深雪 後編
亜紀子が消えてから十数分後。
部屋の中は二人の麗人から流れ出た愛液、乳汁、腸液、汗、涙、涎、尿、血などの混ざり合ったむせるような淫臭を醸していた。
「んんッ、んふッ……」
深雪は時折声を漏らしながら体を震わせ、腹部から届く便意の刺激に耐え続けていた。
亜紀子が消えてから四十数分後。
「んぁッ、んッ、あッあ、んぁ……、んんッん、んあ、んああ、ぁッぁ、ああ」
深雪は全身を紅潮させ、脂汗を垂れ流し、目を強く瞑り眉根を寄せて身悶えていた。襲いかかる便意は、悪魔の突き出す槍がごとく体の内側から深雪を責めあげ、悩ましげな声をあげさせる。
深雪は太ももまでしかない足をさかんに擦りあわせて、気を紛らわせようとする。擦りあう股間からはクチュグチュッという音が断続的に鳴った。深雪は体の内側から来る刺激にさえ、反応しているのである。
しかし、深雪の我慢も限界を超えた。
「んんッ、んッ、んぁッ、んああッ、うあぁああああ……」
深雪の断末魔の声と共に、堤防の役目を果たしていた肛門は決壊した。
ブバァッという猛烈な破砕音を響かせ、凄まじい臭いをまき散らしながら糞尿は双臀と床とが作る小さな空間へと飛び出した。
しかし、溜まりきっていた糞尿はその小さなスペースで足りるはずもなく、先に飛び出した糞尿が壁となり排便は無理矢理中断させられる。
「やぁぁッ……」
あわてて深雪は太ももに力を入れて体を持ち上げ、ブジュッジュジュリュリュという羞恥のかけらもない音をたてながら思う存分糞をまき散らす。
深雪の表情は苦痛を吐き出した喜びにあふれた。
部屋の中は糞と尿の臭気まで加わり、通常の人間には耐えられないものとなる。
「んふぁ、はぁッ、はぁッ、んふぅ……」
全てを吐き出しおえて、深雪は糞尿で作り出された熱い絨毯の上に座りこむ。
「んふぅ、お尻の下、熱いぃ……」
快楽に溺れ、緩みきった表情で深雪は腰を回すように擦りつけ、尻を糞色に飾り立てていく。
前へと追いやられた糞尿は太ももではさみこみ、愛液と混ぜ合わせてニチャニチャ、グチュグチョという音を響かせた。
「んふぅ……、ぐちょぐちょぉ。お尻熱いよぅ……」
その行為に浸っていた深雪の太ももに滴が落ちる。
「ぇッ、あ……何……?」
すりあわせる太ももに落ちる滴は止まらず、彼女の瞳から涙は流れ続けた。
深雪は俯き、流れるがままにする他なかった。
そんな空間に新たな臭いが満ちる。
「あら、やっぱりお漏らししちゃったの。締まりのないお尻の穴ねぇ」
あらわれた亜紀子は、先ほどまで身につけていたブラジャーやストッキングなどを付けてはおらず、真っ赤な首輪を一つ。
さらに全身を白い粘液で飾り立てていた。
「んふ、戻ってくるときに捕まっちゃった。でもお漏らしの言い訳にはならないわよ。あなたにはお仕置きが必要よねぇ」
顔に付いている粘液を指ですくい、肉感的な唇で舐め取りながらそう言う。
「ぁ、ぉ、お仕置きを、お仕置きをくださいませ」
再びもたらされる快楽を求めて、そう哀願する。
深雪は未だ亜紀子の精を受けていない。亜紀子の体に付いた精の臭いは今の深雪には極上の香りであり、その臭いを放つ精をこれから与えられると信じているのだろう。
深雪の瞳は涙を流すのをやめた。
「動物の中には自分の糞を食べるのもいるって知ってる?」
突然、亜紀子が顔を寄せ深雪の涙の跡を舐めながら尋ねる。
亜紀子の体臭は精を浴び、汗が蒸発し、むせ返るような牝の香りをまとっている。
「あなたは家畜だものね。食べるんでしょう?」
亜紀子は屈託のない笑顔を浮かべながら回答を待たず、股間のまわりにあふれている尿で溶けかけた便塊を手に取ると、深雪の目の前に吊した。
二人の麗人の視線が交錯する。
そして、刹那の逡巡。
「ん、むふぅ、んあぁぁ」
深雪は舌を突き出し、目の前の便塊を受け取るために口を開く。
亜紀子は手を離し、口の中に落下した便塊を、深雪は目を瞑りながら一気に飲み込んだ。
