ZNETのサイトに掲載された記事(Zoltan Grossman: IT AINユT OVER ヤTILL ITユS OVER: What to watch for in Afghanistan, 河内謙策訳)


 

それが実際に終わるまでは終わりではない:アフガニスタンにおいて何を待つべきなのか

 

11月16日、ゾルタン・グロスマン

 


アフガニスタンにおけるカブールやその他の都市の陥落は、多くのアメリカ人に戦争が速やかに終わりつつあるとの考えを抱かせるにいたった。アメリカのメディアは、諸都市の陥落が23年間の戦争、不安定と抑圧を終わらせたという印象を作り出している。真理に勝るものはない。かつてのヨギ・ベラの言葉を借りて言えば、戦争は、それが実際に終わるまでは終わりではないのである。

 まず第一に、中央集権的な機構を欠く伝統的な国においては、首都の陥落はアフガニスタン全体の征服を意味しない。タリバン勢力は、彼らの事実上の首都ともいうべきカンダハルに再結集しつつあり、タリバン内のいくつかの分派はゲリラ戦を考えている。アフガニスタンがイギリスやロシアを打ち破ったのは、都市を把握することによってではなく、山岳地帯の砦に拠った猛烈なレジスタンスによってである。もし、タリバンやパシュトゥーンの戦士たちがチェチェン方式の襲ったらすぐに立ち去るという戦術を採用するならば、戦争は後何年間かは長引くかもしれない。新しいゲリラ戦争には、南部のパシュトゥーン人や北部の非パシュトゥーン人が参加するかもしれない。メディアは、アフガニスタンに対する食料援助の再開に焦点を当てているが、食料はどちらの勢力にとっても「武器」として利用されようとしていること、軍が彼らの支持者のために利用し相手方に渡らないようにしようとしていることには注目していない。

 第二に、北部同盟の首都の奪取は、時計をムジャヒデンィンが共産主義勢力からカブールを奪った1992年に戻すだけである。その時に、非パシュトゥーン人のムジャヒディンはパシュトーン人を虐殺しただけでなく、女性の権利を制限する一歩を踏み出し、お互いに競い合ったのである。彼らの4年間の内輪もめによって5万人が死亡し、その結果、1996年にはアフガン人や西側の諸国が「解放者」として歓迎するタリバンの登場となったのである。そのとき以来、最近の声明でRAWA(アフガニスタン革命的婦人協会)が言っているとおり、北部同盟は、堕落した「略奪者・強姦常習者」の評判を得、アフガニスタンの麻薬取引の80%を支配してきたのである。舞い戻ってきた北部同盟は、2年前にコソボでアルバニア人がセルビア人を襲ったように、再びパシュトゥーン人の処刑を始めている。しかし、北部同盟が首都を把握したことにより、北部同盟は、来るべき新しい連合政権の中で中心的役割を果たすことになるであろう。

 第三に、仮にアメリカや国連が何とか不安定な連合政権を作り上げたとしても、それは、1992年や1996年にそうであったように、新たな紛争の始まりに過ぎない。アフガニスタンのすべての民族的政治的勢力は、権力に対する要求を言いたてることを始めるであろう。そして、そのことは、アメリカの黒幕連中も認識することになるであろう。ワシントンが彼らの間の意見の対立に一定の解決をつけようとするや否や、彼らのうちの一部は以前の同盟者の方向に顔を向け始めるであろう。ワシントンは、1992年に年とったザヒール・シャー国王を中心に多民族の連合を作り上げようとしたことがあるが、その企ては、惨めにも失敗した。同年にソマリアで試みたことと同じことをしようとしたのである。アメリカがソマリアで犯した原理的な誤りの一つは、軍事的勢力を魔法にでもかけたように、すべての軍事的勢力に国家統合の意図が存在すると思い込んだことである。もう一つの誤りは、各軍事的な勢力の指導者を政治的に正当なプレーヤーとして認め、市民社会や部族の長老たちを無視したことである。アフガニスタンの政体は、銃を持った男たちによってつなぎあわされているのであり、その外に、過去20年間暴力によって脅かされ、今また国連平和維持軍を押し付けられようとしている多数の女性や男性が存在しているのである。

