Le Sang des Porphyre :
Tome 1. Soizik

Parnotte & Balac (2006 Dargaud)

物語の舞台は18世紀フランス、ブルターニュ地方にある小さな漁村。
その海岸は近くにある暗礁のため難破した船の残がいや水死体が流れ着く場所でもあり、村の若者たちは難破船があると、漂流物や死体が身に付けている金品を求めて、海岸をうろつくのが常だった。村の牧師は死者を冒涜するものだと厳しく禁じていたが。

その日も村の若者たちはこっそりと、昨夜難破した船からの漂着物を捜して海岸に出ていた。そこで村の娘ソワジックは、女性の水死体が首にかけていたペンダントを見つける。
やがてやってきた村の老牧師に厳しく叱責され、彼らは水死体を村の墓地に運ぶ。
当然彼らが持っていた「戦利品」はすべて取り上げられてしまったが、ソワジックはペンダントを難破船の残がいに隠しておいた。

その夜、こっそりペンダントを取りに海岸に戻ったソワジックは、波に足を滑らせ海に落ちてしまう。
激しい波にもまれた彼女が、難破船の残がいにしがみついてたどり着いた場所は、村人達が「悪魔の住処」と呼び、恐れて近づかないようにしている岩場の洞窟だった。
洞窟に住む大ダコに襲われたソワジックを救ったのは、突然現れた同じ年頃の見知らぬ若者だった。
若者の名前はギュエモン。彼は「悪魔の住処」とその上にある館の廃墟をつなぐ洞窟に、気の狂った母親と二人、村人達から隠れて暮らしていた。彼らはかつての館の主、ポルフィール家の者だった。

数日後、村では若者たちによる恒例のレスリング大会が開かれていた。その場でチャンピオンのルジックは、勝者がソワジックに求婚する権利を得ると、一方的に宣言する。
村人達の前に現れたギュエモンもルジックに挑戦するが、善戦およばず敗れてしまった。けれども、そこにまた一人、見知らぬ男が現れ、彼はルジックを簡単に打ち負かしてしまう。

男の名はコナン。小さいころに船奴隷として村を追われた、ポルフィール家の跡取り、ギュエモンの兄だった。彼は苦難の末、自分自身を買い取ることで奴隷の身分から開放され、自由民として故郷に戻ってきたのだった。

その夜、ソワジックはポルフィールの館が廃墟となったいきさつを祖母から聞かされる。

村を見下ろす崖の上に館を構えていた古い貴族、ポルフィール家の主、ヒアシンス・ポルフィールは、20年前の嵐の夜、二人の息子と共に、ランプの光で一隻の船を暗礁に誘い込み難破させ、命からがら岸にたどり着いた船員、乗客達を皆殺しにして略奪するという非道を行った。
村の牧師の通報により犯罪はただちに発覚し、ヒアシンスは二人の息子共々、館の前に作られた絞首台につるされることとなった。

本来ならば一家全員が処刑されるところを、牧師の懇願により、まだ幼かった末息子のコナンと身重の妻の命だけは救われた。コナンは船奴隷として村を追放され、ヒアシンスの妻もポルフィールの館が村人達の焼き打ちにあった際に、いっしょに焼け死んだと思われていた。
しかし彼女は生き延びてギュエモンを産み落とし、二人は村人に隠れてひっそりと生きていたのだ。

一方その頃、ペンダントを捜し求める男装の女貴族に率いられた男達が村を訪れていた。彼らは村人を皆殺しにしてでもペンダントを手に入れるつもりらしい。
はたしてソワジックが手に入れたペンダントの秘密とは?そしてコナンが故郷に帰った理由とポルフィール家に隠された秘密とは?


ほどほどにリアルで、それでいて描き込み過ぎないシンプルな線と、やはりシンプルで落ち着いた色調の絵柄がたいへん気に入った作品で、続きが楽しみです。
なおBDgestにも9ページ分のサンプルが掲載されています。

(2007/04/01)