THE SANDMAN: Preludes & Nocturnes
(1991 Vertigo / DC Comics)

物語は1916年、「死」を捕らえようとしたイギリスの魔術師が予想に反して弟の「夢」を捕らえてしまうところから始まる。
72年の幽閉の後、呪縛を破って自由となったサンドマンことドリーム (Anthropomorphic Personification of Dream; 「夢」の擬人化概念体) は、自分が不在の間に荒廃した夢の王国を再建するために、魔術師によって奪われ散逸した夢の砂、マスク(オリジナルのサンドマンのガスマスクに対応)、ルビー(ドリームの力を蓄えた分身ともいえるアイテム)を取り戻す戦いを始める。
最初の夢の砂はジョン・コンスタンチン(同じDC人気シリーズ"Hellblazer"の主人公。魔術師探偵)の協力により比較的たやすく取り戻すことができた。続いて悪魔の手に渡ったマスクを取り戻すため、ドリームは単身地獄へ赴き、その悪魔との奇妙な勝負に勝利しなければならなかった。そして最後のアイテム、危険な狂人の手に渡ったルビーを取り戻すため、ドリームは自らの領域である夢世界で苦戦を強いられることになる…。
当初はニール・ゲイマン、サム・キース、マイク・ドリンゲンバークのチームでスタートしたサンドマンですが、サム・キースは5号までで抜け、以降はドリンゲンバーグがペンシルを担当しています。
最初の1〜2号のように70年代DCホラー調を意識した回ではキースの泥臭い絵もそれなりにマッチしていたんですが、ゲイマンが「初めて自分の声で語り始めた」と言っている第6号以降の展開を考えると、ドリンゲンバーグに代ったのは正解だったようです。
特にエピローグにあたる "Sound of Wing" でドリームの姉のデスが初登場しますが、最初のイメージを決定づけたドリンゲンバーグの絵が無かったら、今のデスの人気は無かったかもしれないといっても過言ではないでしょう。現在でもデスのキャラクタークレジットにはゲイマンと並んでドリンゲンバーグの名前が出てきます。

ゲイマンによると、この最初のエピソードが月刊ペースの連載で8号分だったのは、もしシリーズの人気が出ない場合は12号(1年分)で話をまとめて打ち切りになることにそなえてだそうです。
ゲイマン自身もサンドマンがこれまでのヒーロー物のコミックとはまるで異なったものとなることは意識していたようで、最初のうちは物語の中にコミックフアンになじみのあるDCヒーロー達をからめることで、読者がサンドマンの世界に取りつきやすくするようにしたようです。
幸いシリーズは売り上げを伸ばしてサンドマンのスタイルが読者に認知されることにより、ゲイマンはいよいよオリジナリティーを発揮し始めるわけです。

(2004/04/18)