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Peter Pan (Tome 5. Crochet)
Régis Loisel (2002 Vents d'Ouest)
ストーリー:
先の戦いでピーターパンによって右手を切り落とされたフック船長は、新たな鍵爪の義手を作らせ、ピーターパンに復讐を誓っていた。
次の襲撃ではピーター達を陸側から不意打ちし、海岸に追いつめるという計画を立てた船長率いる海賊達は、まず子細な地図を作るため、密かにネバーランドに上陸する。

一方、ピーター達もいずれ次の海賊達の襲撃があることを予想して、新たな隠れ家を探しに出ていた。巨大な古木の中にできた洞をその場所に決めると、さっそく皆はベッドやテーブルを作り、新しい家の改築にとりかかる。
ところが次の朝、皆の前にピーターパンの姿はなかった。島をあちこち探したが見つからず、残る場所はただひとつ。ティンカーベルがピーターを迎えにロンドンへと飛ぶ。
夜のロンドン、路上では切り裂きジャックの新たな犠牲者が血の中に横たわっていたのと同じ頃、ピーターは病身のクンダル氏のベッドの傍らに立っていた。
クンダル氏はピーターに彼の母親が殺されて見つかった事を告げるが、ピーターの記憶の中には既に彼女の姿はなかった。
自分の死期が近づいたことを悟ったクンダル氏は、ピーターに美しい小箱を与える。中を見ようとするピーターを押しとどめ、クンダル氏はその箱の中には最も大事な宝物、夢が入っているのだと、そして箱の中身を想像する力、それこそが真の宝なのだと教える。
さらにクンダル氏はピーターに、封の切られていない一通の手紙を手渡し、もはやそれをどうしようとピーターの自由だと告げる。それは彼が若いころ、一人の女性に宛てた手紙の返事。クンダル氏にとって、それが蓋を開けずにおいた彼の宝箱だった。
やがて迎えに来たティンカーベルと共に、今は一人で自由に空を飛べるようになったピーターの姿を最後に目に焼き付けて、クンダル氏は息を引き取る。

その頃、フック船長率いる海賊達は、島の内陸部を探索中にインディアン達に捕らえれ、ピーターの仲間立ちの元につれてこられていた。しかし、ちょうどその時、ピーターが帰ってきたというティンカーベルの知らせを聞いて皆が喜んでいる隙をついて、海賊達は島の中へと逃げ出す。
疲れて帰りずっと眠りこけていたピーターは、目を覚ますとさっそく島の仲間達にクンダル氏からもらった宝物の箱を見せる。そしてクンダル氏が語ったように、想像力を働かせることで、箱の中身がどれだけ素晴らしい宝物となるかということを皆に話して聞かせる。
一方、子供たちの元を逃げ出し、沼地に迷い込んでいたフック船長達は、いまだに彼をつけ狙うワニから懸命に逃げているところだった。スミーが隠れるのにおあつらえ向きの洞窟を見つけるが、その洞窟はあろうことか当のワニの巣だった。中で拾った一冊の本と共に、生き残りの海賊達は洞窟を命からがら逃げ出した。

ピーターはクンダル氏から受け取ったもう一つの品、クンダル氏が長年開封せずにしまっていた彼の宝物の封筒についてティンカーベルと相談していたが、結局彼は封筒を開けてみることにする。封筒の中には、おそらくクンダル氏が過去に愛した女性からの物だろう、1枚の女性の写真が入っているだけだった。
そして子供たちは、その写真の美しい女性を自分の母親だと想像するというゲームを始める。
命からがら海賊船に逃げ帰ったフック船長は、ワニの巣で見つけた本を前に考え込んでいた。それはピーターがクンダル氏にもらい、ネバーランドに持ってきたギリシア神話の本だった。やがて彼はその本がかつて自分のものだったことを思い出す。さらに記憶の紐をたどっていったフック船長は…
今回のストーリーの最後では、フック船長が自分の過去を思い出し、衝撃的な事実に気づくことになります。
また、ネバーランドが持つ魔力、時間の感覚を曖昧にし、記憶や想い出をどんどん消し去っていく力が明らかになってきますが、切り裂きジャック事件とからむことで、サイコスリラー的な不気味さすら感じられます。
(2006/03/17)
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