「あら、すぐに飲み込んじゃ駄目よ。あなたは飼われてる家畜なんだから、ちゃんと口の中でよく噛んで御主人様の命令があったときだけ食べて良いのよ」
そう言いながら、新たな便塊を深雪の目の前に晒す。
瞳を潤ませながら、深雪は再び便塊を受け入れる。
深雪はクチャッグチャという音をたてながら、口の中で便塊を噛み溶き、己の唾液と混ぜ合わせる。
「はい、お口あーんして」
「んぁぁぁ」
口の中は糞色に染まり、泡立つ唾液と混ざって耐えられないような臭気を放つ。
「良くできました。飲み込んでいいわよ」
音をたてて飲み込むと、深雪は犬のように舌を出して少しでも今の味を忘れようとする。
その深雪の眼前に亜紀子はペニスを晒す。
そのペニスには尿道から大きなリングが飛び出ていた。
深雪はそのリングを見つめ、亜紀子を見上げる。
「このリングを噛んで。離しちゃ駄目よ」
見下ろす亜紀子の瞳も欲望に潤む。
言われたとおりに、深雪がリングを噛みこむと、亜紀子は一気に腰を引いて後ろへと下がる。
「んあぁあああああ……」
亜紀子は自らの亀頭を押さえながらしゃがみ込んだ。
「はぁッ、はぁッ、はぁッ……」
荒い息と共に涎が垂れ落ちる。
深雪の口に噛まれたリングの先には一本の針金が伸び、その針金には堅い毛が放射状に伸びていた。いってみれば特注の試験管ブラシのようなものである。
「ふふ、このブラシとても良いのよ。気持ちよすぎてお仕置きにならないかもね」
口のまわりに涎を付けながらも、息を整えた亜紀子はそう言うと立ち上がり、深雪の腰を抱きあげてゆっくりとアヌスへとペニスをねじ込んでいく。
亜紀子は深雪を抱えたまま糞尿絨毯の上へしゃがみ込んだ。
「まだ、暖かいわね。淫乱変態妊婦のウンチ絨毯は」
その言葉に深雪は目を瞑りうつむく。
深雪の頬をさすり、亜紀子はブラシを受け取る。
「多少は色ボケが治ったかしら」
ブラシのリングを小指に通し、自由になった右手でクリトリスを摘むと皮を使って激しく扱きあげ、左手では腹部をゆったりと撫でる。
「ああッ、あッ、うぁッ、クリちゃんがッ、クリトリスがすごぉぃぃ、ぃいッ、いぃッ……」
「あなたのお母さんは糞を垂れ流しておマンコを濡らす人間以下の家畜なのよぉ」
「ううッ、うッ、ぅああッ……」
深雪は顔を歪め、亜紀子のその言葉に反応する。
「家畜の子供なんてかわいそうねぇ。家畜の子供は家畜でしかないわ」
「ああッ、いやぁッ、ひッ、ひッ、ひッ、ぃいやぁ……」
「家畜は難しいこと考えなくて良いの。主人から与えられるものだけを貰ってればいいのよ」
亜紀子は右手でブラシを持ち直すと、ブラシで激しくクリトリスを擦りあげる。
「ああッ、良ひッ、良ひッ、ひッ、ひゃッ、クリッ、クリトリスが凄いぃッ、良いのぉッ、うぇぁああッ、うぁあ、良いぃッ、良ひぃッ……」
性器を直接削られる感覚に、深雪は今までにない半狂乱状態になり全身で暴れ出す。
しかし、そのことによって亜紀子のペニスは深雪の腸内を荒々しく突き上げ、深雪にさらなる快楽をもたらす。
「ひゃぁッ、ひッ、あッ、あッ、うッ、やッ、あッ、ひぃッ……」
汗が飛び、涎は垂れ、頭を振り乱し深雪はその快楽を味わう。さきほどから頭が真っ白になりかけているのだが、腸内で暴れ回るペニスと削り続けられるクリトリスの快楽に、休むことも許されない。
しかし、突然その快楽は止む。亜紀子がブラシでの責めをやめたのだ。
「あぅッ……」
深雪は体を汗で光らせ、紅潮した体はぐったりと手を軸にぶら下がり、荒い息を吐いて全身で息をする。
亜紀子は、その深雪の淫裂に沿って指を動かし、漏れ続ける愛液に指を絡めながら陰唇を左右に開く。
「んふぅ……」
「はぁい。イヤらしい涎を垂らしてるお口のお披露目でぇす」
そう言いながら、膣口の縁取りをするように指先を滑らせる。
「でもぉ、今はこっちが標的」
そのまま、尿道口に指先を移動させるとぐりぐりと押しつける。
「んふッ、んん……」
「小さな可愛いお口ねぇ。虐めがいがあるわ」
