失われる製作者の視点

デザインコンセプトに縛られる

最終更新
2004-12-13T22:01:19+09:00

私がCSSに感じている一番の利点は、デザインコンセプトから文書の中身が開放されることです。サイトは成長します。その成長にあわせたデザインの変更を容易に行うことが出来るのが、CSSの本当に素晴らしい点なのです。ところが、そのフレキシビリティ(柔軟性)を奪ってしまうのが……

ナビゲーションという、文書内容ではない何か

すべてのページに全セクションへのリンクを設けないこと。ヘアドライヤーを探しているユーザが、グランジ・ミュージックのページに行きたくなる可能性がどれほどある?もっとはっきり言おう。人類史上で、こんなリンクが必要になる日がやってくる可能性がどれほどあるというのだろう?たんにホームページに戻れば済む話ではないだろうか(きちんとコードが書いてあれば、すでにキャッシュに入っているページの表示には0.5秒しかかからない)。

Alertbox: ナビゲーションは役に立つのか?(2000年1月9日) より

この全セクションへのリンクを、 グローバルナビゲーション と言います。

上のNielsen博士の表現は大袈裟かも知れません。しかし、私は制作者本位の観点から、このグローバルナビゲーション否定を強く支持します。特に、個人サイトでは絶対にやって欲しくありません(※1)。

グローバルナビゲーションの概念についてはグローバル・ローカルナビゲーションが参考になります。

(※1)個人サイトでは絶対にやって欲しくありません。
ウェブサイトを組織的に運営している、あるいは、Dream Weaverのテンプレート機能のようなツールの使い方を知っているなら、この限りではありませんが、Nielsen博士の言うユーザビリティ的な問題も確かに存在しますので、やはりお勧めは出来ません。

Nielsenを支持する理由その1

多くの個人サイトを深い考え無しに模倣するのは、大抵の場合間違っています。HTML然り、CSS然り。サイト構造も然りです。

ウェブサイトのカテゴライズは、常に適切と言い切れるでしょうか。トップページのコンテンツリストには、しばしば歪なバランスを持ったものが見られます。

ウェブサイトの主役は、リンク集でしょうか。掲示板でしょうか。そういうサイトもあるでしょうが、それが目的でウェブサイトを構築するのではないのであれば、メインのコンテンツを閲覧者に隠蔽する意図がないのであれば、それらと並列させるのは間違いです。サイトの表紙となるトップページにこそ、メインコンテンツの中身がどのように構成されているのかを、リストにして閲覧者に提供すべきです。

このようにトップページ、あるいはサイトマップにて、サイト構成の変化を表現し、個々の文書にグローバルナビゲーションを配置しなければ、ウェブサイトの構成は柔軟な変化が可能になります。

Nielsenを支持する理由その2

ウェブページは、それぞれ独立した一個のリソースです。そしてbody要素とは、文書内容でありますから、本来ナビゲーションなる要素が紛れ込むのはおかしいのです。

ウェブページそれぞれはリンクによって結び付いています。現在WWWで利用可能な「単純なリンク」は、2つのウェブページを結び付ける形のものですが、この2つのウェブページとは、参照する側とされる側を意味します。参照するからには理由が必要です。つまり、そのウェブページが、他のウェブページの参照を必要とするそのとき、リンクするという行為が生まれるはずです。

従って、文脈的に関係のない、全く異なるカテゴリのウェブページを「ナビゲーション」と称してリンクするのは参照行為とはかけ離れた異質のものであることが理解されるでしょう。

ではこの異質のものとはなんでしょうか。

それこそ、制作者の独り善がりに他なりません。つまりウェブサイトという形、その幻想を押し付けるのが、余計なナビゲーションという形に表れるのです。末端の文書から、何故関係のないリンク集にリンクする必要がありますか。何故BBSにリンクする必要がありますか。それは制作者の都合です。文書内容はそれを望んでいません。

さて、文書を擬人化したようなものの言い方をしました。しかしこの考え方、つまり自分の作成した文書を主役と考えて大切にすることは、制作者にとって利益であることは疑えません。また、閲覧者にとっても利益です。閲覧者は、文書の内容にアクセスしにくるのです。リンクが、その内容を補完するものである限りにおいて、価値を高めてくれます。閲覧者はそのようなタイプのリンクを好みます。目的物の価値が高まるのですから。

コンテンツが大事、というのは中身だけの話ではないのです。中身と、そのケアを含めて大切にすることが、コンテンツを大事にするということです。リンクは、その「ケア」の、最も重要な要素です。

