SANDMAN: Dream Hunters
by Neil Gaiman & Yoshitaka Amano (1999 DC Comics)

ニール・ゲイマンと日本の人気イラストレーター天野善孝のチームによる、サンドマンシリーズの日本を舞台にした外伝的なお話。
基本的には左ページにゲイマンのテキスト、右ページに天野善孝のイラストという絵物語的な構成で、ちょうどゲイマン&ベスによる"Stardust"と同じ形式です。
ハードカヴァー自体の造りも非常に美しく、新書館から出ていた天野善孝画集を思い出させます。

舞台は(おそらく)平安時代の日本。山奥の寺に一人住む僧と、彼に恋した狐娘の物語。
物語は山に住む狐とタヌキが、山寺の僧を追い出した者が寺を住処とするというカケをするところから始まる。
タヌキは猛々しい鎧武者に、狐はなよやかな美女に化けてそれぞれ僧を寺からおびき出そうとするが、共に聡明な僧に見破られてしまう。タヌキは山を逃げ去り、狐は許しを得て山に僧と共に住み続けるが、彼女はいつか僧を恋い慕うようになっていた。
ある夜、狐は森で、都に住む一人の陰陽師が送った式神達の会話を耳にする。陰陽師が夢世界の呪いを使って、僧の命を狙っているというのだ。彼等の話では、次の満月までに僧は三度夢を見る。夢の中で彼は一対の箱と鍵を手に入れ、その鍵で箱のフタを開けたときに彼の魂は夢世界に封じられ、現世での僧の命はなくなるという。これを聞いた狐は身代わりとなって僧の命を救うべく、夢世界を支配する王の元へと向かう…。

後書きによると、元々の物語はRev.B.W.Ashtonの"Fairy Tales of Old Japan"という本に載っている"The Fox, the Monk, and the Mikado of All Night's Dreaming"という話だそうですが、夢世界を支配する王(もちろんドリーム)の存在や、夢の宮殿の入り口を守る「イツマデ」という獣(グリフォン)、夢の宮殿の内部を案内するホトトギス(大鴉のマシュー)など、サンドマン世界の設定と共通する部分が多く、ゲイマン自身も非常に面白がっていたようです。
もちろんゲイマンのオリジナルエピソードがいくつも追加され、平安朝の姿をしたカインとアベルや、ドリームが夢を食べる獣バクに手を焼いているという設定など、物語は完全にサンドマンワールドの一部になっています。

世界中の民話や昔話に造詣の深いストリーテラー、ゲイマンの語りと天野善孝のイラストが非常によく調和した美しい物語で、日本語版も2000年秋に「夢の狩人」(夢枕漠訳)としてインターブックスから発売されました。
流行だった陰陽師もの路線で売ろうという狙いだったのはわかるのですが…


←後書きに載ってる作者二人。天野センセー、大丈夫ですか?(笑)

(2000/01/10, 2004/04/22補)