2000年12月に長男が生まれ、それをどこで嗅ぎつけたのか翌年の2月には人形の○○等から五月人形やら兜飾りやらのパンフレットが送られてきた。俺も一応日本の親父。子供の成長を祈りつつ、兜の一つや二つ家に飾るのもやぶさかではなかったのだが・・・・・。

 パンフレットを見れば出てくる出てくる金キラ兜(買った人失礼)。俺の理想は映画「乱」や「天と地と」に出てきたような戦国兜である。あの猛々しさの中から浮かび上がる逞しさ、美しさこそが本来、生まれた子供に対し強くなれ逞しくなれと願える形ではないだろうか。

 当然本物を飾りたいところだが、普通は博物館行き。そこで俺は、TVや映画の鎧・小道具の多くを手がけている丸竹産業株式会社のHPを訪れた。この会社は、博物館に納入されている本物の鎧なども修理している素晴らしい会社。このHPに紹介されている兜こそ、まさに俺が理想とする兜なのである。中でも工房ギャラリーで紹介されている参拾弐間総覆輪総檜阿古蛇成り兜(著作権のため写真は載せられません)は、もはや「誰か俺のために買ってくれ!」と言いたくなるほどカッコイイ兜なのである。しかし!丁寧に作られた良いモノは価格も高いのが常。この兜は丸竹産業株式会社でも最高傑作に位置されており、値段も目玉が飛び出てしまうだろう!(後で知ったのだが、販売時期がオフシーズンで38万円だったとのこと。頑張れば買えたか??)

 金キラ兜か?兜を分割払いか?迷ったあげく ポンッ!とひらめいた。そうだ自分でつくっちまおう・・・・。子供の為に俺が自ら兜を作って飾るのも悪くない。もちろん俺は素人で、兜の歴史や仕組みに詳しいわけでもない。ただ、材料を扱いやすい物に代えて、資料を集めて、見よう見真似でやれば何とか形になるだろうと思い、早速実行したのである。

それで出来たのがこれである!

   

 シロウトゆえ、作りの甘さは勘弁してもらいたい。しかし俺はこの兜に大変満足している。このような男になって欲しいという思いを、兜というモチーフに表現できたからだ。後は、子供がこの兜を見てその意味をどう捉えてくれるかだが、それは数年後の楽しみとしたい。

さて、このページは俺の兜の披露が目的ではない(それもあるけど)。上記の通り、今売っている兜に疑問を抱くお父さんも多い中、兜を作るにあたって使用した材料・道具・作り方の概要を紹介し、一人でも多くの人に「My兜」を作ることの楽しさを知ってもらうことが目的である。いつかオヤジ共の「My兜」自慢大会ができることを望みつつ・・・・。(オイオイ子供のためにじゃなかったのか?)

 

■素材リスト
 
兜を形成する部品は、それぞれに細かく名前がついていますが、説明上名称を一部変えて大きく5つの構成要素に分けてみました。

1.帽体   : 頭に被るお椀状の箇所を、こう呼ばせてもらいます。
2.シコロ  : 帽体の横から後ろの周りを覆うヒダヒダ。
3.眉庇   : 「まひさし」と読む。帽子で言うところのツバ。 
4.吹返   : 眉庇の両横で反り返っている板。
5.正面飾り : 前立、鍬型、祓立、鍬型台を一まとめにこう呼ばせてもらいます。三日月型や獅子頭など、兜で最も目立つ箇所。

品名 コメント 買った場所 値段(参考価格)
作業用ヘルメット
帽体に使用。いろいろな種類がありますが、ただの円形状のヘルメットは形にアクセントがないので避けました。 ドイト 2,900円
連結プレート
シコロと帽体をつなぐ為に使用。金属の板で均等に5mmの穴が開いていてネジが通せます。厚さ2mm長さ12cm程度 ドイト 140円〜200円
コルクボード
主にシコロ本体となりますが、他に吹返、眉庇にも使用。厚さ5mm程度。1m×1m以上のもの1枚。 ドイト 900円位
アルミニウム板
吹返に使用。コルク板だけでは反った形が作れないため、骨組となります。20cm×20cm2枚使用。 東急ハンズ 420円
プラスチック板 正面飾りに使用。厚さ2mm。B4サイズ 東急ハンズ 2枚入り600円
NBRチューブ シコロ・眉庇・吹返に使用。チューブをカッターで縦に割き、各部材のフチを覆います。外径5mm内径3mm 4m購入 東急ハンズ 880円
太鼓鋲
各部材を繋ぐのにネジを使います。それが見えては興醒めするので、鋲の部分を切って、お椀部でネジ頭を覆います。
また、アクセントとしても使用します。サイズは各種。使うねじの大きさやデザインで購入個数を決めてください。
ドイト 1袋130円で4〜8個入
大きさで個数が異なる
全部で8袋購入
ビニールレザー
兜各所に用います。今回は茶と黒の2色を使用。1m×1m各2枚 ユザワヤ