 西側の諸国は、ムジャヒディンが1992年に、タリバンが1996年にカブールを奪取したことを支持したが、今度は北部同盟のカブール奪取を支持している。支持の目的は常に、彼らが支持してきたそれまでの同盟からアフガニスタンを開放することであった。ワシントンは、イスラエルがかつてハマスを支持し、あるいはエジプトがかつてイスラム同胞団を支持したように、アフガニスタンの好戦的イスラム主義者のグループを支持した。しかし、最後には、彼らの面子をつぶしてしまった。好戦的イスラム主義者は、実際は貧困や腐敗や外国の占領に対する民衆の批判を食い物にしているにもかかわらず、民衆の批判を利用して、彼らの支持を増やしている。超右翼のイスラム人民主義者を支持したり、押さえ込んだりする代わりに、西側諸国とその政府は、不満を感じている市民を彼らから遠ざけるために人気のある代替策を提出するかもしれない。代替策を提出する代わりに北部同盟のような新しい好戦的イスラム主義者のグループを歓迎することになるのかもしれない。

 しかしながら、アメリカのきちがいじみた行動にも、アメリカのこの地域に対する表面的に明きらかにされている以上の意図が存在する。アフガニスタンは、歴史的に、南アジア、中央アジア、中東にまたがる戦略的な位置を占めてきた。アメリカは、現在の危機を利用して、この地域に恒久的に居座るのではないだろうか。アメリカのこれまでの介入は、それまでアメリカが足がかりを持ってこなかった地域に基地を残すという結果をもたらした。湾岸戦争により、ビンラディンが「嘆いた」 巨大なアメリカの基地がサウジアラビアと他の湾岸3カ国に残った。旧ユーゴスラビアに対する軍事的介入は、コソボにおいて不規則に広がるキャンプ・ボンドスチール複合基地をはじめとした米軍基地を4カ国に残した。これらの軍事基地は、軍事的介入を促進するために作られたものであろうか、それとも、たとえ部分的にせよ、これらの基地をおくために軍事的介入がなされたのであろうか。

 米軍は世界の戦略的地域に投入され、歴史の重大な局面において、これらの地域に地政学的影響を及ぼしながら駐留している。ヨーロッパの巨大な経済力の興隆と東アジアの経済的競争力の上昇に伴って、アメリカの経済力は衰え始めている。しかし軍事力について言えば、アメリカは依然として疑いもなくスーパーパワーである。軍事力をその競争相手に対して有利にたつために利用しないという法があるだろうか。ジャック・シラクフランス大統領は、ペルシア湾の米軍の役割を、ヨーロッパと日本に対する石油の資源を確保するための手段だとみなしている。カスピ海からインド洋にいたるパイプラインは、アフガニスタンを通過する予定になっている。アフガニスタンのハイウェイにそって、検問所が建設中なのである。

 アメリカの政策は、ここ数週間のうちに、大きなテストを受けることになるであろう。特殊部隊は、アフガニスタンやパキスタンの山岳地帯で戦うことになるだろうか。ブッシュは、プーチンがチェチェンの首都のグローズニイを昨年平定したように、カンダハルを平定することができるのだろうか。コソボ人民解放軍が国連の「警察力」になったように、北部同盟はカブールの支配を認められるのだろうか。新しい連合政府に各勢力は本当に席を与えられ、一緒にとどまってやっていくことになるのであろうか。

 ビン・ラディンは捕まえられるのであろうか、それともサダムフセインのように米軍の駐留を正当化するために生き延びることを許されると言うことになるのであろうか。たんそ菌騒ぎは、イラクに対する爆撃と侵略の新しい口実になるのだろうか。最後に、アフガニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、パキスタンの新しい軍事基地は石油の施設を守るための恒久的な在外基地になるのだろうか。政府がアフガン民衆の本当の声を代表しないようにするために、あるいは好戦主義的グループからムスリムを引き離すために、戦争が終わっても米軍が駐留を続けるということになれば、第二、第三のビン・ラディンが生まれたり、第二、第三の9月11日の事件が引き起こされるということになるであろう。 [以上]

 

(河内謙策訳)



トップページへ戻る

「イマジン」に戻る