撃を続ける米国に対し、漫画で異文化を理解する大切さを訴えようと、京都精華大に学ぶ米国人留学生ら八人のグループが、百二十ページもの長編漫画の制作に挑戦している。今月中に完成し、英語やアラビア語に翻訳、インターネットにも公開していく予定。留学生らは、気軽に親しめる漫画の特性を生かし「世界に異文化の共存を呼びかけていきたい」と意欲を燃している。
京都精華大マンガ学科一回生のパトリシア・マークリーさん(23)が発起人となり、先月から同じ学科の仲間計八人で共同企画した。
「金の音 銀の音」と題する長編漫画に登場するのは、文化の異なる架空の「太陽の国」と「月の国」。太陽の国が月の国に伝えた「光」の利用法をめぐって両国の意見が対立、戦争になるという設定で、二部構成になっている。
同じ「地上の国」に避難した太陽の国の姫と月の国の王子を主人公に、さまざまな出会いを通じ自国の価値観を絶対化する考えを疑い始める過程をファンタジーあふれる物語にした。戦闘場面の表現は抑え、柔らかいタッチで子供にも親しめるよう工夫している。
現在百二十ページ全体の下書きに入り、連日連夜の執筆作業を進めている。今月中の完成を目指し、作品は英語やアラビア語にも翻訳、ネットで公開していくほか、海外への配布も検討している。
マークリーさんは「米国の報復行動に疑問を感じ、漫画でメッセージを発信することを思い立った。日本をはじめ世界中の人に読んでもらい、異文化を認め合う大切さを知ってほしい」と話している。(Kyoto Shimbun 2001.11.10 News)
日本福祉大(美浜町)の学生有志が11日、同大学祭で、米同時多発テロとアフガニスタンへの報復攻撃をテーマにシンポジウムを開く。9月11日のテロ事件後、定期的に学習会を開いてきた学生たちは、「いろいろな視点からこの問題をとらえ、みんなで一緒に考えてほしい」と参加を呼び掛けている。
主催するのは、同大社会福祉学部2部4年、大薗拓朗さん(24)の呼び掛けで結成された「日本福祉大学反戦ACT」。7人のメンバーは、9月末から毎週土曜日、学習会を開催。テロ事件の背景にあるイスラム国家とアメリカのかかわり、事件をめぐる国連の役割など、さまざまな視点から事件を考えてきた。
学生500人を対象にアンケート(回答35人)では、米英の報復攻撃、テロ法案を成立させた日本政府の対応などについて、賛否両論が寄せられた。
これを踏まえ、この問題に関心のある学生が意見交換ができるメーリングリストも開設した。
シンポジウムのパネリストは、大薗さんのほか、「兵士達の連合赤軍」(彩流社)の著書がある植垣康博さんと、「ストップ!『報復』戦争・市民の会静岡」代表の西沢宏明さんを招く。
大薗さんは「生活者の立場からテロ事件をどうみるべきか考えたい」と話している。
シンポジウムは午後1から3時半まで、同大7号館720教室で。メーリングリストの加入希望者はhannsenn@freeml.com【式守克史】(毎日新聞11月10日)
京都大の学生らでつくる「どこでも反戦実行委員会」は21日、京都市に対し、自衛隊のアフガニスタン周辺への派遣に反対する声明を出すよう求める要望書を250人の署名を添えて提出した。
要望書は、テロ対策特別措置法が成立して自衛隊派遣が決まったことに対し、平和都市を宣言している京都市として▽武器弾薬、食糧輸送に市道を使わせない▽自衛隊の派遣に反対し平和への声明を出す−などを求めている。(京都新聞2001.11.22)
混迷が続くアフガニスタン情勢を巡り、県立大交流センターは今月28日午後3〜5時、松岡町
兼定島の同大学大講義室で、講演会「アフガニスタンをどうみるか」を開催する。
シルクロードの研究が専門で、アフガンの事情に詳しい京都大人文科学研究所の桑山正進教授が
講師。シルクロードの要衝だったアフガンの歴史や文化について解説し、イスラム圏の中でも特に
貧しく、たびたび民族抗争の舞台になる理由を説明する。
定員300人、無料。希望者は電話(0776・61・6000内線6111)で予約する。
【阪本麻記子】 (毎日新聞11月24日)
【ワシントン25日時事】9月の米同時テロで、犯人グループの一部が留学ビザ(査証)で合法的に入国していたことを受け、ブッシュ政権は留学生など在留外国人の管理強化を打ち出している。米国の大学では中東出身の留学生の帰国が相次いでいるが、管理強化に対する学生側の反応は賛否が分かれている。 (時事通信11月25日)
米同時多発テロを受けた国際協力のあり方などを探るセミナー「国際テロにどう立ち向かうか」が早稲田大アジア太平洋研究センターが27日開かれ、パネリストと約200人の聴衆が活発な意見交換を行った。同センターの川村亨夫教授は、紛争を防止するため、迅速な人道支援を行うシステムを構築すべきと訴えた。(毎日新聞11月27日)