そっと指先を滑らし、小指に掛けていたリングを基点にブラシを右手で握り、尿道口にあてがう。
「天国へ行けるわよ」
ブラシは深雪の尿道の抵抗を退け、奥へ奥へとゆっくりとねじり込まれていく。三pほど奥まで入った時点で亜紀子は一気に引き抜いた。尿道の中に入った堅い毛は逆毛となって柔肉を削りあげながら引きずりだされる。
「ひぃゃああああ……」
「ね、良いでしょう」
答えの声などあげられない女に向かってそう問いかける。
そして、少しずつ本当に少しずつ奥へ入れる長さを増やしながら、入れては出し、入れては出しを繰り返す。
引きずり出される度に尿道の奥は傷つき、ブラシは少しずつ血にまみれていく。
「んひ、んひぃ、おしっこぉ、穴良ぃぃ、ぐりぐりしてぇ……」
深雪はおよそ考えたことのない部分から来る新しい感覚に、股間を見つめ、目を見開きながら悶える。
そして七回目の侵入はブラシの十pほどを一気に突き入れられ、止まる。
ブラシを伝って血尿が流れだし、深雪は声もなく全身の筋肉を硬直させて全身を震わせる。
その体の内側を壊していく快感に、内からの喜びに、空を見つめる。
「ね、良いでしょう。尿道オナニー」
感極まったかのような表情で亜紀子に対してこくりとうなずく。
「でも、これが本番」
深雪に微笑みかけるとブラシ十p全体を使って、激しい出し入れを開始する。
「うああああああぁぁぁぁ……良ひッ、良ひぃぃぃぃぃ……おしっこの穴気持ち良いぃぃ……ひゃぁあいいぃぃぃぃ……」
亜紀子はリズミカルに変調し、また緩やかに激しく、尿道ブラシの抽送を続ける。
すでに血尿と呼べるようなものではなく、飛び散るように粘膜が削り取られ、血しぶきが床に散らばった糞の上に飛び散っていく。
しかし、深雪の表情に苦痛は一切無く、喜悦に満ち満ちており世の全ての快楽を味わい尽くしている雌豚の表情を浮かべていた。
「おひっころあらも、うんひのあらも、いひぃぃ……いひろぉぉ……」
とろけきった脳味噌が、ろれつの回らない口を使いうわごとのように呟く。
「もっと気持ちよくなるには、一度正気に戻るのが一番よ」
気持ちよくなるという言葉に、深雪の目が反応する。
「そう、もっとよ。色ボケさん」
亜紀子は悪戯をした子供をたしなめるような口調で聖女の笑みを浮かべた。
そして右手を宙で振ると、先ほどと同じように右手の中には黒い釘状の物体ががあらわれていた。
右手の中で黒い釘はじわじわと赤みを増していく。
二人の目と目が合い、加虐者と被虐者との双方に喜びの笑みが浮かぶ。
そして、黒い釘はゆっくりと深雪のクリトリスへ近づき、触れた。
「ひぃぃぃッ、あつっぅッ」
悲鳴が空間を走り回る。
黒い釘は快楽をもたらさなかった。ただ、温点に受ける凄まじい熱さだけをもたらした。痛点の快楽と温点の熱さ。麗人はその二つを持ってして深雪で遊んだのである。
クリトリスに触れた時間は刹那であったが、高温により一瞬で重度の火傷の症状を示す。
堪らず深雪は壁に打ち込まれた掌を引きちぎらんばかりに全身を波打たせて暴れ出す。
部屋の中に、人肉の焼けた臭いが漂った。
しかし、亜紀子は面白い獲物を見つけた目で深雪の体を見ると、クリトリスに爪を立てて捻りあげた。
「ひぃぃぃ……」
熱い火傷の部分に受けた痛みによる快楽はジンジンと体の中を削り取るように深雪の体を蝕んだ。
再びブラシを手に取ると尿道への激しい抽送。そして、クリトリスへの焼けただれるような鉄棒あてを始める。
今度の鉄棒はすぐには離れず、ジューッというイヤな音と共にクリトリスを黒く焦げさせていく。
端から見ていれば、血を吹き出して体を焼かれている深雪には地獄の苦しみだけが与えられているように見えるのだが、ほんの僅かな間をあけて行われている二つの事象は、深雪の体に地獄の苦しみと天国の快楽を与えていた。
脳味噌は二つの信号を同時に受け冷静に機能している。
しかし、理性では完全なパニックに陥っており、肉体はなおのこと白目を剥いて口から泡とともに喜悦とも苦悶とも取れる言葉にはならない声だけを部屋中に大音響で響かせるだけだった。
