CAÑARI (Tome 1. Les Larmes d'Or)
Crisse & Meglia (2005 Soleil)

神話世界をモチーフにしたストーリーを得意とするクリスと、アルゼンチン生まれのベテランBDアーティスト、メグリアのコンビによる古代マヤ世界を舞台にした冒険ファンタジー。
特にメグリアによる生き生きとしたキャラクターとカラフルな背景が魅力の本です。

ストーリー:
物語の主人公は、マヤ文明が栄えていた時代、神官の補佐官である父親を持ち海辺の町に暮らすカナリという娘。
ある日、カナリは双子の弟妹スマとキア、末っ子のサオティルをつれて、到着した交易船に売るために、ジャングルの中にある聖なる泉まで水を汲みに出かけた。ところがカナリ、スマ、キアの三人が泉で泳いで遊んでいる間に、いつの間にか幼いサオティルが姿を消してしまう。
あちこち探し回ったカナリ達は、泉のそばにある神殿を見つけて、中を調べてみた。けれども、そこにもサオティルの姿はなく、その上神殿に捧げられた聖なる腕輪を見つけたキアが、うっかりそれを手にはめたところ、不思議な力が働いているかのように、腕輪は手から取れなくなってしまった。

サオティルが既に帰っていることに望みをかけて一度は帰宅したカナリ達だったが、やはりサオティルの行方はわからない。サオティル行方しれずになったことと、キアが神殿の宝物をいじった事を知った彼らの父親は激怒した。サオティルは間近に迫った祭の日に、神と交信する儀式のために必要な、一種の「依代」なのだ。
怒った父親に命じられ、カナリ達は再び弟を探しに、夜のジャングルに向かう。

サオティルを捜すカナリ達は、ジャングルでプーカと呼ばれる森の精霊達に出会った。彼らの話では、どうやらサオティルは樹の根元に口を開けた小さな穴に入っていったらしい。
やっとサオティルの手がかりを得たカナリ達だったが、突然現れたジャガーに追われて、ジャングルにある小さな湖に飛び込む羽目になる。
明かりに誘われて水の中を泳いだカナリ達が出たのは、これまで存在することすら知らなかった不思議な無人の都市だった。しかもいつの間にか空は夜から昼に変わっている。

戸惑うカナリ達の前に、一人の勇猛な戦士が現れる。サオルクオパと名のるこの戦士も、やはりこの不思議な都市に迷い込み、どうやっても出ることができず、もう長いこと都市に暮らしていたらしい。サオルクオパの言葉を証明するように、いつの間にかカナリ達が水中を通って入ってきた泉も消えていた。

そうこうしているうちに、突然現れた死者の群れがカナリ達に襲いかかってきた。彼らは樹の上に追いつめられてしまうが、そこにまた突然現れた鳥売りの老人、トポキル(幻覚サボテン、ペヨトルの力で二つの世界を行き来できるらしい)に助けられ、彼らはジャングルの中にある「月の門」にたどり着く。

「月の門」を入ったカナリ達を待っていたのは火と日照りの神、マニクだった。マニクもやはり早くサオティルを見つけるようにカナリ達に命じ、彼らを元の世界へと送り返す。
こうしてマヤの伝説に言われる下層9世界、上層13世界の間を越えて、カナリ達の弟を探す冒険が始まった。


プロローグとエピローグでは、現代、謎の手紙に呼ばれて、マヤ遺跡のある町を訪れた若者たちの話が語られます。どうやらカナリ達が生きていたのと同じ場所らしいのですが、今後、二つの世界がどのように交差していくのか楽しみです。

登場人物
カナリ スマとキア サオティル
サオルクオパ トポキル プーカ マニク

(2006/04/29)