FT-101Zにエレキーとタイミング回路を適用する作業

前にFT-101ZDを改造なしでブレークインを実現する作業をもう少し検討する と言う訳でやってます。

今回はTTT研究室から頒布されたAVR ELEKEYの部品を基にして製作したエレキーと必要なタイミング回路を組んだ基板を実装するものです。

前回目標とした「出来るだけ本体の改造無しの構想」は多少無理があった様です。矢張り使用している送受転換リレーの動作時間が問題でした。

もう少し 全体を小型に組んで最終的な構造を目指してやりました。
背面に取り付けた様子です。

内部に取り付け可能なスペースが無かったので少し工夫してあります。
FT-901ではある程度のスペースを確保出来ましたが、FT-101Zでは無理でした。

背面にオプションのDC-DCコンバーターを取り付ける穴が都合良く四個あって そこへ取り付ける事にしました。

ケースはパソコン用の切換器だったものです。
この辺りでは未だ本体改造無しで と作業出来ました。

内部の様子です。

左側に電圧の安定化 IC7805があり、その電源をDC-DCコンバーターを動作させる為のAC9.5Vを取り出して使っています。
基板上の青い細長いものがタイミングを決めるコンデンサ0.47uFと多回転のVR 100KΩが二組あります。

見えている可変抵抗器は符号の速度調節用で10KΩです。
当初はFT-101ZのNB調節のVRを使う予定でしたが配線が面倒なのでこうしました。

タイミング回路の出力は適切なタイミングの負論理出力が二つあり、一つはPTTコネクターへ、もう一つはキージャックへ接続しています。

次の写真は短点を一秒間に10個送出している時のタイミング波形です。
キーヤー出力と制御信号の時間関係を示す写真です。二番目と三番目の信号は実際の出力としては負論理です。
一番上がキーヤー出力で下がり方向でトリガーしています。
二番目の波形が後ろ側に遅延をかけたものでPTTコネクターへ行ってます。
三番目は前側に遅延を持たせた波形でキージャックへ行ってます。
使い方は次の通りです。

先ずキーヤー出力と同じタイミングでPTTラインをアースするので直ちにアンテナリレーと送受転換リレーを受信から送信側へ切り換えて原発振を含めて送信状態にします。
この時点ではアンプのバイアスがカットオフですから未だ電波は発射されていません。発射されては駄目です。サイドトーンは鳴っても構いません。

次に少し遅れた三番目の信号がカットオフだったアンプに正常なバイアスを加える回路を制御してやっと電波が発射されます。

次いで キーアップで一短点或いは一長点を出し終わった時点で最初にアンプのバイアスをカットオフに戻して発射していた電波を止めます。少し遅れて送受転換リレーとアンテナリレーを送信から受信側へ切り替えて一つの動作が終了です。
写真では前側の遅延時間を約8mSに 後ろ側は約4mSに設定してあります。
この時間は可変抵抗器で変えられます。

前側の遅延はアンテナリレーが受信から送信に切り替わった後にチャタリングが終わってからアンプのバイアスを供給するのを待つのに必要な時間です。
後ろ側はバイアスがカットオフになってアンテナリレーが送信から受信に切り替わる時間が有る程度あるので前側より少し短い遅延時間で良いです。

       タイミング回路を調節してキーイングした時は?

タイミング回路を付加する訳は"Start Up Distortion"を無くすのが目的ですが実際には次の様にして解決します。一例です。

受信から送信状態に切り替えるとキャリヤーが発生しますがPAのグリッドバイアスがカットオフ状態のままで電波は未だ出ていません。
そこで適当なタイミングでバイアスを適正な電圧にすると電波が出ます。

キーダウンするとカットオフとなり電波は出なくなりますから少し遅延して送信状態から受信へ戻します。

次の写真でその様子が分かります。
左側の写真は短点信号を一個だけ送出した状態で"E"です。

二番目の写真が短点を二個送出した状態で"I"です。

いずれの場合も上側の波形が送受転換リレーのドライブ波形でキーヤー出力より少し長めの約10mSに調節してあります。

又 高周波信号の出だしは約7mSになる様に調節してありますからキャリヤーを途中で切り取った様な形になって目的を達しています。

タイミング回路無しの状態とは明らかに異なり
"Start Up Distortion"が無くなっています。

解消するには改造が必要でした。

       問題点を解消できた訳  一言で言うと 送受転換リレーを高速タイプに交換すると同時にタイミングを適切な状態に設定して解消。

問題点、Start Up Distortion、を解消するにはタイミングだけ追及しても駄目です。
とうして起きるのか、見極めが大事です。次の通りです。

FT-101ZやFT-901ではCWモードにおいて キーヤー出力は一番初めにトーンゼネレーターを起動します。
その出力でVOX回路の一部を動作させて送受転換リレーをドライブします。その時はまだアンテナリレーは受信状態です。

送受転換リレーで送信機回路に直流電圧を分配しますが その電圧でアンテナリレーやBMにDC電圧をかけるリレーなどをドライブすると同時にPAのグリッドバイアスをカットオフから適正な値に変化させますから 夫々の動作時間の遅れがあって信号の出だしが損なわれる と言う訳です。

従って何れかのリレーの動作の順番を変えると同時にタイミングを整える必要があります。
先ず アンテナリレーを受信から送信に切り替えるのが一番最初です。次に送受転換リレー。これはアンテナリレーと同時でも構いません。
最後にアンプ部分の動作(グリッドバイアス)の順。 又 送信終了で受信に戻る時は以上の逆です。夫々の動作時間(間隔)には多少のずれ(遅延)を設けます。

それでも どうにもならないので リレーを高速タイプに交換する必要があります。送受転換リレーを高速タイプに交換しました。
換装しようとしているリレーとその他の部品です。

NRリレー四個とオリジナルのリレーを互換性を保ちながら換装する工夫です。
即ち、リレー基板からリード線を出し、交換しようとしているリレーと同じものを分解してコネクターとして使用する計画です。
必要ない接点もありますが取りあえず全部の接点を等価交換します。

切り替えているのはメーター/+12V/+6V と背面に出ているアクセサリソケットの一部のピン
この内 +6VはAMユニットを動作させる為のもので必要ない号機があります。
又 アクセサリソケットピンへの配線は外部機器を使わないなら不要でしょう。

今回は完全互換性を追及します。

尚 使用しているリレーはNR-SD-5Vでコイルには定格5Vのところ最大で13Vをかけても良いとカタログにありましたから+12Vで使います。+5Vで使用するには電圧変換か何等かの細工が必要。
又 このリレーは静電シールドタイプです。
交換したリレーの取り付け場所の様子です。

四個のリレーが載った基板を裏返して写真の様にカウンターユニットを取り付けてあるネジで共締めとしました。
片指示ですが仕方ないです。

交換した効果は抜群でした。
上の方でお見せした写真の通りです。
タイミングを適切に設定したので"Start Up Distortion"は完全に無くなりました。

一秒間に10個の短点を送出する程度の速度なら違和感は全然有りません。

       AMモードでキーイングしたらどうなったでしょうか?