Keepers of the Maser
1 : The 2nd Moon
Massimiliano Frezzato (1996 Heavy Metal)

フランス語版:
Les Gardiens du Maser
tome 1 : La 2éme lune

「それは新世界暦17年、コロニー(Kolony)と呼ばれる星でのこと。惑星を覆っていた氷もついに溶け、移住民達の文明は科学文化の頂点に達していた…。この世代は後に「偉大な光の時代」と呼ばれることになる。しかしその時、すでに巨大な災厄が近づいていることを誰も知らなかった…」
という、かなりベタなスターウォーズ風ト書きで始まる、アフターマス(破滅後世界)もののSFシリーズです。
世界の中心「塔」と呼ばれる巨大都市では、遺伝子操作を受けた下層民(ドワーフ)達の反乱が勃発し、文明はあっさり崩壊。
小さな島々に散り散りになった生存者達は相互の連絡手段を失い、世代を重ねるうちに自分たちだけがこの世界の生存者だと信じ、栄光の時代のシンボル「塔」も伝説の存在として語られるだけになっています。
物語は伝説の「塔」を探して飛行機械を駆る、一人の老人の姿から始まります。


コロニーに果てしなく広がる海の上を一機の小型飛行機が飛んでいた。
操縦しているのは屈強な老人ゼリット。彼は何かを探す旅の途中にあるようだが、トラブルのため海の真ん中の小島に墜落してしまう。
島には若者ファンゴが一人、残された過去の文明のジャンクを修理しながら暮らしていた。彼の相棒は過去の文明の残滓の中から見つけた1台のロボット。

ここで場面はゼリットが後にしたメイザー・ビレッジに移る。メイザー・ビレッジは過去の文明の遺物が眠る水没した都市の廃墟に、生き残った人々が細々と暮らす集落。そこでは長老達がゼリットの娘エラに急いでゼリットの後を追うように命じていた。
ゼリットが出発した後で、これまで水没していた部屋から、彼の目的地「塔」についての重要な情報が新たに見つかったからだ。
その夜、メイザー・ビレッジの空には二つの月が輝いていた。計算よりも数週間早く第二の月が現れたという。どうやらゼリットが探し求めるものは、この第二の月の出現と、さらには惑星コロニーに残された人類の存亡にかかわるものらしい。
翌日、エラはゼリットの後を追って旅立つ。

再び話は絶海の孤島に戻る。島に不時着し、ファンゴとロボットの会話を盗み聞きして、ロボットが過去の文明の中心、「塔」への手がかりであることに気がついたゼリットは、ロボットと共に「塔」を目指そうとする。
しかしロボットを取り戻そうと追ってきたファンゴとの格闘の末、結局二人の乗った飛行艇は墜落し、二人とも霧の中、どこともしれぬ海上の小島に取り残される。
しかし頭上では、夜霧の上から巨大な「塔」の影と二つの月が彼らを見下ろしていた…。


なんだか「未来少年コナン」を思わせる設定ですが、冒頭から登場する飛行機械を始めとするギミック、さらに「錆蟲」「蛇蟲」といった特異な生物相など、ビジュアル的にはかなり「ナウシカ」の影響を受けている感じです。さしずめ「タワー」は「ラピュタ」か「太陽塔」か。
前文明のスクラップの中で暮らす人々や、機械を動かすために必要なエネルギーキューブ、遺伝子操作の結果生まれたフリークスたちの特異な文化など、お約束のSFギミックはすべてそろっていますが、その分凡庸になりそうなところはフレザットの絵が救っている感があります。
キャラクターやギミックなど絵的な世界観の描写にも、写真的なリアルさではない存在感と、いかにもヨーロッパ的な「暗さ」があっていい感じ。
出生率は極端に低下し生まれてくる子供たちの多くが奇形児、主人公達も全員身体のどこかに障害をもっているという設定等、終末感ただよう雰囲気もいかにもヨーロッパSF。

(2006/06/01)

「メイザーの守護者」シリーズ: