The Witching Hour
by Jeph Loeb, Chris Bachalo & Art Thibert (1999 - 2000 DC/Vertigo)

セルティックな自然崇拝を源とする魔術と共に、600年以上の年月を生きてきた魔術師アレイスター(グレイ)をリーダーとする魔女・魔術師達が、アメリカの大都市に生きる人々の悪や心の闇を暴いていくという、ウィッチクラフト版「必殺!」シリーズ。
主人公となるチームはリーダーのグレイ、ヒロインのホワイト、無口な大男ブルー、ワイルドで少々気まぐれな美女レッド、黒人少年のブラックと、オーソドックスなガッチャマン的構成。名前からすると「戦隊もの」だけど(笑)。

金と権力が象徴する世界に憧れる一方で自分の現実を憎悪するジャンキーの女。過去に秘かに何人もの妻を殺してきたバーの経営者。膨大な借金を埋めるためにその男から死体の処理を請け負ったギャンブル狂の男。愛人をつくり家庭をかえりみなくなってしまった父親に対する愛憎を抱えた17歳の娘。そんな彼等の元に望みをかなえる魔女が、「魔の刻」(Witching Hour)が訪れる…というのが基本的なストーリー。
魔術によって望みがかなえられても、それは彼等が想像していたのとは違った皮肉な結末をもたらすという「魔との取引」ものの基本パターン(「黒いせぇるすまん」パターン?)を踏襲していて、最後にはそれぞれにふさわしい結末を迎えることになるわけですが、魔術による勧善懲悪といった部分では「エコエコアザラク」も入ってるかも。

上の4本のストーリーラインに、精神科医(こいつも悪人)によるカウンセリングの形をとったホワイトの回想(アイルランドを源とする出自とグレイとの関係、セーラムで火刑になった前世など)が絡み合って3分冊の物語全体を構成していますが、全体としてはシリーズものの第1回という感じでキャラクターとバックグランドの紹介がメインになっています。グレイとホワイト以外はまだキャラクターがはっきりしませんが、それは今後明らかになっていくのでしょう(…って、本当にシリーズ化されるの?(^_^;)

ペンシルのバチャロは相変わらず日本人ウケするようなかわいい女性を描いていますし、インカーのシバートの線もシャープで好感がもてます。個人的にはデジタルによるハーフトーン処理を使った面白い効果に注目していますが、とにかく絵が目的の人にも超おすすめなシリーズ。

追記:
ネーム中で使われている"Forever and a day"という言い方が気に入っています。「永遠の次の日まで」ということで凡庸な「永遠に」を越えた想いを伝えてる訳ですね。"I love you forever and a day..."とか。カッコえぇ〜(^^)。

(2000/05/23)