2枚で3,400円

トラス頭ネジ1 長さ10mm外径5mm。帽体と連結プレートの接続箇所に使用。4本入り3袋購入 ドイト 3袋で240円
トラス頭ネジ2 長さ15mm外径5mm。シコロと連結プレートの接続箇所に使用。4本入り2袋購入 ドイト 2袋で160円
トラス頭ネジ3 長さ20mm外径5mm。シコロと連結プレートと吹返を通しで連結する為に使用。3本入り1袋購入 ドイト 80円
真鍮スプレー 真鍮色に塗れるカラースプレー。兜の各所に使用。 東急ハンズ 1600円
つや消し黒スプレー シコロの裏面や帽体に使用。真鍮スプレーとグラデーションをつけながら吹きつけると迫力が出せます。 東急ハンズ 680円
帽体内側に使う布 帽体の裏側に買ったときからついているサイズ調整用のプラスチック帯を化粧するために使用します。 ユザワヤ 1m×1mで500円
カーテン用タッセル 兜のヒモとして使用します ユザワヤ 2つで2,400円

 

■工具リスト
 
工具は、あると時間と手間が省けて完成度が高くなります。全く持ってない方は大変な出費となりますが、あると何かと便利なので、これを機会に揃えてはいかがでしょう。また、DIYセンターではレンタル工具や難しい形・固い素材の切断サービスもあるので上手く活用してください。

●既に持っていた或いは買った工具:値段は大体の額で書いています。当然ですが使いやすくて丈夫なモノほど高くなります。

品名 コメント 値段(参考価格)
サークルカッター 円形に切るための道具。直径50cm以上の丸が切れるものが理想 2,900円程度
L型カッター 通常のカッターよりもう1サイズ大き目のもの。アルミ板やアクリル板も何回も往復すれば切断可能 300円程度
プラスドライバ ネジをとめる為に必要 100円〜1,000円
大型ハサミ 通常のはさみでもよいが、固いモノを切る場合もあるのであれば便利 1,000円〜
電動ドリル 帽体・シコロにネジを通すための穴を開ける。 7,000円〜
プライヤー 太鼓鋲の鋲の部分を切断するために使用 300円〜
ペンチ 連結プレートを折り曲げる際に使用。中型サイズ以上のモノを 700円〜
コロ コルクボードにボンドを塗って、ビニールレザーに圧着させる際に使用。 300円〜
金属用ヤスリ 切り出した断面を滑らかにしたり、形を整えたりする際に使用。 300円〜
紙ヤスリ 320番以上の目の細かいもの。ヘルメットに色がのせやすい様少しヤスリをかけます。 50円〜
定規 寸法を測ったり、目安線を引く場合に使用します。三角定規がお勧め。 500円〜
金定規 プラスチックだとカッターで削ってしまう場合もあるので金属製のモノを勧めます。60cm以上のモノ 1,000円〜
ピンセット 兜についてしまった接着剤の跡を取り除く際に使用。細かい作業にも便利。 120円〜
木工用ボンド コルクボードにビニールレザーを張りあわす際に使用。 80円
一般用ボンド 局所同士の接着に使用。 200円前後
瞬間接着剤 帽体に正面飾りを付ける際にネジだけでは不安なので保証の意味で使用。 250円前後
     
     
     

●買わなかったがあれば便利だった工具 : 万力 ・ 大型サークルカッター(刃が丈夫) ・ 電動金切ノコギリ 

 

■作り方の概要
 
今回制作した兜は、シコロ→吹返→眉庇→帽体→正面飾り→組みたて&全体装飾、の順で制作しています。その順に、作り方の概要を紹介していきます。

1.シコロを作ろう
 
本来シコロとは何十枚という鉄帷子をヒモで縫い合わされてできているものです。兜を地面に置くとシコロがジャバラのように折りたたまれ、収納にも便利だったようである。できればこの様な形態をとりたく、映画や本で仕組みを知ろうとしたのですが、もう一つ読みきれず1枚板のシコロとなりました。

・「大体この位の大きさでこの位の角度に広がるシコロを作りたい」という自分のイメージに近くなるよう、バックプレー トを折り曲げつつ帽体にあてながら位置を調整していきます。

