THE SANDMAN: A Game of You
(1993 Vertigo / DC Comics)
"The Doll's House"の2年後、ケンと別れたバービーはフロリダを離れ、現在は奇妙な友人達とニューヨークのアパートに暮らしていた。
ローズ・ウォーカーに源を発する「渦」の事件以来、彼女はまったく夢を見ることが無くなっていた。 しかし、彼女の夢世界の住人であるはずのマーティン・テンボーンが、現実世界の彼女の前に出現し、夢世界の宝石ポーペンタインを手渡した日にすべてが変わった。
その夜バービーはポーペンタインの力により2年ぶりにプリンセス・バーバラとして彼女の夢世界へと引き戻される。彼女の夢世界はカッコーと呼ばれる存在により荒廃し始めていた。バービーは夢世界を救うため、少女時代から一緒に夢の中で遊んできた仲間達と共にカッコーの元に向かう。
一方、現実世界ではポーペンタインを胸に眠り続けるバービーの元に、異常を察知したアパートの仲間達、シーメールのワンダ、レズビアン・カップルのフォックスグローブとヘイゼル、魔女テッサリーが集まっていた。そしてテッサリーの力により、バービーを救出するために女性三人がバービーの夢の中へと入っていく…。

"The Doll's House"でローズのシェアメイトとしてチラッと登場したバービーと彼女の夢世界が今回の舞台です。
サンドマンの長編エピソードでは最もスペキュラティブな物語で、個人的にはシリーズ中で最も好きな話です。(アメリカでは人気無いらしいですが)
特に物語のエピローグ、バービーの夢の中で、ワンダとデスが彼女に向かって手を振るシーンは泣かせます。 またドリームが古い夢世界を無に返すシーン、夢世界の住人達が皆ドリームの闇の中へ歩み去っていき、最後に夢の国すべてがドリームの手の中でチリに還るシーンの美しさも印象に残ります。
(このシーンで登場した頬に傷のある謎の女性、アリアノーラがドリームとどういう関係にあったのか気になるところですが、いつかゲイマンが外伝でそのあたりを明らかにしてくれることを期待しています。)
エピソードの大部分でペンシルとインクを担当しているショーン・マクマナスの絵も物語の雰囲気にマッチして非常にいい感じです。
今回登場するキャラクター達では、古代ギリシア人、ローマ人に恐れられ、二千年以上に渡って現在も生き続けるテッサリアの魔女、テッサリーが、後のエピソードでも繰り返し登場することになります。
また、レズのカップルのフォックスグローブとヘイゼルのその後の物語は"Death: A Day of Your Life"として語られることになります。