「カスパーシアター」というのは、「カスパー」という名前の男の子が主人公の人形劇です。
私が昔(1988年〜89年)その頃「西ドイツ」と言っていた現ドイツ、南の地方都市「フライブルク」という町に家族と共に暮らしていた時に出会いました。
ドイツの子ども(もちろん昔子どもだった大人も)なら皆知っているのではないでしょうか。
ドイツの児童文学作家プロイスラーの「おおどろぼうのホッツェンプロッツ」というお話を知っていますか?
登場人物はどろぼうの主人公ホッツェンプロッツやカスパール、ゼッペル、おばあちゃん、おまわりさん、ワニ・・・などなど、みな、カスパーシアターの仲間たちなんですよ。
その頃、子ども達は6歳と3歳。日本人学校なんてない地方都市なので、上の子は現地の幼稚園と小学校に、下の子は教会の幼稚園に通いました。
幼稚園にも小学校にも教室に「カスパーシアター」の仲間の人形がありました。
休み時間には自由に人形で遊ぶことができます。人形劇ごっこです。
お隣のお宅には上の子と同級生の女の子と11歳のお兄ちゃんがいましたが、そのお隣のお宅にも「カスパーシアター」の仲間達の人形がありました。しかも、カスパーが3人(?)
「お兄ちゃんが作ったカスパーとママが作ったカスパーと私が作ったカスパー!」だそうです。
長いすの背を舞台にしてすぐにカスパーごっこが始まりました。
町には常設の人形劇場があって、当時5マルク(400円くらい)で人形劇を見ることができました。
プロの人形劇団があったのです。
クリスマスの季節、町のあちこちの広場ではクリスマス市場が開かれます。クリスマス市場にはたくさんのクリスマス・グッズのお店や食べ物・飲み物の屋台のほかに、小さな遊園地が出現したり、なんと、カスパーシアターの出前もあったのです。
日本にも車の軽トラの後部を改造した焼き鳥屋さんとかラーメン屋さんとかありますよね。
それと同じように、軽トラくらいの小さな車の後部が舞台になっていて、どこにでも乗りつけ、簡単なベンチを並べて、広場に人形劇場のできあがり!やはり、5マルクくらいだったと覚えています。
我が家では、人形を作ることはしませんでしたが、おもちゃやさんならどこにでも売っている「カスパーシアター」の仲間達の人形をいくつか買って遊んでいました。
もちろん帰国時には人形達も一緒に連れ帰りましたよ。できれば買って帰りたかった、布でできた舞台をよ〜く見て帰り、作り方を考え、帰国してすぐにミシンカタカタ・・・・木の棒を通して天井から吊るして。我が家で、その頃もう始めていた「おひさま文庫」で「カスパーシアター」を見よう見まねで上演していました。
2003年6月。私達一家は久しぶりに懐かしいフライブルクに1週間の旅行をしました。
下の息子にはほとんど記憶が残ってませんでしたが、上の娘にはかすかな記憶が・・・
私達が住んでいた住まいは昔のままでした。よく散歩した裏山、よくハイキングした黒い森(シュバルツバルト)の山の村シャウインスラントも昔のまま。懐かしかったです。(アルバムをご覧下さい)
子ども達は二人とも大学生だったので1週間で帰りましたが、連れ合いと私はその後約3週間ドイツのいくつかの町を旅行しました。あの頃は行きにくかった旧東ドイツの町をまわりました。ライプツィヒ、マイセン、ドレスデン、クヴェトリンブルク、ポツダム、ベルリン・・・。
長く滞在したライプツィヒ、ドレスデン、ベルリンの町では人形劇場をいくつか見て歩きました。どの町にも常設の人形劇場がありました。(その3つの町はどこも大きな町ですが・・・)
特にベルリンでは毎日町のあちこちでカスパーシアターを上演していたのです。町の情報誌を手に入れ、今日の午前はこっち、午後は町のはずれの大きな公園・・・カスパーシアターの「おっかけ」(笑)をしました。楽しかった!!どこも3ユーロ〜5ユーロ(5〜700円?)くらいでした。
ヴェーメル人形劇場の舞台裏
その中で印象に残ったカスパーシアターは、ドレスデンから来たヴェーメル人形劇場。
日本で人形劇をやっている、と話したら、舞台の裏側から見学させてくださいました。
この舞台は大掛かりでちょうど立って演じられる高さがありました。両手をばんざいしてひとりで走り回る姿は強烈。マイクの使い方も参考になりました。背景も全部一人でぱっと変えられるように工夫してありましたし、音響(ドラやラッパ)もぶら下がっていたり。高い所に人形を出す時には脚立が用意されていて、パパっと飛び乗る!すごい運動量!
