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−古きよき時代の骨董品−
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| ウルグァイ版,蚤の市の時計屋さん |
なにやらスス黒げた中古の懐中時計をならべており,たずねたところ,本職は銀行員であるが,時計もよく知っており商売しているとのことで,色々な時計を見せてもらいました。全て現在でも正常に機能するというので,一つ手にとりみたところ,1889年作製の中古品でスス色でした。100年もたっている中古品では,日本円にして5千円位でどうだと聞いても,まったく首を縦にふりません。180US$(2万円位)以下ではダメであると言い,裏ブタを開け,機械装置を見せてくれました。何やら桃赤色に光るものが各軸にはめ込んであるので,たずねたところ,ルビーであると言い,時計のボディーは,0.9の銀製であり,銀磨きを使えばピカピカにもどるし,時刻進度をうまく合わせればクオーツ時計と大差ないよ,とのこと。銀とルビーの言葉に心がくらみ,180US$はけしからぬと思いながらも,買いました。
住まいにもどり,教示通りに磨いたところ,ピカピカの輝きがもどりました。裏ブタには色々な彫印があり,私には馴染みのない名前ですが,ロンジン…1889年グランドプリックス云々とか刻まれていました。精度の方は,手持ちのクオーツを標準品として,毎日少しずつ合わせていき,一週間かかりましたが,今ではクオーツとほとんど差がありません。他ではオメガなどが売られております。
私は実用品にしか興味がないですが,骨董品街があり,陶器,クリスタル,古いおもちゃ,縫いぐるみや人形,陶器製の人形,飾りもの,木箱,家具,等々ありとあらゆる骨董品があります。一番驚いたのは,名前だけは映画で知っていたのですが,ティーファニーという工房で20世紀初頭に作られた綺麗なスタンドが最低でも6,000US$以上するということです。それらから推して,かつてこの国は相当な金持ちだったのではないでしょうか。明治から大正にかけて,ロンジンやオメガの懐中時計を買える人がどれだけ日本にいたでしょうか。欧米の文化品を金で買って,ストックしていた感じです。その冨を支えたのが,石油ではなく,畜産(特にウシ)であったことを思うと,骨董品の山の影にウシの群れが見え隠れしているような感じです。今回,その畜産を支える家畜衛生のプロジェクトに参画したことを思い合わせると骨董品との出会いも縁の無いことではなさそうです。
以上
【畜産技術 ,1997年4月号,41(畜産技術協会)より転載)】