|
The League of Extraordinary Gentlemen vol.2
by Alan Moore & Kevin O'Neill (2003 : America's Best Comics/DC)
19世紀末大英帝国を舞台に、当時の小説中の架空のヒーロー達が実在したという前提の元に、その活躍を描いて大ヒット、映画化もされた人気コミックの第二部。
ストーリー:
冒頭の舞台は火星。ジョン・カーター(E.R.バローズの火星シリーズに登場するヒーロー)率いる緑色人軍とガリバー・ジョーンズ(E.L.アーノルドの"Lieutenant Gullivar Jones: His Vacation"の主人公)率いるハイザー軍、そしてソーン達(C.S.ルイスの『マラカンドラ』に登場する火星人)の連合軍が、火星への侵略者であるウエルズ火星人(タコ火星人)の基地に総攻撃をかけ、ついにタコ火星人を追放することに成功する。しかし火星を逃れたタコ火星人が向かった先は地球だった…
ここで物語はvol.1のイギリスにタコ火星人の砲弾型ロケットが落ちてくるラストシーンにつながる。
火星人のウォーマシンと熱線砲の攻撃から地球を守るために出動したLXGだったが、火星人を利用して地球の支配者になることをもくろんだ透明人間のグリフィンは大英帝国裏切り、密かに火星人達の元に走る。やがて裏切りが見つかったグリフィンはミナ・ハーカーを殴り倒して逃走。そしてそれが、もはやジキルに戻ることのなくなったハイドを激怒させることになる。
その後アラン・クオーターメインとミナはマイクロフトの指令によりロンドンを離れ、サウスダウンズに隠棲するDr.モローの元に向かう。その使命は火星人からロンドンを守るための最終兵器H-142を持ち帰ること。果たして謎の秘密兵器H-142の正体は?
一方そのころロンドンではウォーマシンとノーチラス号の死闘が繰り広げられていた…。
今回はvol.1に比べて細かい世紀末ネタは少なめで、LXGのメンバー達(特にハイド)の内面描写に重点が置かれています。ミナへの愛を胸に死地に赴くハイドの姿は直球勝負といった感じで感動的ですが、一番ヒューマニズムから離れているように見えたキャラクターが、最後に振り子が反対に振れるように最もヒューマニスティックな態度を示すというのは、どこか『ウォッチメン』のロールシャッハを思い出させます。
←コミカルな姿で描かれることの多いウェルズのタコ火星人ですが、今回は原作に忠実な凶悪さ。
←「乳搾り用のイス」と形容された火星人の戦車、三本足の有名なウォーマシンはやたらとモダンでかっこいいデザインで描かれています。
…あんたは俺を恐れてるんだろう。しかし他のやつらとは違う。あんたは俺を憎んじゃいねぇ。多分あんたは俺よりももっとひどい奴に会ったことがあるからだ…違うか?」というハイドのセリフが言及しているのは、もちろんドラキュラのことですね。
←人里離れた研究所にこもって未だに動物の人間化の研究に没頭しているアルフォンス・モロー博士。実はけっこういい人。有名な画家のギュスターブ・モローのおじに当たるという設定です。。額と腕のキズは『モロー博士の島』で豹人間につけられたもの。
アメリカでは映画版があまりウケずに続編の話も消えてしまったLXGですが、原作のほうもどうやらこれで終了のようです。またいつかアラン・ムーアが、vol.1にチラッと出てきた18世紀版LXGを書いてくれることを期待しています。
(2004/02/15)
|