幕を開けるときにハーモニカで伴奏をつけ、カスパーが幕を開けながら幕とおっかけっこをするアイディアはこのヴェーメルおばさんから拝借しました。
もうひとつは「マニュエラおばさんのカスパーシアター」。このかたは脚本集や絵本も出していて、いくつか購入してきました。(ログ内に張ってあるポスターはそのときのものです。)
ドレスデンのヴェーメルおばさんと正反対で、人一人しか入れないような小さな舞台です。カスパーと似たようなかっこうをしたマニュエラおばさんは腰にまいたベルトに逆さまに人形をたくさんぶら下げて、人形を換える時はさっと手を突っ込んで取り替えます。ひざの間にはシンバル。足先には太鼓。首にはラッパをぶらさげて。
マニュエラおばさんはこのボックス型の小さい舞台の中に立って、背景の布の後ろから薄く透ける客席を見ながら演じます。腕は胸の前に上げて自分の顔の前で演じます。動きは極端に小さい。舞台も持ち運びは工夫すれば簡単。これだ!と思いました。
で、帰国後、今まで使っていた布製の舞台を自立できるように、室内物干し(2本立て)を利用してキャスターつきの組み立て式移動舞台を工夫しました。マニュエラおばさんと違うのは、人形は舞台下手前に棚を置き、そこに出演順に下向きに並べておき、左手の人形の差し替えをするということ。これはたまたま物干しの棚があったから、なのですが・・・(笑)この棚はヴェーメルおばさん方式ですね。
常に右手はずっとカスパーのまま。左手で次々と登場人物(人形?)を替えていきます。
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ログにはすぐに舞台になる「窓」があります。ログを建てるときに連れ合いのアイディアでログに常設のカスパーシアターの舞台になるよう取り付けてもらいました。幕になるピンクのカーテン、後ろには暗幕。舞台のすぐ上には、ログビルダーのアイディアでライトもつけました。この「窓」の観音開きのガラス戸は、ログビルダーがとても苦労してつけてくださったんです。そのログ・キットの窓には真ん中に縦の枠があったのですが、それをはずして、しかもしっかり閉じるように。
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今私が使っている人形はどれもドイツ製。ほとんどはテディベアで有名なシュタイフ社製のものです。でも、いずれは手作りできたらいいなと思っています。いつになることやら・・・・
20年前に買ったものの他に、2003年の旅行の時には王様とお姫様を買い、インターネットで見つけて購入したり、ベルリンの友人が贈ってくださったりで少しずつ仲間が増えています。なかでも一番好きなのが、リス君!どんなお話にも、なんの関係がなくても「どんぐりどんぐり・・・・・・・カリカリカリ、あ、いけない食べちゃった!」(笑)
目下の私の目標は、ストーリーを自力でなんとかできるようになること。どうも私のつくるお話はつまらなくて、現在ほとんどはアイディアを連れ合いに頼っています。(汗)
自分は演じる人。舞台もストーリーもアイディアは人任せ〜〜(笑)
基本的にカスパーシアターは一人で演じます。二人で演じる舞台もベルリンにはありましたが・・・
なので、舞台に出る人形は同時に二人までです。手は2本しかありませんからね(笑)そんなところにストーリーの限界があるにはありますが、そこをどう工夫するかがやっててけっこう面白い。
もうひとつ、やってて楽しいのは、出演人形によって声を変えたりしゃべりかたを変えたり・・・。何度も演じているうちに人形のキャラクターがだんだん決まってきています。
最近ネットで連れ合いが「カスパーシアターの歴史」なる本を入手しました。でも私は読めません・・・ドイツ語だから・・・いずれ連れ合いが翻訳してくれるのを待ちましょう。
さてさて、おそらく日本でこの「カスパーシアター」を上演しているのは私一人ではないかと思われますが・・・これから先、どう展開していきますことやら。お楽しみに!
マニュエラおばさんの人形劇場
ドレスデンの大きな公園にあるこどものための野外劇場