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NEVERWHERE
by Neil Gaiman (1997 AVON BOOKS)
サンドマンの作者として一躍名声を博したニール・ゲイマンの初の長編小説。インターブックス社から1999年夏に日本語訳が刊行される予定になっていたのでずっと待っていましたが、結局ハードカヴァーを買って読んでしまいました。
お話は"Neverwhere"というタイトルが示すとおりの「存在しない場所」、もうひとつのロンドン地下世界を舞台にしたファンタジー。主人公は投資コンサルタント会社の警備部門につとめる少し気弱な青年リチャード君。ある夜、バリバリのキャリアウーマンであるフィアンセと一緒に(彼女の上司を接待するため)レストランに向かうリチャードの前に、突然レンガ壁の中から肩に傷を負った少女が現れる。彼女の名はドアー、「地下ロンドン"London below"」の名門アーチ家の娘。家族を皆殺しにされたドアーは、彼女の命も狙う謎の暗殺者達から逃れる途中だった。いきがかりとはいえドアーの逃走を助けることに成功し、とりあえず一安心のはずだったリチャードだが、翌日、彼は自分が突然「存在しなく」なってしまったことに気がつくはめになる。フィアンセも会社の同僚も誰も彼のことを知らない。もちろん銀行のカードは使えないし、道行く人々は彼がそこに存在することにすら気をとめようとしなくなっている。彼はドアーと出会ったことで「存在しない」世界、地下ロンドンの住人になってしまったのだ。こうしてリチャードは、唯一彼を助けてくれる望みのあるドアーに会うため、地下ロンドン世界へと降りていくことになった…。
物語はリチャードを含む「お姫様」御一行が、強力な暗殺者の手を逃れながら、ドアーの家族を殺害した黒幕を探して地下ロンドンを旅するという、比較的スタンダードなストーリーなのだが、そこはニール・サンドマン・ゲイマン。謎の黒幕に雇われた殺し屋クロウプとヴァンデマール(これまでに数十人の王と五人の法皇、五十人の英雄と二人の神を暗殺してきた)や、伝説の女用心棒ハンター、ヘビ女サーペンティンなど、次から次へと魅力的な地下世界の住人達が登場する。また物語の鍵となるアーチ家の者だけが持つ特殊能力(存在するどんな扉や鍵でも開くことができ、さらに扉を二つの世界を結ぶ「どこでもドア」に変えてしまう)や、ニューヨーク(の地下)で巨大な白ワニと戦い、モスクワ(の地下)を支配する巨大なクマを倒し、ボンベイ(の地下^^;)では巨大なトラを殺して地下世界に勇名をはせているハンターが次に狙っている、地下ロンドンの迷宮に住む伝説の巨大イノシシ"Beast of London"など、続編・外伝が何本も書けそうなおいしいアイデアがてんこ盛り(笑)。
もうひとつ面白いのは、地下世界が現実のロンドンの一種のパロディになっていること。NIGHTSBRIDGE駅の地下には虚空にかかる巨大な橋があるし、EARL'S COURT駅(の地下)には領主イール王が君臨し、BLACKFRIARS駅(の地下)では黒い修道僧達が銀の鍵を守っているといったぐあい。東京でいうなら「虎ノ門」の地下にトラが守る巨大なゲートが存在するようなものか。ただロンドンを実際に訪れたことがない僕には今一つピンと来なかったので、日本語訳にはぜひ解説にロンドン観光ガイドマップを付けてください。
追記:
2001年夏に柳下毅一郎氏訳による「ネバーウェア」がインターブックスより刊行されました。残念ながらロンドンの地図は付いていませんでした(w
(2000/01/04, 2004/04/30補)
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