「Dr.フジカワのCG道」
第1回: 線画キャラクターの肌を塗る
肌の影やハイライトは絵の立体感につながる最も基本的な部分ですが、ここではキャラクターの肌を塗る基本的な三つの方法を紹介します。(もちろん他にも山ほど方法はあるし、自分の好きなやり方で楽しく描けばそれでいいんですが。)
1.ペインターの水彩モードを使って直接線画に着色する方法

まず着色する下絵をペインターに読み込み、肌のベースになる色(薄いオレンジ)を水彩筆で塗ります。水彩用消しゴムではみ出した部分を丁寧に消したら、肌の明るい部分も軽く色を落としておきます。この時、水彩用消しゴムの不透明度を10%程度に落として使用すると自然な感じに明るくすることができます。
ここで一度「乾燥」コマンドを使って色を固定したら、影になる部分に再度色を薄く塗り重ねていきます。塗り重ねた部分は色が濃く暗くなっていきますが、濃い色を使って一度に塗ろうとしないで、薄い色を塗っては乾燥させることを繰り返した方がグラデーションがきれいにできるし、影の部分に深みも出ます。
このやり方は実際の水彩絵の具やカラーインクを塗るのに感覚が似ているので初心者にも一番分かりやすい手法ですが、ペインターの水彩モードで描いた絵は微妙な紙肌のタッチまで表現されている分、修正する場合に跡が残らないように修正するのが難しいという欠点もあります。
2.線画を別レイヤーにしてフォトショップのエアブラシで着色

いろいろなCG解説本で取り上げられている超基本的な方法。以前にNewtype誌で連載した「Dr.フジカワのCGアート塾」というコラムでも詳しく解説しました。最初に線画だけを透明なレイヤーに写してアニメのセル画のような状態にしておいてから、下のレイヤーに色を塗っていきます。線画を透明なレイヤーに転写するのに"Eliminate White"というフィルタを使うと一発で白い紙の地の部分を透明に変換できるそうですが、僕はオーソドックスにアルファチャンネルを使ってます。フォトショップ2.5の頃からその方法に慣れてて大した手間じゃないし、線の色を微妙にコントロールできるので。
エアブラシの色がはみ出さないようにするマスクをいかに効率良く作れるかがポイントですが、肌のベースの色を塗ったらその上に影用、ハイライト用のレイヤーを作って、そちらにエアブラシで影やハイライトの色を塗るようにすれば、はみ出しても消しゴムで消すだけなので修正も楽です。
ただ、この着色方法だとのっぺりとした感じになって、タッチの個性が出ません。(逆に個性が出ない点を利用しているのが寺沢武一さんだと思いますが。)それにぬり絵を塗っているようで作業が全然つまらないので、最近は仕事以外ではまったく使いません。
(でもタッチなどが関係ないゲーム用の絵を彩色する時などは便利なのでよく利用します。そこそこの絵が早くあがるから(^_^;。)
3.ペインターを使ってアクリル絵の具風タッチで着色する

最近メインにしている方法です。まずペインターの水彩モードでベースの肌色を塗って乾燥させたら、次にやはり水彩モードで影の部分ににおおまかに色を置いていきます。これを乾燥させた後で、今度は普通のブラシや色鉛筆で明るい部分をおおまかに塗って全体の明暗の位置を決めます。その後でペインターの
「はけ状筆」を使って肌の色を滑らかに塗りのばしていきます。
以前は下絵の線画は完全に塗りつぶしていましたが、最近はパーツのアウトラインなどは線を残したままにしています。(その方が倍以上早く描けるので。)必要ならかなり細かく描き込むこともでき、筆のタッチもまずまず生かせるので非常に気に入っている手法ですが、昔、CGをやる前にアクリル絵の具を使っていて、習作一枚描くのにも悪戦苦闘していた頃のことを考えると隔世の感があります。

←こちらの作例も上記3の手順で彩色しましたが、
彩色の各ステップについてまとめた画像を用意しました。少しサイズが大きめですが興味のある方はぜひご覧ください。絵をクリックしても表示されます。(JPEG189KB)
以上、紹介した三つの手法はあくまで基本なので、実際にどんどん描いてソフトをいじりながら少しずつ自分に合った塗り方を探すのがいいと思います。どんな画面にしたいのかというイメージがはっきりしているのが一番ですが、初心者は上手な人のタッチを真似るようにソフトの設定や描き方を工夫するところから始めるのもいいんじゃないでしょうか。