その後も、亜紀子によって右の乳房、乳首、乳輪を黒こげにされながら左の乳房、乳首、乳輪には抓りあげられるというような快楽と灼熱地獄との二律背反。ブラシとペニスを同時に突き入れられてかき回されながらの、尿道内への鉄棒挿入。
深雪はついには完全にグロッキー状態に陥った。
しかし、すぐさま顔面を往復ビンタで現実世界へと引き戻される。
「もう……イヤ……。殺して……お願い」
どこに残っていたのだろうかと見る者がいれば、奇跡を信じたくなるような深雪に残された性欲に支配されていない最後の理性だった。
「何言ってるの深雪。まだお楽しみが残ってるじゃない」
亜紀子はゆっくりと右手を股間へと這わせ、膣口へと手を填める。
「いやぁッ、もう、いやぁッ、許してぇ。殺してぇ。イヤぁぁ……」
泣き叫び、死をこいねがう心は我が子を思う心も含まれていたのだろうか。しかし、願いはどこにも届かない。
「はい、お楽しみのおまんこですよぉ」
亜紀子の右手は躊躇無く子宮の奥へ奥へとねじ込みまれていく。膣口は強制的に拡張され、会陰部へ向かってやや裂ける。羊膜が破れて破水し、湯気を立てて羊水が流れ出す。その手は子宮口を押し広げ、ついには胎児の頭部をつかみ取った。
「うぁう、ああぁうぁああぁうあああ……」
抉り込まれた深雪は、空を見つめ焦点の合わなくなった目で、悲鳴と呻き声と喘ぎ声のまざりあったような叫びをあげた。
その母が叫びをあげたと同じ時間。娘は頭部を握りつぶされた。
亜紀子はアヌスからペニスを抜くと体勢を整え、深雪の最奥部にある頭を握り、ゆっくりと外界へと引きずり出していく。
頭部が膣口から姿をあらわし、羊水と血液と脂肪にまみれながら、娘は死して初めて外界へと躍り出た。
そして、女性の人生最大の痛みといわれる出産行為で最大の喜悦を得ていた。
「ひぃゃああああ…………」
涙を流し、空を見つめながら、この時をもって彼女の精神は完全に現世から彼岸へと渡りきったようである。
もちろん夫との愛のあかしとしての結晶は産声を響かせることは適わない。だが娘の一生を救うことのできなかった母親は、己の性器を破壊しつつ出し入れを繰り返される娘によって堪えることなども考えず快楽の声をあげつづける。
舌をだらしなく垂れ降ろし、涎を滴らせ、ただ言葉といえるかどうかもわからない言葉を発し続ける。
「あぁあ。壊れちゃった。ま、持ったほうか」
優美な右手を二、三度振ると亜紀子の手の中には注射器があらわれていた。そのまま、無造作に深雪の舌を手に取ると、薬液を半分だけ注入する。そして注射器をゆっくりと己の腕へとのばし注入していった。
注射器を捨てると頭部の潰れた胎児を手に取り、その機能があるかどうかもわからない死体の割れ目へとペニスを根本まで突き入れる。血液がペニスへと絡まるように流れ落ち、その絡まりを塗りのばすように柔肉を突き上げてペニスの抽送が開始された。
接合部の血液に白い物が混じったように思えた時、この世での名を持たなかった娘は再び母の胎内へと戻され、胎内で肉塊へと握りつぶされていった……。
暗がりの部屋。
ズチュチュパという粘液の絡まり合う音が聞こえる。
「んふぅ……」
女がいる。
両の手を壁に打ち込まれ、両の膝から下を失ったダルマが。
その女との口の間に唾液の橋を架ける子供。
昆虫のような黒光りする皮膚を持ち、一切の毛が生えていない体を持つ。
ふと見ると、まだまだ同じような子供が女にまとわりついているのが見える。
耳の穴を賢明に舌先で舐めほじくろうとする子。
母の下に潜り込んで、肛門を子供らしからぬペニスで突き上げる子。
黒こげとなった乳首を鋭い歯を立て、噛み切らんばかりに吸い付く子。
「だぁめぇ。だめよぅ」
幼い子らをたしなめるように女は弾んだ声で言う。
いや、実際にその通りなのだ。
彼女の腹から生まれいでた純粋な彼女の子供達。
女は……幸せだった。
(了)