インターネット新聞The Nationに掲載された特別レポート(河内謙策訳)
しかしながら、アメリカの町々には反対が存在する。その数は増大しており、反対は合衆国のすべての地域に及んでいる。新しい平和運動のメッセージは、平和と正義を求めるハーバード・イニシアティブ(Harvard Initiative for Peace and Justice)のデービッド・ジェンキンスが述べている「びくびくするのは、もうやめよう。われわれが怒っていることを示すときだ」という言葉に要約されよう。ジェンキンスは、9月20日のハーバードヤードの集会で、次のように続けた。「しかし、われわれの感情につきうごかされて暴力に訴えるのは、よくない。人民をターゲットにするのは、よくない。 テロリズムに反対するために無辜の人々に報復してその人々の命を二次的に奪うことは、認められない。」
9月11日のワールド・トレード・センターとペンタゴンに対する攻撃のすぐ後に、ブッシュ大統領は「われわれは、戦争の只中にいる」と述べた。議会は、大統領の武力行使を容認する旨を、カリフォルニア選出のバーバラ・リー民主党下院議員の反対だけで決議した。
リー下院議員は、たぶん議会で「少し下がって考えてみましょう。1分間だけでも立ち止まって、われわれの行動がわれわれのコントロールの及ばないことがないようにするために、われわれの行動の意味を考えてみましょう。」と考えたに違いない。彼女は議会では一人であったが、ワシントンの外では、サンフランシスコ地域のポスターが表明しているように、数万の平和運動家の「バーバラ・リー議員はわれわれのために反対票を投じたのだ」という声に迎えられつつある。
もちろん、デモの規模は様々である。ウイスコンシン州のマディソン、ミシガン州のアン・アーバーやサンフランシスコでは、ベトナム戦争や湾岸戦争のときと同じように、数千人のデモ参加者が広場を埋めている。オレゴン州のポートランドでは、主催者が言うところでは3000人の人びとが平和集会に集まり、旗やポスターを持って「暴力の循環はごめんだ」「アフガニスタンの人々は、われわれの敵ではない」と叫んで行進した。
今回の反戦運動は、少数の大学や進歩的な政治の根拠地に限定されていない。ステューデント・ピース・アクション・ネットワーク(SPAN)は、木曜日のデモや集会やティーチインは、105の大学で行われたと述べている。ニューヨーク、ニュージャージー、ミズリー、メイン、オレゴンやカリフォルニアで平和のためのヴィジルに数千の人が集まったように、ノースカロライナ大学からインディアナのゴーシェン・カレッジに至るまでのキャンパスでは、中東、イスラム、テロリズム、平和やそれに関連したテーマでティーチインが行われたのである。
反戦のための活動は、ムスリム、アラブ系アメリカ人や南アジアからの移民の市民的自由を擁護することや彼らを暴力から守ることと結びついている。NGOのグローバル・イクスチェンジ(Global Exchange)は、音楽家マイケル・フランティの協力を得て、民族主義・人種主義や市民的自由に対する攻撃と戦うために全国的な規模で“非民族主義・非人種主義地域”を立ち上げた。ニュー・ハンプシャー州の活動家たちは、反アラブの攻撃から守るための緊急のネットワークを設立した。
新しい反戦運動の中心的なメッセージは、9月11日の悲劇を重視し、テロリストにハイジャックされた人や彼らの攻撃の犠牲になった人々に同情することである。ニューヨークで金曜の夜に行われた地球的な平和と正義の集まりのテーマは、“犠牲者をいたみ、平和のためにたたかう“であった。ポートランドのある標識には、”このような悲しみを他の人々に与えて苦しませることの無いようにしよう“と書いてあった。
「人々が望んでいるのは正義であって、復讐ではない」、このように述べるのは、全国で8万5000人を擁しているピース・アクション(Peace Action)の代表を務めているケヴィン・マーチンである。彼は、さらに次のように述べている。「これらの凶悪な犯罪を犯した者は、法廷で裁かれなければならない。軍事的な攻撃は、罪なき数千の人々の命を奪うことになる。偉大な国家というものは、苦しみを和らげるために罪なき人々を罰するということはしないものである。」
ピース・アクションとSPANは、最初の頃に全国的に平和のための集会やティーチインを組織する中心であった。しかし彼らは孤立していたわけではない。クウェーカーのロビー組織である全国的な立法のためのフレンズ派委員会(Friends Committee on National Legislation)はバーバラ・リーや宗教団体の声明、メディア、議員や大統領に対する手紙例を取り上げた“戦争は回答ではない”というウェブサイトを設立した。
「彼らに勝利を与えてはならない;テロリズムに対する宗教的回答」という宗派を超えた声明と全国の1500名以上のキリスト教、ユダヤ教、ムスリム、仏教の指導者の署名が、木曜日と金曜日に議会に届けられた。全国宗教者会議のサイト(National Council of Churchesと“滞在者“のサイト(Sojourners)に声明が掲載されているが、その一部には次のように書かれている。「われわれは、国民が回答の何であるかを気づいているときには、冷静な節度のある言葉を与える。われわれは、平気で多数の人々の命を奪う人々に対しては、その人々の不平不満や不公平がどんなものであろうとも、深い怒りを表明する。 神の御名において、われわれは、これらの悪行について責任あるものたちが見つけ出され、審判の場に引き出されるべきことを請求する。これらのとがめるべき者は、責任を逃れることが出来ない。しかしわれわれは、復讐心や怒りにかられて無辜の人々の命を奪う無差別の報復を行ってはならない。