THE SANDMAN: Endless Night
(2003 Vertigo / DC Comics)
ニール・ゲイマンによるサンドマンシリーズの待望の新刊。今回は "Dream Country" や "Fables and Reflections" 同様に短編を集めた形式となっていて、7人のエンドレス達それぞれを中心にしたストーリーが集められています。
第1章 "Death and Venice"
(絵:クレイグ・ラッセル)
少年時代をベニスで過ごした男セルゲイが、かつてベニス近くの島の廃虚で出会った女性。廃虚に一人たたずむ彼女は門が開くのを待っているのだとといいます。やがて成人し特殊部隊の兵士となったセルゲイが廃虚を再び訪れると、そこには昔と変わらない女性の姿が。そして廃虚の門が開いたとき…。
以前、ラッセルが絵を担当したエピソード "Ramadan" ("Fables and Reflections"収録)は、都がその美しさの頂点で永遠に存在することを願う王がドリームと取引をするお話でしたが、サンドマン全話の中でも一、二を争って人気の高いエピソードとなっています。
今回の "Death and Venice" は魔術により時間の進行をとめて栄華を誇った一日を繰り返し生き続けるベネチアの貴族が登場しますが、テーマ的にもなんとなく "Ramadan" と似たような雰囲気を感じさせます。
第2章 "What I've tasted of Desire"
(絵:ミロ・マナーラ)
遠い昔、村の長に恋した娘が、魔女との取引でデザイアから得たものは…。残酷さと美しさの同居するストーリーはゲイマンの真骨頂といった感じ。
新進のアーティストを起用することが多いサンドマンではイタリアの巨匠、ミロ・マナーラが絵を担当するのは異例といえます。
第3章 "The Heart of a Star"
(絵:ミニュランシオ・プラド)
遥か昔、この太陽系が生まれたばかりの頃、星達のパーティ/議会に集まったエンドレス達の姿を、太陽が娘である地球に話して聞かせるというお話。
ゲイマン自身、前書きで「フアンの要望に答えた」と言っているように、これまでいろいろほのめかされてきたエンドレス達の過去の姿が描かれています。当時デリリウムはまだデライトでしたし、デスも今のような明るい性格ではありませんでした。また先代デスペアの姿が描写されたのはたぶん初めてではないでしょうか。
第4章 "Fifteen Portraits of Despair"
(絵:バロン・ストレイ&デイブ・マッキーン)
ゲイマンによるデスペアについての15の散文をストレイ&マッキーンによるコラージュが飾る小篇。
第5章 "Going Inside"
(絵:ビル・シェンケビッチ)
新しいドリームとなったダニエルが「引きこもってしまった」デリリウムを助け出すために、狂人と精神病者達によるレスキュー・チームを招集するというお話。話す犬のバルナバスやマシューも登場して、"The Heart of a Star"と共にフアンにはうれしいエピソードです。シェンケビッチのスタイルはデリリウムのエピソードにはぴったり。
狂人達の中には「ヴィヴィアン・ガールズ」で知られるアウトサイダー・アーティストのヘンリー・ダーガーをモデルにした老人もいます。
第6章 "On the Peninsula"
(絵:グレン・ファブリー)
地中海に突き出した小さな半島にある遺跡の発掘を依頼された女性考古学者。未来の「遺品」が出土する遺跡で出会った謎の男は…。
第5章の続きとなるお話で、デストラクションとデリリウムが登場。なんとなくマーガレット・セントクレア等のサンリオSF文庫の香りのするお話です。
第7章 "Endless Nights"
(絵:フランク・クイットリー)
本の題名となった巻末を飾るエピソードはデスティニーを謳った散文。サンドマン全編を通じてあちこちで語られてきたディスティニーの姿・性質をあらためて一つにまとめた感じです。
"The Heart of a Star"で描かれた、遥か昔のデス、デライト(デリリウム)、デスペア。
身体に刺青のようなパターンが描かれた初代デスペアは身体も大きかったようです。 デライトの目の色はコロコロ変わりますが、それでも両目の色じは同じ。
デスは彼女が入ってきたとたんシーンとなってしまったパーティ会場で「あ〜ら、お邪魔だったかしら?」とか言ってる、荒んだキャラだったのです(w
(2003/10/07)
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