Hell and Back
Frank Miller ( 2000, Dark Horse)

物語の主人公はシリーズ初登場の元海兵隊員ワラス。
かつてネイビーシールのエリートとして数々の功績をあげる活躍をしたが、現在は除隊してイラストレーターとして生活している。
人並外れた才能を持っているにもかかわらず、絵に対するストイックなこだわりから、彼は毎月の家賃を支払うのが精いっぱいといったレベルの生活に甘んじていた。

ある夏の夜、海岸沿いに車を走らせていたワラスは、崖から一人の女が海に飛び込むシーンに出くわした。自らも海に飛び込んでワラスが救った女の名前はエステル。女優の卵だった。
誠実なワラスの態度に少しずつ心を開き始めたエステルだったが、崖から飛び込んだ理由は決して話そうとはしない。それでも二人の心は少しづつ通い合い始めていた。
やがて酒場を出たワラスとエステルを突然、何者かが襲撃する。不意打ちを喰らい、薬で身体をマヒさせられたワラスは、エステルをむざむざと敵に奪われてしまう。

謎の敵に奪われた正体不明の女エステルを救い出すため、自ら捜査を開始するワラスだったが、すでに敵の力は警察にも及んでおり、ワラスは警察にも追われる身となる。
しかしネイビーシール時代の強力な味方にも支えられ、ワラスの巨大な組織に対する戦いが始まった。


基本的な絵のスタイルはおなじみのモノクロの「Sin Cityスタイル」。しかしワラスがドラッグにより幻覚を見るシーンはフルカラーになるなど、実験的な試みも見られます。

Sin Cityシリーズでは最長となる物語ですが、その割りにはシリーズの他の作品に比べてスートリー的に散漫で、プロットも単調な印象がぬぐえず、後半明らかになる、敵の組織の正体とその犯罪にも、シリーズ初期の作品のようなインパクトは感じられません。

2005年現在、この作品でとりあえずSin Cityシリーズは完結というような形になっていますが、とりあえずミラーが当初シリーズでやりたかったことは、ほぼやり尽くしたのかな、というのが正直な感想です。

敵方の殺人マシーン。でもミホに比べるとはるかに小物っぽい。

まだマヌートも生きてる頃のお話です。相変わらずヒーローにボコボコにされる気の毒な役回り。
短編集"Booze, Broads, & Bullets"に登場したブルー・アイズも敵方として再登場。

(2005/10/17)