| 各話コメントー旧版ー(8〜13話) |
作者注:
当「てれびのはなし」における『加山雄三のブラック・ジャック』に関する記事は、当初、既に「イントロダクション」で述べた通り、放映当事に残した記録を元に製作したものが全てであった。
しかし、2002年の「ホームドラマチャンネル」における当番組のCS再放送により、再視聴が叶ったが、「各話コメント」記事各所に誤りを発見するに至った。
本来なら、別稿「改訂版」に差し替えるのが筋であるが、作者の子供時代の記録として、この「旧版」に敢えて手を加えず、別掲載の形で残すことにした。
本稿をご覧頂く方々におかれては、「旧版」と「改訂版」を比較検討などして頂くのも一興と、作者の勝手な自己満足的提起をご容赦願い、作者注の締めとさせて頂く。
そんなわけで、以下の記事は必ずしも正確とは限りません。
| 第8話●血がとまらない (OA:1981.03.05 / 地上波再放送無) |
| 上京したての若い男女が駅のコインロッカーでふとしたきっかけで知り合い、愛し合うようになる。青年は彼女にプロポーズするが、彼女は血友病だから結婚できない、といって断る。諦めきれない青年は、B・Jを訪ね、ウソの手術をして彼女を安心させてやって欲しいと頼む。女性には血友病の症状が出ないから、子供に遺伝はしても、彼女自身は安全だろう、とB・J。ついでにと、青年の血液を採取し検査したB・Jは愕然とする。 彼は生まれ付き悪性貧血で、余命幾ばくもなかったのだ。あと1年半の命と宣告された青年は、残された人生を謳歌するため、上京してきたのだった。 1度は青年の依頼を断ったB・Jだったが、青年のために、彼女にウソの手術を施す。そっと立ち去る青年。「手術」を終え、気付いたB・Jが慌てて後を追う。B・Jが発見した青年は瀕死状態になっていた。青年はB・Jに手紙を託し、息をひきとる。 「手術」後回復し、退院する彼女をB・Jは、2人の思い出のコインロッカーへと連れて行く。ロッカーには、青年が恋人に宛てた今生の別れの手紙が入っていた。(原作より) |
| コメント: この回は何故か1982年の再放送ではカットされていた。後に、放映当時の新聞によって、その存在を知ったものである。 血友病を扱っているのだが、それがどうやら血友病患者の団体から、クレームがついたらしい。 『ウルトラセブン』の第12話、『妖怪人間ベム』の第4話、『必殺仕掛人』の第28話のような、いわゆる「お蔵入り」なのかどうかは不明。CSの再放送は、番組表さえ見過ごしてしまったため、CSで放映されたかどうかは不明。 |
| 第9話●助けあい (OA:1981.03.12 / 再:1982.03.31) |
| ある夜、坂東は酔っ払いの中年男・蟻谷(演:前田吟)と意気投合し、公園で『雨降りお月さん』を唄って世間話をしながら、陽気な夜を過ごした。その夜、付近で殺人事件があり、坂東は容疑をかけられたが、蟻谷の証言で、濡れ衣を免れる。 ところが、今度はその蟻谷が車に踏切へ追い込まれ、電車にはねられた。どうやら蟻谷は、会社の汚職事件の責任を負わされ、自殺したと見せかけるために命を狙われたらしい。 「今度は自分が助ける番」と、B・Jは、珍しくグレーのスーツ姿で、蟻谷の収容された病院に乗り込む。 |
| コメント: 冒頭の「雨降りお月さん」の場面と、B・Jの扮装になった坂東が、トレード・マークの黒いコートではなく、グレーのスーツ姿で病院の廊下を闊歩する姿が、妙に印象に残っている。あの乱れた長髪に、ドス黒い頬の傷跡のB・Jの顔に、ビシッとキメたスーツ姿の、ミスマッチが面白かった。 |
| 第10話●灰色の館 (OA:1981.03.19 / 再:1982.04.01) |
| 坂東は、不二子という女性(演:ジャネット八田)から、名画を買って欲しいと頼まれた。手術代にするのだという。大金を携え、これからブラック・ジャックに頼むのだという。 B・Jが案内されたのは、広壮な館の地下室。そこには全身火傷を負った、廃人同様の男が閉じ込められていた。不二子は兄だというが、どうも様子がおかしい。更に患者を調べてみると、後頭部に鈍器で殴られた跡が見つかった。倉持警部(演:藤岡琢也)が調べたところ、不二子に兄はいないことがわかった。 しかも、彼女の夫・正英(演:入川保則)が失踪中だという。 手術を終えたB・Jに、不二子は告白を始める。B・Jの睨んだ通り、患者は夫の正英だった。夫の出張中にしていた浮気がばれ、激しく折檻された時、思わず花瓶を夫に投げつけた。花瓶は夫の頭を直撃し、うずくまって倒れ込んでしまった。 気がつくと夫の身体を焼却炉で焼いていたという。その時、「ギャーッ」という悲鳴が上がり、全身火ダルマになった夫が焼却炉から飛び上がった。夫は即死ではなく、意識を失っていただけだったのだ。 B・Jの手で元の姿に戻った夫・正英は館へ戻り、自分を殴り殺した上、焼いた妻へ、「同じことを味わわせてやる」と、不二子に灯油を浴びせ、火をつけて出ていった。 駆けつけたB・Jは、真っ赤に焼け爛れた顔になった不二子を救い出し、車に乗せ、今度は不二子を手術すべく、自分の屋敷へと向かった。 |