米中枢同時テロ事件を題材にした京都精華大の「『同時多発テロ』マンガ展」が27日から、京都市左京区の京都精華大自在館で開かれる。漫画家を志す学生の視点から、テロの影響を一コマ漫画に凝縮している。
深刻なテロ事件にマンガの世界からも真剣に取り組もうと企画した。漫画家のヨシトミヤスオ同大学教授の呼びかけで、マンガ学科2年の24人が26点を描いた。
サンタクロースの姿をしたビンラディンが子どもに不気味なプレゼントを手渡す「おそろしいクリスマス」や、崩壊した世界貿易センタービル跡を渡り鳥が避けて通る場面、飛行機テロを恐れて座り込む自由の女神像など、テロの恐怖などを描いている。
指導したヨシトミ教授は「作品の背景には平和を願う思いがある。学生の純粋な思いゆえに、問題の核心をついた作品が目につく」と話している。入場無料、12月1日まで(京都新聞11月27日)。
同志社大で神学を学ぶ大学院生や卒業生たちが、二十六日午後七時から京都市上京区の同志社栄光館で、世界的に活躍するゴスペルシンガー、リチャード・ハートリー氏のライブ公演を開く。収益はアフガニスタン難民の子どもたちの支援に充てることにしており、学生たちは「奴隷制度の中で生まれ、人間の尊厳を歌ったゴスペルを通じ、平和や人間の尊厳を考えたい」と話している。
公演は「JustSinginJususゴスペル・クリスマス・チャリティ・ライブ」。日本基督教団京都市内地区青年部ゴスペルコンサート実行委員会や、同志社教会創立百二十五周年委員会が主催する。
ハートリー氏は米国・ニューヨーク在住の牧師で、ミュージカルや映画への出演でも知られる。ライブ公演では、グループ「ソウル・レゾレクション」とともにアフリカ系米国人たちが生んだ福音歌、ゴスペルを歌う。スクールオブミュージック専門学校副校長の池末信さんらも出演する。参加者が一緒に歌う時間も設ける。
ハートリー氏がクリスマスに合わせて来日するのを知り、栄光館での公演を依頼した。二、三十代の大学院生や卒業生たちがポスター作りやチケット販売を進めており、「テロや報復攻撃がある今だからこそ、本場のゴスペルを通じて人間を考えるひとときにしたい」「音楽をきっかけに、教会に足を踏み入れてみてほしい」と話している。入場料は三千百五十円、定員千五百人。経費を除いた収益をユニセフを通じて寄付する。前売り券はチケットぴあで販売している(京都新聞11月30日)。
●シリアに留学した飯野真理子さんが母校・立命大で特別講義 /京都
米国同時多発テロ以降、アラブやイスラム教徒に対する風当たりが厳しくなる中、アラブ諸国の現状を伝えようと、北区の立命館大文学部で、卒業生の飯野真理子さん(23)=宇治市=が今年6月までシリアに留学していた経験をもとに特別講義を行った。教室には学生約150人が参加。飯野さんはアラブ諸国の生活の多様性や紛争の状況を報告し、「アラブとひとくくりにせず、それぞれの国や人々についてもっと知ってほしい」と呼び掛けた。 【森園道子】
在学中の指導教官だった江川ひかり助教授(トルコ史)の講義の一環として行われた。飯野さんは大学時代、イスラエル建国以降のパレスチナ問題について学び、「現地の声を聞きたい」と在学中の短期留学に加え、卒業後の昨春から、あらためて留学。今年6月の帰国まで、ダマスカス大でアラビア語を学び、隣国レバノンの難民キャンプでも活動した。
飯野さんは、「中東は砂漠と思われがちだが、シリアは農作物の多い豊かな国」と写真を示しながら説明した。レバノンではキリスト教徒が約半数を占めることや、イスラム教徒の女性が髪を隠すために巻くヒジャーブ(スカーフ)も、「信念に基づき、あえて着用しない人もいる。イスラム教徒といっても文化や習慣は多様です」と強調した。
一方、留学中には南レバノンからのイスラエル撤兵など大きな情勢変動があり、大学構内に張り出されるインティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)の死者数が毎日増えるのを目の当たりにした。「もし爆撃されたら君はどうする」と友人に問われてとっさに答えられず、結局は自分の問題としてとらえられていないことを痛感した。
米国のテロ以降の情勢について飯野さんは、「アラブやイスラム教徒がみなテロを支持しているわけではない。ただ、大国に虐げられてきた歴史があることで、共感もしている」と指摘した。「もしアフガンに友人がいたら、報復攻撃に対する考え方も変わる。身近なものを見つけられれば、そこから世界が見えてくるはず」と語り、共感しようと努力することの大切さを訴えた。
(毎日新聞12月8日)