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Peter Pan (Tome 6. Destins)
Régis Loisel (2004 Vents d'Ouest)
ストーリー:
ロンドンからネバーランドにやってきた子供達の中でただ一人の女の子、ローズは次第に島の子供達の母親的な役割を演じるようになってきていた。
ローズがピーターによせる想いが気に入らないティンカーベルは、ローズの小さな弟ピクが保管することになった子供達の母親の写真(クンダル氏の封筒に入っていたもの)を夜の間に隠してしまう。そして次の朝、写真を無くしたピクを責めるピーター達に、罰としてローズとピクが子供達の新しい宝物(クンダル氏にもらった小箱)を、ネバーランドの真の宝が隠されている場所に持っていって一緒に隠す、という使命を与えることを吹き込む。
ティンカーベルに導かれて宝の隠し場所に向かうローズとピク。しかしピーター達も知らなかったが、その洞窟は海賊達が命からがら逃げ出したあのワニの巣であり、ワニがネバーランドの宝の番人なのだった。何も知らずにローズとピクは洞窟の中に入っていく。

一方、ピーターからローズとピクが宝の隠し場所に向かった事、それがティンカーベルの提案だったことを聞いたケンタウロスのフォルスは、ローズを亡き者にしようとするティンクの陰謀であることに気づき、ピーターと共にワニの洞窟に急ぐ。
洞窟に着いたピーターとフォルスは、懸命にローズを助けようとするが、結局ローズはワニの口の中に消えてしまった。
目の前でローズが悲惨な最期を遂げて以来、正気を失ってしまったピクを持て余すピーターたちは、ピクをロンドンに送り返すことにする。しかし事件以来やはり姿を隠してしまったティンカーベルの力無しではピクを空中に浮かべることはできない。ピーター達はなお一層ティンカーベルの捜索に力をそそぐ。しかしフォルスが予言したように、ネバーランドが持つ忘却の力によって、次第にピーターや子供達の頭からは、なぜティンカーベルを探しているのか、そもそもティンカーベルとは誰なのか、という記憶すら薄れ始めていた。
海賊船までも探したがティンカーベルを見つけられないピーターは、残る可能性としてロンドンを探してみることにする。そしてピーターがロンドンを訪れていた夜には、やはり再び切り裂きジャックが凶行を重ねていた。

結局ティンカーベルを見つけられずにネバーランドに戻ったピーター達の心からは、やがてローズの事件も忘れ去られてしまう時が来た。そしてそれを見計らってティンカーベルが戻ってくる。しかしすでにピーター達の心からはティンカーベルがローズにした事などすっかり忘れ去られており、彼らは大喜びでティンカーベルを迎えるのだった。
ティンカーベルの帰還を受けて、いよいよピーターはピクをつれてロンドンに向けて飛び立つ。正気を失ったままロープで結ばれてピーターと共に飛んでいくピクに、フォルスは「たとえお前の狂気がどんなに甘美でも…生きていくためにはすべてを忘れてしまいなさい」と別れの言葉を送る。
夜のロンドンに降り立ったピーターは、ピクをかつての自分の家の前につれていき、ここに座っていれば優しいママが迎えに来てくれるよ、と言い残して別れる。
そして道で出会った娼婦の手を振り払い「僕は汚れた大人なんかになるものか!」という言葉を残し、二度とロンドンに、大人たちの世界にはもどらないことを誓ってピーターとティンカーベルはネバーランドに向けて飛び去っていく。
その夜の凶行を最後に切り裂きジャックもまた、ぱったりと世間から消え去ったのだった…。

シリーズ最終巻ですが、物語は実に切ないラストを迎えます。
過去を忘れるネバーランドの魔力とは、常に「今」を生きるという子供の持つ大きな能力であることはわかりますが、それでも仲間の死さえもすぐに忘れていくピーター達の姿を見ていると、不気味な感じすら受けます。エピローグで語られる、死んだ姉ローズのことを忘れることなく、そして正気を取り戻すこともないピクの姿が印象に残ります。
(2006/03/17)
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