ZOO Tome 2
Frank & Bonifay (1999 Dupuis)

医師のセレスタンが祖父から相続した古い巨大な私設動物園では、いつものようにセレスタン、マノン、バジー、アンナ達4人が、時には近隣の素朴な村人達をまじえながら、平穏な生活を続けていた。

しかし、この平和な小宇宙を取り巻く世界で吹き荒れている戦争の陰は、着実にセレスタンの心に陰を落とし始めていた。

そんなある日、近くの町でガス爆発事故が起こり、戦争への徴用による医師不足の折から、セレスタンも事故の犠牲者達の救援に駆けつけることになった。
粗末な救護所で負傷者達の治療を続けながら、セレスタンは、戦場ではそれよりもはるかに巨大な悲劇が繰り広げられているという思いと、自分の無力さに苦悩する。
そして、医師としての職責を果たすため、自らも軍医として戦場に赴くことを決断する。

一方、動物園の財政状況も悪化の一途をたどりつつあった。バジーもマノンの反対にもかかわらず、自身の作品をブルジョアに売り渡すことで、なんとか動物園を維持しようと苦闘していた。
こうして表面上は穏やかな日々が続きながらも、季節が秋から冬に移り変わる中、次第に彼らの間には別離への予感が垂れ込めていく。

しかし、初雪が振り始めた日の夕食の席、沈欝な雰囲気の漂う中、アンナが突然、自分がこの「動物園」にたどり着くまでの物語を話しだす。かつてロシアで結婚していた事、傷つき鼻を失い村を追われ、家畜同然の扱いをうけながら生き抜いてきたこと…。
初めて知るアンナの過去は、マノン達の間に再び、明日への希望を持って現在を生きていく力を与えた。

やがて、ひと足早いクリスマスを村人達と祝ったつかの間の平穏の後、セレスタンはマノン、バジー、アンナ、そして動物達に別れを告げ、一人戦場へと赴く…。


自身の医師としての責任感と、愛する者達との別離の間で苦悩するセレスタンの心理が、静かな雰囲気の漂う美しい絵で切々と語られていきます。

フランクの仕事の都合で一時中断していた第3巻の製作も再会されたようで、続巻の刊行が待たれます。

(2006/11/16)