甲状腺の病気

1. 甲状腺とは?

   甲状腺は、頸の下部にある甲状腺ホルモンというホルモンを産生する臓器の名前です。時々「私の病気は甲状腺です」という方がおいでですが、甲状腺は病気の名前ではありません。甲状腺には、濾胞といって甲状腺ホルモンを合成したり、蓄えておいたりする構造があります。甲状腺ホルモンは、脳にある下垂体という臓器から産生される甲状腺刺激ホルモン(TSH)というホルモンによってその産生が制御されています。

2.甲状腺の病気

   甲状腺の病気は大きく分けて、(1)甲状腺機能異常(2)炎症(3)腫瘍に分類できます。

 (1)甲状腺機能異常

   これには

(i) 甲状腺中毒症(甲状腺ホルモンが増加する)と
(ii)甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが低下する)があります。

   さらに甲状腺中毒症は、(a)甲状腺機能亢進症と(b)亢進症以外の中毒症に分かれます。

   (a)甲状腺機能亢進症には、甲状腺の病気の中でも最も代表的な病気であるバセドウ病や、腫瘍がホルモンを産生するPlummer病、脳下垂体のTSH産生腫瘍などがあります。甲状腺機能亢進症は、すなわち病名というより甲状腺ホルモンの産生が高まっているという状態を表す言葉です。

   (b)亢進症以外の中毒症の多くは、破壊性甲状腺炎による中毒症です。破壊性甲状腺炎というのは、甲状腺の濾胞が壊れて中にある甲状腺ホルモンが漏れ出てしまって血中の甲状腺ホルモン濃度が高くなってしまう病気です。ウイルスによると思われる亜急性甲状腺炎と自己免疫によると思われる無痛性甲状腺炎があります。これらの病気では、血中の甲状腺ホルモンは上昇していますが、甲状腺でのホルモン産生が亢進しているわけではありません。その他の甲状腺中毒症には、最近話題になったやせ薬など外因性の甲状腺ホルモン摂取によるものもあります。 

 (2)炎症

   これには、(1)慢性甲状腺炎(2)無痛性甲状腺炎(3)亜急性甲状腺炎(4)急性化膿性甲状腺炎などがあります。甲状腺に炎症による破壊が起こりますので、甲状腺ホルモンが増えたり減ったりすることもあります。先に述べた甲状腺機能異常を起こす原因ともなる疾患群です。原因は、自己免疫、ウイルス、細菌など多彩です。

 (3)腫瘍

   腫瘍は(1)良性腫瘍(2)悪性腫瘍があり、各々性質の異なる腫瘍が幾つかあります。稀には甲状腺機能異常をきたす腫瘍もありますがほとんどは甲状腺機能は正常です。良性腫瘍は生命に重篤な障害をきたすことはありませんが、非常に頻度が高く中にはかなり大きくなるものもあります。悪性腫瘍のほとんどが、乳頭癌といわれる比較的おとなしい性格の癌です。しかし、稀に未分化癌に移行すると予後は非常に悪くなります。甲状腺の腫瘍は非常に頻度が高いのですが、潜在性で自覚症状もないことが多いです。

 

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