Independent.co.uk Newsのサイトに掲載された2001年12月9日付の記事(河内謙策訳)(http://news.independent.co.uk/world/americas/story.jsp?story=109156)


 

アメリカ司法長官が人権をかなぐり捨てる

 

ワシントン、ルーパー・コーンウェル

 


 圧倒的多数のアメリカ市民の支持を背景に、ジョン・アシュクロフト司法長官はテロリスト一掃の新たな権限を行使しているが、多数の民主党員や法律家、国際的な批判は、それは憲法や人権に対する侵害であるとみなしている。

 先週、国連の人権問題の最高責任者であるメアリー・ロビンソンは、前ミズーリ州選出上院議員であるアシュクロフトを非難したことで注目を集めた。彼女は、ブッシュ政権の新立法に見られる”ブッシュ政権を信用しろ”という態度は、民主的社会の権力分立の抜け道を見つけることではないか、と質問したのである。

 彼女は、1000名を超える外国人が今回の事件に関連してアメリカで拘束されている問題を取り上げた。また、前アイルランド共和国の大統領であった彼女は、ブッシュ大統領の命令が、陪審の代わりに3人の裁判官で構成される軍事法廷でテロリスト容疑者を裁こうとしている問題を取り上げた。彼女は、これらのことが拘束されている人々の基本的人権を侵害するものであると主張した。

 しかし、共和党の宗教的派閥と同盟し、中絶の権利を認めず、ガン・コントロールに反対している人々と親しくしているアシュクロフトは、木曜日の議会での証言の際に彼女の主張を一切認めなかった。彼は、彼に対する批判を、よく言えば愚かであると、悪く言えば裏切りと同じであると非難した、彼は、彼を批判する人びとの戦術は、国民的団結と「悪魔の前で沈黙を守っている善意の人々を励ますことを蝕み、テロリストを助けるだけである」と主張した。軍事法廷はペンタゴンの管轄であり司法省の管轄ではないが、両者は、テロリストの容疑者を逮捕することに熱心なあまり憲法をかなぐり捨てたとリベラルによって批判されているアシュクロフトに見られるように、強硬派の裏表とも言うべきものである。

 アシュクロフトの敵であるリベラルが議論しているように、1993年のワールドトレードセンター爆破事件や1998年のアフリカのアメリカ大使館爆破事件を裁いたアメリカの裁判所の前にいわゆるテロリストの容疑者を連れて行くのは、どうしてまずいのだろうか。

 アシュクロフトが考えている方策の中には、弁護士と彼らの依頼者との会話、そのほかの通常は秘匿されるべき会話の盗聴や、アラブや中東出身の5500名に対して今回は任意にといってなされたお尋ねの合法化が含まれているからである。

 また、9月11日の事件の後に拘禁され、現在も拘束が継続している人々が大きな注目を集めている。拘束されている人々の大部分は、移民の法律の些細な違反者に過ぎない。彼らが今回の事件に参加した兆候はほとんどないにもかかわらず、ヨーロッパで始まったこの方式が維持されているのである。

 しかし、これらの方策が上院の司法委員会の委員長であるパトリック・リーのような人物を反対の立場に変えたとしても、街の声は、もっと強硬かもしれない。最近の世論調査の結果によれば、わずか10%の人だけが政府のやったことは度を越していると述べている。

 ある一つの問題がアシュクロフトを窮地に追い込むかもしれない。というのは、彼は9月11日以後拘束されている人々がアメリカ国内で銃を買ったかどうかを調べたいというFBIの申し出を拒絶しているからである。アシュクロフトは上院議員として、銃を買った人の背景を調査することに反対し、銃を買った人々の記録を直ちに破棄することを主張していたからである。

[以上]



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