Creatures of the Night
Neil Gaiman and Michael Zulli
( 2004, Dark Horse)

ニール・ゲイマン原作の二つのファンタジー短編"The Price"と"The Daughter of Owls"(共に短編集"Smoke and Mirrores"に収録)にマイケル・ズーリが絵を描いた、絵物語風のコミックです。
ズーリはサンドマン本編の"The Wake"や、やはりゲイマン原作の"The Last Temptation"などの作画も担当しています。

"The Price"
郊外に住む作家である私の家には多くの捨て猫や野良猫が迷い込んできて、家族の一員となって暮らしている。そこにある日一匹の黒猫がやってきた。その雄猫は気性は穏やかで人間にも慣れているため、おおかた近所の農家で飼われていたことのある猫だろうと、私は深く考えることもなく、彼を飼い猫達の一員に加えることにした。

やがて仕事のため数週間家を留守にして帰宅した私は、黒猫が大きな傷を負っていることに気がつく。それはあたかも他の野生動物と戦って負ったような傷だった。獣医の手当てを受けた後、黒猫が快復するまで、私はしばらく彼を地下室に隔離して安静にさせることにした。

猫が地下室に移った日から、私の家庭には大小さまざまな不運やトラブルが続いた。そして不思議なことに、元気になった黒猫を地下室から出してやり、彼がいつも座っている庭のポーチに戻ったとたん、トラブルはすべて解決し事態は好転し始めた。

地下室から出てきた次の日の朝、さっそく顔に新しい傷を負っている黒猫を見た私は、毎晩、黒猫が何と戦っているのか突き止めることにする。
そして深夜、暗視ゴーグルを使って庭を監視していた私の前に現れた物は…

きれいにまとまったファンタジックなホラー短編です。


"The Daughter of Owls"
昔々、ダイムトンの町の教会の前に、一人の赤ん坊が捨てられていました。発見された時、その赤ん坊は手にフクロウのペレット(フクロウが吐き出す、消化できずに残った獲物の骨等の塊)を握っていたため、信心深い町の人々はその赤ん坊が人間ではなく「フクロウの娘」だとして彼女を殺してしまおうとします。

結局、賢者達は一つの決定をしました。赤ん坊は町から離れたところにある荒れ果てた修道院に住むただ一人の老婆に託され、食料は町から届けられる。娘が死んでしまえばそれでよし、もし生き延びても一生修道院の中から出ることは許されないというものです。

町の女達は皆、赤ん坊がすぐに死ぬものと思っていました。しかし娘は無事に成長し、老婆が死んだ後も一人で修道院に暮らし、やがて16歳の大変美しい娘となりました。

修道院に食料を届けている女から娘の美しさを聞いたダイムトンの男達は、彼女を一目見ようと、狩に出ると偽って満月の夜に密かに修道院を訪れたのですが…

いかにもゲイマンらしいフォークロア風のダークファンタジー。

(2005/08/24)