加藤哲郎様
はじめてお便りいたします。わたしは札幌市東区にあるキリスト教会の牧師をしております。
君島東彦先生から「テロ関係でもっとも充実したサイトだ」と教えていただき、投稿
いたします。貴重な資料をたくさん読ませていただき今晩は感激しております。
北海道宗教者平和協議会が発表した声明を添付いたします。
山本光一
Kouichi Yamamoto
2001年9月23日
9月11日、米国で起こった同時多発テロ事件について、わたしたちは、その日の朝までていねいに生きてこられた方々を思い、事件の犠牲となられた方々に宗教者として心から哀悼の意を表します。また、今も瓦礫の中に愛する人を探す方々に神の慰めがありますよう祈ります。数千名に及ぶであろうと言われる方々の中には、国際貿易センターの人々を救出しようと階段を駆け上り、崩れ落ちるビルと共に命を失った消防士、警察官が居られました。わたしたちは、彼らの職務遂行の誠意に心から敬意を表します。
また、わたしたちは市民を巻き込み、市民を標的にした非人間的テロ行為に対し、断固として抗議します。
わたしたちは、テロ事件後、日米の政府が新たな武力行使の連鎖を生み出そうとしていることに重大な危惧を覚えます。
22日の新聞は、米軍特殊部隊がアフガニスタン周辺諸国へ派遣され、横須賀からは、米空母キティホークが出港したと報じています。戦争の兆しが高まっています。
ブッシュ大統領はこの事件を「戦争」と呼んでいます。しかし、この事件は極悪な国際犯罪であって、米国に宣戦布告をした国家があるわけではなく、戦争ではありません。
この事件は国際法によって裁かれるべき問題であって、いかなる紛争に対しても平和的な解決の努力を義務付けている国際法において、ブッシュ大統領が言う「報復のための武力行使」自体が国際法違反です。
これまでにアメリカはテロ行為に対し軍事攻撃の形で対応してきました。しかし、それらは新たな罪のない人々の死者を増すだけでした。
米国は、1993年には当時のブッシュ大統領に対する暗殺計画があるという噂に基づきバグダッド近郊を爆撃し、1998年には、オサマ・ビン・ラディンと関係するとしてスーダンにある「化学兵器工場」を空爆しましたが、その化学工場は製薬工場であったことが後に分かりました。
22日のロイター通信によると、世論調査会社ギャラップは21日、米同時多発テロへの米軍による大規模な武力報復の是非について世界31カ国での調査結果を発表しました。それによると、欧州や南米などでは8割から9割が武力行使よりもテロの容疑者の身柄引き渡しと裁判を求めていることが明らかになりました。「支持」が半数を超えたのは米国とイスラエルの2国だけでした。
21日のニューヨークでも、市民たちが「これ以上市民の犠牲を増やすな。武力による報復は止めよ」とデモ行進を行いました。繁華街の街頭を歩く市民がこのデモにぞくぞくと加わりました。世界中の市民たちから、米政府が行おうとしている武力報復への疑問と抗議が沸き起こっています。米国は、いまこそ、これまでの核戦略、武力の世界的展開を背景とする力による制圧の道を止め、世界にテロが再び起こらないよう、世界の人々に相談し、全世界の市民たちの協力によって、平和的に問題を解決する道を選びとるべきです。
小泉首相は、12日に「わが国は米国を強く支持し、必要な援助と協力を惜しまない決意だ」と述べ、これまでの政府見解を改め、日米安保条約における集団的自衛権を容認する発言をしています。
現在、政府・与党は米中枢同時テロへの米国の報復措置に対する自衛隊の後方支援を可能にする新規立法、自衛隊による米軍施設などの警備を可能とする自衛隊法改正案を9月27日から開会される臨時国会に提出しようと、早期成立に向けた策動を党内外で開始しています。
また、保守党・扇千景党首(当時)は、「危機管理体制の整備が遅れている。有事法制に積極的に取り組むべきだ」と述べ、基本政策に防衛出動法(有事法制)の整備を掲げている公明党は、神崎武法代表を本部長とするテロ事件対策本部の初会合を開き、今後のテロ対策を巡って「自衛隊の役割や有事法制について詰めた議論をする必要がある」との認識で一致したと報じられています。
わたしたちは、これらの政府・与党の動きは、米国におけるテロ事件を利用した動きであると言わざるを得ません。
国際世論と国際法に基づいて解決すべきこの問題を、政府・与党は、短絡的に米国の武力行使支持の方向に向かおうとしています。
わたしたちは、日本政府に対し、今こそ、武力行使を禁じ、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を高く自覚した日本国憲法によって国際平和のイニシアチブを発揮すべきであると求めます。
わたしたち宗教者の大半は、第二次世界大戦下において、戦争に反対する声を高らかに挙げ、人々に平和への道を指し示すことを怠りました。わたしたちはそのことを悔い、戦後、多くの教団・宗派が、かっての戦争是認・協力を反省し、このことを内外に明らかにしました。
戦争の兆しが高まっている今、わたしたち宗教者は、日米政府に対し「武力行使によって、新たな犠牲者を生み出すな」と強く求め、全世界の人々には、「人々のくらしといのちをまもるために願いと英知を結集し、テロ発生の原因を究明し、テロの惨禍を防ぐ道を切り開こう」と訴えるものです。