・位置が決まったら帽体に連結プレートのネジ穴の位置に合わせ印をつけます。

・印をつけたらドリルで穴を開けます。(今回5mm穴を6個所開けました)

・写真は帽体と連結プレートをネジで仮止めした状態です。

・帽体の両端から出ている連結プレートの長さと帽体の横幅を足した寸法を測り、それを直径とする円をコルクボードから切りぬいていきます。
・切りぬいたコルクボードは正円のため、やや楕円気味の帽体に合わせるとひずみが出ます。そのひずみを確認しながら余分な箇所を切り外していきます。
・ちょっと写真が分かりにくいのですが、カットした様子が伺えるでしょうか?最初に円を切って、時計で言うところの11時〜1時までを最初からカット取り除き、その後10時から2時の間をカット取り除きと帽体をあてながら帽体横の連結プレートの位置に合うまで徐々にカットしていきます。最終的には円の内側をカットし、楕円の帽体にあわせていきました。
・切りぬいたコルクボードに木工用ボンドを薄く均等に塗り、その上からビニールレザー(黒)をあてます。

・当てた上からコロで圧着していきます。

・これで一晩寝かしておきます。

・そのままだと横から見るとコルクボードが見えてしまいます。それを覆う管を作ります。

・NBRチューブ(ゴム管)に真鍮スプレーをまだらに吹きかけます。結構イイ感じの色合いになります。

・カッターでチューブの中央をまっすぐに切り、割いて行きます。

・一晩寝かしたコルクボードを形にそってカッターでビニールレザーから切り離していきます。

・切り離したコルクボードのフチにそってチューブをかぶしていきます。

・とりあえず完成。裏面はつや消し黒のスプレーで塗装します。

 

2.吹返を作ろう
 
吹返は、シコロが眉庇の横にまわってきて一気に反りあがっているモノと、別体にされてシコロと接続されているモノとがあります。今回は、デザイン的にメリハリをつけたいため後者のスタイルを採用しました。

・吹返も主な素材はコルクボードですが、反りあがった状態を固定することはできません。よってアルミ板を曲げて吹返の骨組とします。

・吹返の幅を決めてアルミ板を切断します。

・アルミを綺麗に曲げるために座布団の上ですりこ木棒をあてて転がしていきます。

・曲げたアルミ板の上からアルミ板と同じサイズに切り取ったビニールレザー(茶)を接着剤で軽く張りつけます。

・アルミ板と同じサイズから少し長さ面を短くしたコルクボードにビニールレザー(黒)を木工用ボンドで圧着し、数時間寝かせます。

・それぞれにビニールレザーを張ったアルミ板とコルクボードを接着剤でしっかり張りつけます。

・シコロと同様に軽く真鍮色を着色したチューブをフチに沿って覆っていきます。

・吹返の装飾として太鼓鋲を使います。太鼓鋲は写真のように鋲(とがった部分)は全てペンチで切り取り、お椀部のみ使用します。
・太鼓鋲を張りつけてとりあえず完成。

 

 COFFEE BREAK  

 最初は軽い気持ちで作り出した兜ですが、

 ノッテ来るとはまります。色や素材や形とか

 こだわり出すと思考錯誤の連続。

 「素材リスト」なんてサラッと書いているけど、

 結構決まるまで時間かかったなぁ。


吹返しを作っているところ。気分は甲冑師。


3.眉庇を作ろう
 
帽子で言うところのつば。ヘルメットのつばを隠すために少し大きめに作ります。

・シコロと吹返を仮止めして眉庇の大きさや色のバランスを見ます。
・帽体全部の直径よりやや大きめの曲線を描き、サークルカッターで切り抜きます。
・シコロと同様に切り取ったコルクボードに薄く均一に木工用ボンドを塗り、ビニールレザー(茶)をかぶせてコロで圧着します。

・数時間置いた後、コルクボードの形に沿ってカッターで切り抜きます。

・切り抜いたコルクボードのフチをシコロと同様に着色したチューブで覆っていきます。

・とりあえず完成。

 

4.帽体の塗装

・塗装がのりやすいよう、紙ヤスリで帽体全体をヤスリがけします。

・真鍮スプレーで帽体全体を下地が見えなくなるまで塗ります。(何回かに分けて吹きつけてください。一度にやると塗料がたれてカッコ悪くなります。)

・塗装が乾いたらつや消し黒のスプレーで塗り重ねます。好みに合わせて少し真鍮色を残したり、まだらにして風格をだしたり試してみてください。失敗したら上塗りすればイイだけです。