ナビゲーション用途のリンクは、もともと必然的な関係のない存在ですから、サイトの規模が変ると要らなくなります。というより、そのような場合に要らなくなるものこそ、純粋なナビゲーション用途のリンクであったと言うべきでしょうか。

一方で、サイト規模と無関係に残るリンクもあるでしょう。それが、本来のリンクです。文書の価値を高めてくれるリンクだから残ったのです。

私はa要素には、潜在的にrel属性とrev属性の値があるものだと考えています。rel属性とは、リンク先のリソースが、そのリンク元のリソースにとってどういう意味をもつのかを示す為の属性です。その値を持たないものを、私はリンクと認めません。例えばウェブ広告です。誰もが無視しますね。参照ではないからです。つまり当該文書とは関係のないただの移動手段だからです。

このサイトは、2階層構造で完結しています。そのため、このようなナビゲーションが成立しているように見えます。しかしこのサイトは、この形式ではこれ以上の階層構造を拡張できません。いやできるのですが、そうするとナビゲーションの一貫性を失い、ウェブデザインとしては屑です。一貫性を保つ為には、コンテンツを増やすたびにナビゲーション要素を追加拡張する必要があります。

その場合必要となるのは冗長な手作業、あるいはツールに頼った一括処理、そしてサーバーサイドの処理です。これは潜在的にナビゲーション構造が文書から独立していたことを意味します。なぜなら文書それ自体には何の変更も無いのですから。

そのような、文書内容とは独立した要素があっても構わないでしょう。しかし問題なのは、それがリンクであるということです。

具体的な話

最終更新
2002-08-04T17:29:26+09:00

では、私が歪であると表したこのグローバルナビゲーションが、ウェブデザインにどのように影響しているでしょうか。

横に並べる

訪問者に優しいWebサイト作りを見てみますと、各ページの上部に横に並んだ8つのナビゲーションリンクがあります。私は、これはデザイン的に失敗していると言い切ります。これらの8つのリンクと、サイトマップとを合わせ見て下さい。「極悪Webサイトの見本」というコンテンツは、グローバルナビゲーションに含まれていません。おそらく後から追加したコンテンツなのでしょうが、閲覧者は、結局は、「Home」あるいは「HOME」へ戻らなければサイトの中身を十分に見ることはできません。ならば、最初からHomeというナビゲーションリンクだけで、あるいはサイトマップへのリンクだけで事足りたということです。

ただ、このサイトのグローバルナビゲーションは、私の否定するタイプのそれとは一線を画しています。文書との関連性があるからです。

尚、「パンくず式リスト」と併用している為、トップに戻るリンクが2つあり、混乱の元になっています(Home と HOME)。やはり、必要のないものでしょう。

訪問者に優しいWebサイト作りのナビゲーションは、改善されました。

「別窓(リンク先を新しいWindowに強制的に表示させること)」は、適切に利用されるなら初心者にとって便利なものかも知れません。グローバルナビゲーションも然りです。迷子になりやすい初心者にとっては便利かも知れません。両者は、サイト制作者の「エゴ」の押し付けである点で共通しています。前者が「このリンクは別のWindowで見るのが便利なのだからそうしろ」ならば、後者は「私のウェブサイトはこういう形をしているのだからこういう風に認識しろ」という押し付けです。

要するに私の嫌いな「程度の問題」というやつです。素人に過ぎない個人サイト制作者が、どうしてその「適切な程度」とやらを判断できましょう。どこからどこまでが初心者ですか。

ゆえに私は、閲覧者を主体に考えたサイト制作というものを、メソッドとして否定します。もちろんそのような考え方は好ましいものですが、それを追求する「手段」として、間違っていると言いたいのです。

では何を主体に考えるか。アクセス数が多かろうと少なかろうと、閲覧するのが初心者だろうと上級者だろうと、普遍的な存在でありつづけるものがあります。それが文書です。文書を主体に考えるべきです。その文書がある形式を望んでいるのかどうか、それこそ、制作者が制作者として考慮に入れるべき事柄ないでしょうか。

縦に並べる

先に紹介した、ZYPE: Graphical User Interface Designを見てみますと、グローバルナビゲーションは右側に縦に配置されています。これを横に並べたりなどしたら、それこそ拡張性がありません。デザインすら一から見直さねばならないでしょう。

グローバルナビゲーション と サイトの拡張性を両立させるデザインは、横に並べると失敗しますから、縦に並べなければならない、即ち段組レイアウトを必要とするわけです。もちろん拡張性があるといっても、デザインについての話であって、全てのページについてナビゲーションを書き足さなくてはなりません。