| コメント: 何といっても、不二子の告白シーンで出てくる、全身火ダルマの男が「ギャーッ」といって、飛び上がる場面のインパクトはあまりにも強烈であった。 ほぼ原作に沿っているが、原作では兄と妹で、兄がいわば先天的なサディズムから、妹を虐待するのに対し、本作では妻の浮気が発覚してから、夫が妻に折檻を加える話に変わった分、「大人向け」ドラマっぽい設定になっている。 ラスト、B・Jが不二子を救い出し、車に乗せる場面で、チラッと映る、真っ赤に焼け爛れた顔も又、強烈なインパクトを感じた。 私の知る限りでは、『土曜ワイド劇場』の『江戸川乱歩の「美女」シリーズ』の1つ・『白い乳房の美女・江戸川乱歩の「地獄の道化師」』で、あばら家で硫酸を浴びせられ、苦痛に悶える女性の顔と、同じシリーズの『桜の国の美女・江戸川乱歩の「黄金仮面U」』で、吊り橋からの転落事故で、岩肌に顔面を打ち付け、石榴のようにはぜ割れた伊吹吾郎の顔、と並ぶ強烈な顔面映像体験である。 しかし、依頼人の女性(本作では不二子)が、最後に顔面に大火傷を負う場面だけは、無気力に灯油を浴びせられ、火を放たれる本作よりも、火炎放射器で直接顔面を炙られる原作のほうが、はるかに強烈なインパクトがある。 |
| 第11話●鬼子母神の息子 (OA:1981.03.26 / 再:1982.04.02) |
| 幼児の連続誘拐事件が起こっていた。犯人側から要求された身代金がなかなか支払われないと、1本ずつ子供の指を切って、親に送り付けるというもの。 或る日、イサオ(演:徳石光浩)という少年が行方不明になった。数日後、坂東は、イサオの母・操(演:松尾嘉代)に拳銃で脅され、B・Jの屋敷への案内を強要される。 操は顔に傷を負っていた。坂東には、操の行動の意味がわからない。 実は、操が連続誘拐犯の首魁であり、警察の疑いをそらす為、息子のイサオを偽装誘拐したのだった。 |
| コメント: この回が、「イントロダクション」で述べた、再放送の時、京都へ連れられて泣く泣く見る事ができなかった回である。 予告編で見た、松尾嘉代演ずる「鬼子母神」が、グイッと胸元をめくってB・Jに深紅の薔薇の刺青を見せ付ける場面の強烈な印象は、生涯忘れることはないだろう。 尚、この回を見逃す原因となった京都旅行の際、平安神宮の庭園で、見事に咲き乱れるしだれ桜を拝んだ。そのせいか、私の脳の中では、“平安神宮→しだれ桜→「加山雄三のブラック・ジャック」”という、誠に奇妙な連想記憶がすり込まれてしまっている。あな恐ろしきは、思春期の記憶とでもいっておこうか…。 |
| 第12話●奇妙な関係 (OA:1981.04.02 / 再:1982.04.05) |
| 一億円強奪犯を追っていた倉持(演:藤岡琢也)は、犯人・曽根(演:岩谷隆広)の逆襲に遭い、崖から転落。曽根も胸を撃たれ、重傷を負った。2人を手術することになったB・Jは、曽根の腎臓を倉持に、倉持の肝臓の一部を曽根に移植した。 |
| 第13話●終電車 (OA:1981.04.09 / 再:1982.04.06) |
| B・Jに魅せられていた女医(演:江波杏子)がいた。 ある夜、坂東と終電車で偶然出会った女医は、坂東を自分の病院へ連れて行った。その女医は、脚でも何でもどんどん切ってしまう医者で、かなり無理なところもあった。 翌日も手術を控えているという彼女に坂東は酒を飲ませ、B・Jに変身し、翌朝の手術を切らずに勝手に済ませてしまう。職場放棄と、部外者を勝手に上げた咎で病院を辞めさせられてしまった彼女は、B・Jに、「あなたは人間的には最低だ」と罵って立ち去る。 だが、これで前から、海外赴任の夫から一緒についてきて欲しいといわれていたのに決心がつき、彼女は数日後に機上の人となることになった。 そんな折、彼女はおでん屋台で、坂東に出会う。夫について行く決心を打ち明けた彼女は、「もしかしたら、あなたがブラック・ジャックなのではありませんか。」と尋ねるが、坂東は笑って否定する。 |
| コメント: 最終回はこれまた渋いエピソードとなった。原作ファンの方にはお馴染みの、「ブラック・クィーン」先生が登場する。 概ね、この最終回も原作に沿っているが、果たして江波杏子演じたこの女医が、原作同様、桑田このみ(鈴木このみ)で、「ブラック・クィーン」なのか忘れてしまった。 本作では、最後に人を送り出す、という最終回にふさわしい締めくくりとなっているが、同時に、本作ならでは、の、B・J=坂東・一人二役を、今まで誰も見破る登場人物が現れなかったのが、それに感づくキャラを出すことで、一層最終回らしいエピソードとなった。 坂東としては、核心を衝かれた格好であり、内心ぎょっとしたのかも知れないが、それを笑って受け流す辺りに、当時、少年だったにも拘らず、「大人の男」の余裕を感じたものだ。 終電車でバッタリ出会った男のせいで、失態を演じさせられ、仕事をクビになったが、人生の終電車には間に合った、という意味合いも込められた、非常に味のあるタイトルである。 尚、終電車は、原作では、西武新宿線で、どうやら高田馬場から上石神井行きに乗って、1駅目の「下落合」で降りたようだが、本作では、深夜の多摩川を渡る京王線になっている。(車両は、名車の誉れ高かった、今はなき5000系という電車だった。) |