・軽く塗装した後、鋲の部分をカットした太鼓鋲を両面テープを使って自分の好きなように仮貼っていきます。

・良し!と思ったら接着剤で本接着していきます。

・なんか3枚とも似たような写真になりましたが、本塗りです。全体的につや消しの黒を吹き、その後てっぺんからグラデーションをかけつつ真鍮色を吹いていきます。グラデーションをかけるとプラスチックのヘルメットが見る見る金属製に見えてきます。

 

5.正面飾りをつくろう
 兜の見せ所です。自分の思い思いの飾りを作れば良いと思いますが、あまりハデハデにやるとガンダムっぽくなるので気をつけましょう。私は伊達正宗の三日月が大好きなので、それを真似ています。

・2mm厚のプラスチック板からサークルカッターで正面飾りを切り出します。(写真では三日月が太かったのでもう一回切り直しました)

・切り出した正面飾りのフチを紙ヤスリで削り、角を少し丸くします。

・正面飾りと帽体を繋ぐ連結プレートを正面飾りに接着剤で張りつけます。

・真鍮スプレーで裏表両面を吹きつけます。乾いたらつや消し黒スプレーでグラデーションをつけると雰囲気が出ます。

 

 COFFEE BREAK  

 兜を作るに当たって、図面は特に引いておりません。 大体こんなモンだろうと大枠の寸法を測 

 り、ガシガシ切ったり,はったりを繰り返すスタイルです。効率が悪いとは思いますが、こっちの方

 が面白い形が見えて来たりします。。

 部屋が散らかっていると道具探しに時間が取られます。直そう直そうと思いつつ、いつも道具

 をほったらかしにしてしまい探すのに苦労してました。(たいがい真後ろにある)


完成直前の作業部屋。好き放題に散らかしてます。

 

6.組みたて&全体装飾
 いよいよこれまで作ってきた各パーツの組み立てです。基本的にはネジ止めで作れるようにしてきました。更に組み上げた時、見えてしまうネジの頭を隠すために装飾を(多くは太鼓鋲を用いて)していきます。

・まずはシコロから。帽体についている3本の連結プレートのうち、中央から取り付けていきます。

・シコロの中央についている真鍮製の棒板?はシコロを装飾するためにシコロと一緒に繋ぎとめます。

・シコロの後部につける飾り様真鍮製棒板に、ネジがとめられるよう穴を開けます。
・次に左右の連結プレートにシコロを繋ぎとめますが、一緒に吹返も繋ぎとめます。

・連結プレートを真ん中に挟み、下に吹返、上にシコロで仮当てを行い、互いにネジを通す穴の位置を色鉛筆で記します。

・一旦外し、印をつけた位置に千枚通しなどで5mmのネジが通る程度に穴をあけます。吹返はアルミ板が入っていますが、ブスッと刺して行きましょう。穴を開けたら本止めをしていきます。

・シコロと吹返をつけたら眉庇にかかります。

・眉庇をやや反らしながら、帽体との接地面に接着剤を塗り、帽体にそって張りつけていきます。

・シコロや眉庇などに、鋲の部分を切り取った太鼓鋲を貼り付けていきます。数や位置は気分次第。付け過ぎると水疱瘡みたいで気持ち悪くなります。適度な範囲にしましょう。

・またネジの頭隠しには少し大きめの太鼓鋲を覆いかぶせていきます。

・帽体に使ったヘルメットには被ったときしっかり固定されるよう、プラスチックの帯(取り外し可)が内側をぐるりと回っています。このままだと見た目が安っぽくなるので、インド布を幅5cm程度に切り裂き、それでプラスチック帯をグルグルまきました。写真がそれです。

・このプラスチック帯は兜のヒモを付ける際にこれに繋ぎとめます。

・ついに正面飾りを取りつけます。帽体と正面飾りの連結プレートに瞬間接着剤を塗布し、張りつけます。

・大きな正面飾りを作った場合は、あらかじめ帽体にネジ穴を開けておき、連結プレートとネジで接続しましょう。

・最後に兜のヒモをつけます。兜の緒はカーテンで良く使われているタッセルです。2つ買ってきて1つに合体し帽体に括り付けます。

・写真が見にくくてスイマセン。この辺まで来ると完成に興奮し、写真もままならなくなっちょります。

 

2月の中旬に兜を作ろうと思い、資料を調べ初めてから2ヶ月たってようやくできました。
土日使って実質10日間くらいかかったでしょうか。充実した時間でした。
概要しか伝えられなかったけど、分からない事がありましたら掲示板に
書いておいてください。可能な限り返事します。

 

FINISH!

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