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The Big Fat Kill
Frank Miller ( 1996, Dark Horse)
物語は、これまでも何度も登場したシン・シティーのバー、モリーの店で働くウエイトレス、シェリーのアパートから始まる。
ある夜、彼女のアパートに酒に酔った男達が押し掛けてきた。リーダー格はジャッキー・ボーイと呼ばれる、かつてシェリーとつき合っていて捨てられた男だった。
酒の勢いを借りてシェリーの部屋に無理やり押し入り、彼女に乱暴しようとしたジャッキーだったが、その時やはりシェリーの元を訪れていたドワイト(彼は"A Dame to Kill for"でアバに捨てられて自暴自棄になっていた時期にシェリーとつき合っていた)によってたたき出されてしまう。
半狂乱で夜のシン・シティーに飛び出していったジャッキーと仲間達が、よけいなトラブルを起こすことを気にかけたドワイトは、自分も密かに彼らの後をつけていくことにする。
そしてジャッキー達は自ら最悪の運命を選択する。彼らが向かったのはシン・シティーの娼婦達による自治区、オールド・タウンだった。街に入った時からすでに武装した娼婦達に見張られていることも知らず、道を歩いている一人の娼婦を酔いに任せて、車に引き込もうとしたジャッキー達は、ほとんど何が起こっているのか気づく間もなく、オールド・タウン最恐のアサシン、ミホの手によって命を失うことになった。
ここまでは、ルールを侵した者に与えられるのは死というシン・シティーの暗黒街では大して珍しくもない事件であり、殺された男達もそのまま闇に葬られたことだったろう。しかしドワイトが死体となったジャッキーのポケットから警察のバッジを見つけた時、事態は一変した。彼は実はマスコミから「アイアン・ジャック」とあだ名されるほどの人気刑事だったのだ。
これまでシン・シティーの警察とオールド・タウンの娼婦達の間には、警察はオールド・タウンに手を出さない代わりに、娼婦達も麻薬や密輸などの他の組織とはかかわりを持たず、トラブルはオールド・タウン内で解決し、互いの領分は侵さないという暗黙のルールが存在し、バランスを保っていた。しかし有名刑事がオールド・タウンで殺されたとなると警察はその面子にかけてもオールド・タウンに乗り込んでくるだろう。同時にそれに乗じて、オールド・タウンの支配権を握り娼婦達を食い物にしようというギャング組織も加わり、暗黒街は全面戦争に突入してしまう。そして娼婦達に勝ち目は無い。
かつて自分の命を救ってくれたオールド・タウンの娼婦達を守るため、ドワイトはジャッキー達の死体を車に積んで、決して発見されることの無いタール・ピットに捨てに向かう。しかしすでにジャッキー・ボーイの死はギャング達の知るところとなっており、暗黒街の全面戦争勃発の鍵を握るジャッキーの死体を巡って、ギャング組織が送り込んだ刺客達とドワイト達の間で壮絶な死闘が開始される…
1、2作のような男の悲哀を漂わせたハードボイルド路線とは趣を変え、ピカレスク・アクションとでもいうようなガン・ファイト満載、そして死人の首の争奪戦といった、相変わらずの過激なバイオレンス演出も満載のストーリー。
前作"A Dame to Kill for"では詳しく描写する余裕の無かったオールド・タウンについても、さらに詳しく描かれています。
今回もドワイトと共にIRAのテロリスト達と戦う、オールド・タウンのアサシン、ミホの活躍が目を引きます。
(2005/09/02)
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