SONG OF ICE AND FIRE:
"A Game of Thrones" "A Clash of Kings" "A Storm of Swords"
by George R. R. Martin ( Bantam )

デビュー以来、数多くの賞を受賞しているマーティンにとっても代表作といえる大河ファンタジーシリーズ。

舞台は、季節のバランスが崩れ夏や冬が何年も続く世界に存在するWesterosというどこかイギリスを思わせる国。王国の最北部にはWallと呼ばれる巨大な氷の壁が築かれ、それが北方の蛮人達や巨人、妖魔達の進入を拒んでいる。 物語はWesterosの七つの地方を治める名門貴族達が共同してエーリス・ターガリエン王を倒し、新たな国王ロバート・バラシオンの治世が始まって少したったところから始まる。狂王のくびきから逃れた王国だったが、しかし早くも七つの貴族達の間で王座をめぐる熾烈な争いが始まっていた….

長大な大河ドラマですが、基本的には王国の最北部を治めるスターク家の子供達が王座をめぐる謀略と戦争の中で翻弄される様を描いた物語、北方からの妖魔達の侵略に立ち向かうスターク家の非嫡出子ジョン・スノーの物語、そしてWesterosから南方の異境に逃れ、いつの日にか女王として国に帰ることを夢見て戦うターガリエン家の末裔、若き女王ダーネリスの物語の三つが平行し、時には絡み合いながら進んでいきます。 さらに各章ごとに視点の中心となるキャラクターが代わりながら多彩なストーリーが語られていくので、読者を飽きさせません。
最初のうちは中世騎士道物語的な世界観がメインとなっていますが、やがて巻を追うごとに魔術や妖魔、ドラゴンといったファンタジー的な色合いが濃くなっていき、それにともない面白さも倍増していきます。

シリーズは現在、第三巻まで刊行されていますが、最も短い"A Game of Thrones"でも700ページ近い長編、さらに山ほど出てくる登場人物達の名前を覚えるのも一苦労(巻末にリストはついているけど)。
それでも一度読み始めるとたちまちのめり込んでしまう、先の読めないストーリーの面白さは保証できます。
2004年3月現在、マーティンは第四巻の"A Feast for Crows"を執筆中ですが、これまた900ページを越えてまだ終わりが見えないという状態のようです。一応8月の刊行が予定されています(元々の予定は2003年秋だった)が、どうなることやら…。

現在第一巻の"A Game of Thrones"は「七王国の玉座」というタイトルで早川書房から邦訳が刊行されていますが、ハードカバー上下巻合わせて5000円以上しますし、刊行ペースの遅さを考えると原書で読んだほうがベターでしょう。(個人的にはカバーの絵が物語の雰囲気にマッチしてないのも気になります。)
上に書いたようにかなりのボリュームがありますが、文章自体は非常に簡明で分かりやすい英語なので、中世騎士世界的な用語に慣れれば、物語自体の面白さもあってハリー・ポッターを英語で読める人なら十分楽しめると思います。

また、外伝の「放浪の騎士」という短編がハヤカワFT文庫の「ファンタジイの殿堂2・伝説は永遠に」に収められているので、手っ取り早く物語の雰囲気を味わって見るにはそちらがお奨めです。

(2004/03/10)