THE SANDMAN: Season of Mist
(1992 Vertigo / DC Comics)

プロローグではエンドレス達の長男であるディスティニーの要請に応じて、デストラクションを除くエンドレス達が一同に会する。そこでデザイアに挑発されたドリームが、自分が幽閉したかつての恋人ナダを救うためにに地獄へと向かうというのが物語の発端となる。
強力な地獄の王ルシファーに破壊されることすら覚悟して単身地獄に向かったドリームだったが、彼を待っていたのは地獄の支配権を放棄するというルシファーの意外な言葉だった。
思いがけずルシファーから地獄の支配権を託されたドリームの元に世界中の神々、妖精、天使達が集まってくる。みなそれぞれの対価を提示して、自分こそがドリームから地獄の支配権を買い取ろうというのだ。
はたして苦悩するドリームが下す決定は?地獄の支配権は誰の手に?そして一万年に渡るナダとドリームの物語の結末は?
第二長編の"The Doll's House"の成功で自信を持ったゲイマンが、いよいよオリジナルのアイデアを本腰を入れて語り始めた作品で、サンドマンシリーズ中でも最高作と推す人も多い傑作です。

プロローグではディスティニーの元にエンドレス達が集まり、エンドレス達の家族性という設定が明確にされますが、今回初めてデリリウムが登場します。 (ちなみにデスが、そのトレードマークにもなったエジプト風のアイメイクをして登場するのも今回が初めてです。)

地獄に向かうドリームは、途中、ヒッポリタ("The Doll's House"に登場した「70年代サンドマン」の妻)の元を訪れ、生まれた子供をダニエルと名付けます。母親の胎内にあって2年間を夢世界で過ごしたこの子供が、やがてサンドマンという物語全体のキーパーソンとなります。

また今回もインターミッションとして、死者達がよみがえったイギリスの学寮に捕らわれた少年のホラーストーリーが挟まれます。この話で人気を博した二人の少年幽霊、チャールズとペインは後にスピンアウトしたストーリーも作られました。
この他に今回登場したキャラクター達の中で、人気を博してその後もシリーズに登場することになるのは、ルシファー、ロキと妖精クルラカンと妹のヌアラなど。特にヌアラはやがてドリームを慕うようになり、そのけなげさから(?)デスに次ぐ人気女性キャラクターとなりました。

なお、ジル・トンプソンによる怪作"At Death's Door"はこの"Season of Mist"を元にした裏話(というかパロディ)となっています。

(2004/04/18)