21世紀の恒久平和を求めて

 

2001年11月23日 日本民主法律家協会集会アピール

 


人類は

営々たる進化を通じて地上の生態系の主となり、

他の生命種を制して、

繁栄の基礎を築いた。

 

太陽も空気も

大地も海原も

森林も草原も

動物も植物も、地下の埋蔵物も

これを利用する知恵と知識の体系も

この地にある豊かな恵みのすべてを人類は手にいれた。

 

たったひとつの例外、「平和」を除いて。

 

人類は

文明に曙光さし富の蓄積を始めたその時から、争いを続けた。

個人と個人、部族と部族、人種と人種、民族と民族、階級と階級

そして国家と国家との間で。

歴史のかたときも、奪い合い、殺し合いが止むことはなく、

文明の進歩は闘う技術の進歩ともなった。

科学は大量殺戮兵器を開発し

その究極に核兵器を生みだして、

人類は自らの手で歴史を閉じる愚かな能力を証明するまでになった。

こうして、20世紀は戦争の世紀として記憶に刻まれた。

 

今や、人類を繰り返し全滅できる兵器が宇宙にも深海にも配備され、

殺傷力を極限化した爆弾が、罪なき人の頭上で炸裂し、

1億5000万個の地雷がその地の生活者たちを待ち受けている。

軍事産業は肥え、死の商人が大手を振っている。

したり顔が口を開けば、

「この現実をみよ。武力の均衡と核兵器の抑止力こそが、平和を維持している」と言う。

 

しかし、

常に、平和に生きることこそ本来の人の望みである

時に、砲声にかき消され、銃剣に脅えながらも、

平和を求める人々の声は続いた。

平和なくして人類の未来はない。

戦争を永久に除去しようとする世界の声は、人類の叡知である。

この叡知は、遅々としてではあっても前進を遂げてきた

国際連盟をつくり、不戦条約を成立させ、国連憲章をも生みだしてきた。

今や、規範としては、戦争は違法である。

国際法は、「国際紛争は平和的に解決しなければならない」と教える。

この規範を現実とする課題が、私たちの眼前にある。

 

日本国憲法は、侵略戦争への真摯な反省と、広島・長崎の深刻な惨禍の中から、

人類の叡知の結晶として成立した。

「核の時代には、人類はいかなる戦争とも共存し得ない」

これが、日本国憲法のメッセージである。

戦争廃絶の実効的な手段として、戦力の不保持が一国の実定憲法の条文となった。

人類の前途を示す光明を、現実という気ままな風で吹き消してはならない。

 

自明なことは、

戦争こそ最大の人権侵害であり、環境破壊である。

武器の製造こそ愚劣な資源の浪費である。

貧困を放置して、軍事に富を傾ける愚かさから脱却しなければならない。

 

にもかかわらず、21世紀劈頭の今

アフガニスタンに爆音と銃声が飛び交っている。

ともすれば、圧倒的な現実に無力を嘆かざるをえない。

しかし、私たちは、けっして諦めない。

平和を求める人々の声を集め、奔流とし、大河とし、

圧倒的な力として、確乎たる平和を築かなければならない。

武力紛争の具体的な原因を探り、解決の途を模索しなければならない。

貧困、差別、抑圧、不公正、国際的収奪、民族紛争、教育環境、情報の操作や不足‥

全世界の、多くの人々の、知恵と力と勇気とを結集する作業が必要なのだ。

 

世界各地での平和を構築する人々の営みが、

うねりとなって、全世界を覆うとき

人類は戦争から解放され、「確乎たる平和」を手に入れるだろう。

その壮大な事業の拠り所として、日本国憲法の恒久平和の思想が輝くだろう。

「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」ことが世界の憲法典に書き込まれ、その権利が現実のものとなるだろう。

人類が、「平和」を手に入れるその日まで、私たちは恒久平和の旗を高く掲げ続けよう。

改めて、「全力をあげて、この崇高な理想と目的を達成することを誓」おう。

それこそが、私たちの使命である。


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