Peter Pan (Tome 2. Opikanoba)
Régis
Loisel (1992 Vents d'Ouest)

ストーリー:
ピーターとティンカーベルが空を飛んで夜のロンドンを離れたころ、ネバーランドではフック船長率いる海賊達が、島のどこかに隠されているという宝を必死で探していた。
一晩中空を飛んでネバーランドに到着したピーターは、こともあろうにいきなりフック船長率いる海賊達の真ん中に飛び込んでしまう。ティンカーベルの力で空を飛んできたピーターを、本当に空が飛べるものと勘違いしたフックはピーターをおだてて、彼を海賊の仲間に加えてしまう。

一方、海賊達を追い払うためのリーダーを探すという使命を与えてティンカーベルを送りだしたネバーランドの住人達(フェアリー、ケンタウロス、レプラコーンetc.)は、肝心のリーダー候補がいきなり海賊に捕まったことを知ると、ピーターを取り戻すため海賊達に戦いを仕掛けた。しかし作戦は失敗し、逆にリーダー格のパン(半人半獣の牧神)が海賊達に捕まってしまう。

海賊船上に捕らわれたパンは、ピーターと二人きりになった隙をみて、ピーターがティンカーベルの力無しでは飛べないことをフックに黙っていてやるともちかけて、彼を味方に引き入れることに成功。ピーターとパンの二人は協力して嘘の話をでっちあげ、宝はインディアン達が隠しているとフック船長を騙す。その際、ピーターの並外れた機転と生まれ持っての想像力の強さに、パンはティンカーベルの人選が間違っていなかったことを確信した。
ピーターとパンの嘘を信じたフック達は、インディアンを捕虜にしようと、二人をつれて再び島に上陸。そして彼らが襲ったのは、たまたま野草を摘みに出ていたインディアンのタイガー・リリー達だった。

海賊達が捕虜にしたタイガー・リリー達を船につれていこうとしている時、島の住人達がピーターとパンを救出に現れ、海賊達との戦闘となる。
形勢不利と見たフック船長は部下達を船に退却させるが、その際、二人の海賊が道を誤り、捕虜のインディアンとピーターをつれたまま、島の奥、オピカノバとよばれる呪われた土地に迷い込んでしまう。
インディアン達が死よりも恐れるオピカノバ。そこは決して晴れることの無い深い霧に包まれた盆地で、そこを歩く者には、彼自身の心が生み出した、実体化した「恐怖」が襲いかかるという恐ろしい場所。しかしパンはピーターとタイガー・リリーを助けるため、単身オピカノバの霧の中へと入っていく。
やがて意識を取り戻したピーターの前にオピカノバの霧の中から現れたのは、ロンドンに残してきたはずの母親の姿だった…。


第1巻の厳しい現実のロンドン貧民街を離れて、舞台はイマジネーションが生み出した夢の国、ネバーランドに移ります。
フェアリーやケンタウロスといった空想世界の住人達が暮らすネバーランドですが、ディズニーアニメのようなおとぎの国とは違って、こちらはオピカノバという闇の部分も合わせ持った、人の心、想像力が生み出すインナースペースの象徴といった感じとなっており、ネバーランドでの戦闘では現実同様に血が流れ、住人達には苦痛に満ちたリアルな死が訪れます。
同様に、凶悪なフック船長と海賊達にもアニメのようなのんびりした風情はカケラもありません。フック船長に仕えるフレア(アニメではスミー)のキャラクターに、かろうじてアニメ版のようなユーモアが残っている程度です。

※この本は1993年にHeavyMetal/Tundraより英語版が刊行されています。内容の図版は英語版のものです。

(2006/03/01)