The Weekly Standard のサイトに掲載された論文(河内謙策訳)
William Kristol and Robert Kagan, The Bush Doctrine Unfolds,

 

ブッシュ・ドクトリンの展開

 

ウィリアム・クリストル、ロバート・ケーガン

 


 新ブッシュ・ドクトリンがどんなものかは、ブッシュ大統領が先週、北アジアを旅行し、一貫した強力なメッセージを伝えたことにより全面的に明らかになった:すなわち、アメリカの安全のためにも、地球の安全のためにも、単にテロリストに対してだけでなく、専制、テロ、大量破壊兵器という三つの頭をもつヒュドラに対して、固い決心に基づく攻撃がなされなければならないということである。支配体制の交替が絶対になされなければならないということは、ブッシュ大統領の一般教書演説の核心であった。今週、ブッシュ大統領は、彼のドクトリンが、北朝鮮、イラン、イラク、という、いわゆる「悪の枢軸」にとどまるものではないことを明らかにした。レーガン・ドクトリンは、何よりもまず共産主義体制の転覆を意図したものであったが、フィリピンや韓国の右翼的独裁者の転覆にも結びついたように、ブッシュ・ドクトリンは、イラク、イラン、北朝鮮の独裁者の転覆だけでなく、たとえば、中国やサウジアラビアの独裁者の転覆につながるかもしれない。

 韓国においてブッシュ大統領は、ピョンヤンを「悪(evil)」と規定する彼の評価を1インチたりとも譲らなかった。金正日の最近の微笑により国際的に復権を図る向きもあるが、ブッシュ大統領は迷うことなく、レーガン風の単純さで、「私は、金正日が北朝鮮の人民を解放しない限り、私の彼に対する意見は変えない」と言い切ったのである。日本においても、そして北京においても、彼は民主的な台湾の人々に対する連帯とコミットメントを力強く繰り返したのである。クリントンは彼の中国への訪問をアメリカが台湾の民主主義に距離を置くために利用したのだが、ブッシュ大統領は、クリントン式にへつらうことなく、はっきりと、台湾関係法を遵守すると述べたのであった。昨年の春、ブッシュ大統領は台湾を守るためには「必要なことは何でもする」と約束した。北京の指導者は、彼の言の意味していることを自覚すべきである。

 ブッシュ大統領のアジア旅行で最も重要であったのは、おそらく中国とアメリカの若い人々によって長く記憶にとどめられるであろう清華大学でのスピーチであった。彼のスピーチはテレビで生中継された。彼は、アメリカの統治システムがどのように機能しているかを述べた際に、はっきりと北京の独裁者を批判し、中国の人民にその交替を求めるよう訴えたのであった。彼は、アメリカでは、「何人と言えども法の下では平等である。」アメリカでは、「すべての政治的権力は制限されており、永久ということはない。人民の自由な投票に基づくものである。」アメリカでは、「政府の政策を支持してもよいし、あるいは自由に批判してもよい。」ブッシュ大統領の言を聞いた中国の人民は誰でも、彼がアメリカの自由と中国の専制を比較していることがわかったであろう。彼らが苦しんでいる専制は、交替させられるか打倒されるしかない、という彼のメッセージを、すべての人が聞いたのである。そして、中国の独裁者やアメリカ国内の弁護論者が昔から繰り返してきた、中国はまだ民主主義の”準備“が出来ていないという議論に対し、こう答えたのである、「自由を恐れるものは、しばしば自由は混乱に結びつくと言う。しかし、そうではない。なぜなら、自由というものは、自分自身のためだけ以上のことを意味するからである。」

 中国の大地の上で、アメリカ民主主義の原理について、あるいは中国の独裁者を批判する、これ以上力強い演説がなされたことはなかった。歴史的な先例を探すとすれば、ロナルド・レーガン大統領が1988年にモスクワ州立大学でした演説がある。もちろん、自由と支配体制の交替を求めるブッシュ大統領の演説は、ここ10年以上共和党の外交政策を支配してきた営利本位の”リアリスト”と呼ばれる人たちの考えと大きく異なるものである。父親のブッシュ大統領からもこのような演説を聞くことはなかっただろうし、実は、現在のブッシュ大統領からも9月11日以前には聞くことができなかったものなのである。

 しかし、9月11日の事件は、すべてのことを変えた。テロリストの組織を壊滅することの重要性は言うまでもないが、ブッシュ大統領は、それだけにとどまっていてはならないことを理解した。軍事力を行使するだけでなく、自由民主主義の原理を擁護し前進させる、アメリカのリーダーシップに代わるものは存在しないということにも、思い至ったのである。ジョージ・W・ブッシュ大統領は、特別の使命を帯びた人である。偶然にも、その使命は、アメリカの歴史的使命そのものなのである。

[以上]
2002年2月22日付けでAFPが配信した記事(河内謙策訳)
Bush fails to win more Chinese backing for“war on terrorism”

 

 

ブッシュは”テロに対する戦争”につき中国の支持獲得に失敗

 


 アメリカのブッシュ大統領は、北朝鮮に弾道ミサイルの輸出を停止させることによって国際テロリズムを抑制し、武器コントロールについての話し合いを再開しようという目論見に中国の保証を取り付けることに失敗した。

 9月11日以来武器コントロールの問題は、ワシントンの外交政策のトップの課題になってきた。組織されたテロリスト・グループが引き起こす脅威が強調されてきたのである。

 ブッシュは、北京の記者会見で、江沢民主席に彼の影響力を行使して、中国の古くからの同盟者である北朝鮮を交渉のテーブルにつかせるようにしてもらいたいと依頼したことを明らかにした。

 彼は、伝えられるところでは中国がイラクとパキスタンに対して武器技術と材料を売却していると言われることに懸念を表明したが、これらの非難は強く否定された。

 中国とブッシュ政権との固い結びつきは、中国がワシントンのアフガニスタンのタリバン政権に対する攻撃を支持したときに、著しく強化された。

 しかし、中国はその後他のアメリカの同盟国とともに、ブッシュ大統領によって悪の枢軸と言われているイラン、イラク、北朝鮮に対する戦争拡大に懸念をしめすようになった。

 今週の木曜日に、アフガニスタンに対するEU特別代表のクラウス・ピーター・クライバーは、EUとしてはイランがアフガニスタンの政情を不安定にしていると言うアメリカの非難は認めることが出来ないし、ワシントンの主張は「不適切」であると述べた。

 アメリカの高官たちは、サダム・フセインの支配しているイラクが、アメリカの次の軍事行動の最初のターゲットになる可能性が一番高い、と述べている。江沢民が、そのような行動を支持するかどうか尋ねられて、彼は忍耐だと言った後、「諸問題を平和的手段で解決することが重要だ」と述べた。

 水曜日にブッシュは、北朝鮮を攻撃するプランは持っていないと述べた。しかし彼は同時に北朝鮮の「専制的な体制」に対する彼の嫌悪も明らかにした。

 韓国の専門家は、ブッシュの度重なる話し合いの呼びかけによっても、中国の働きかけのあるなしにかかわらず、北朝鮮が交渉のテーブルにつく可能性は少ない、と述べている。

[以下、略]



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