海外のいじめ対策                                              


いじめは日本だけでなく、先進国共通の現象です。イギリス、アメリカ、北欧などを中心に、様々な対策によるいじめ防止を図っています。


イギリス

イギリスでも80年代末頃からいじめが社会問題となり、世論やマスコミの注目を浴びました。イギリス教育省の支援を受けて、91-93年にシェフィールド大学がいじめ防止教育プロジェクトを実施しました。また、1984年にはキッドスケープ(Kidscape)という、子供をいじめや虐待から守るための民間団体が設立されています。

シェフィールド大学いじめ防止教育プロジェクト   
⇒イギリス教育省 「いじめ 一人で悩まないで」 1996年 教育開発研究所

シェフィールド大学の指導のもとにイギリス・シェフィールド市の16の小学校と7中学校が研究プロジェクトに参加し、いじめについて勉強しながら全校的ないじめ防止教育方法を開発しました。さらに18ヶ月間にわたって開発したいじめ防止教育を実践し、成果を評価したところ、学校によって差はあるものの、ほぼすべての学校においていじめ防止効果が得られました。

いじめ防止教育の例

・いじめに関するビデオ、劇、小説を教材として使用
・QC(クオリティー・サークル)活動によるクラスでの討論
・ピカス法、非叱責法とよばれる、クラス単位のカウンセリングによって、いじめがいけないこであることとや被害者の気持ちに気づかせる
・いじめられた生徒のための自己主張・自己表現訓練(アザーティブネス・トレーニング)
・子ども同士のカウンセリング
・学校法廷・いじめ裁判


キッドスケープ(KIDSCAPE)
1984年に設立された、子どもを性的虐待やいじめから守る活動を実施している民間団体。いじめに関しては、学校へのアドバイスや研修、親向けの相談サービス、出版、国内・国際会議の開催などの活動を行っています。 
  Kidscapeのホームページ(英語)

キッドスケープのトレーニングの例     
 
⇒ ミッシェル・エリオット ジェーン・ギルパトリック共著 「いじめに立ち向かう −キッドスケープ・トレーニング・ガイド−」 1997年 アドバンテージサーバー

   
・ケーススタディーの資料を配り、グループで被害者を援助したり、加害者の行動を変えたりするための方法について討論し、発表する。
・自己主張の方法をトレーニングするための、ロールプレイング
・効果的なコミュニケーションや、怒りに対処するためのエクササイズ
・自己イメージを向上させるためのエクササイズ
・被害者がにいじめに対処できるように、行動計画を設定する
・友達作りの方法についてクラスで討論する
・いじめについて討論し、クラスの約束事を作る
・生徒会議・「いじめ法廷」



アメリカ 
                     
⇒矢部武著 「アメリカ発いじめ解決プログラム」 1997年 実業之日本社


アメリカでもいじめは深刻な問題となっています。アメリカではいじめっ子が後にギャングのメンバーとなり、犯罪を犯す確率が高いというデータがあり、犯罪防止の「観点からも加害者指導に力をいれているようです。
アメリカ在住暦の長いジャーナリスト、矢部武氏による「アメリカ発いじめ解決プログラム」には、次のような対策例が紹介されています。

対策例

・「いじめ対策セミナー」 
小学校を巡回し、ビデオ、討論などを通じて生徒にいじめ問題を考えさせ、意識改革を図るセミナー。(かつていじめの被害者だった大人が講師をつとめている)。いじめられた場合を想定してのロールプレイなどを実施。

・いじめ加害者に対する矯正プログラム 
いじめが発見された場合に、加害者に矯正プログラムを受けさせる。
怒りを非暴力的に表現するための、コミュニケーション上達法(ライフスキル)などを教える。

・沈黙する傍観者を行動する傍観者に変えるプログラム 
ロールプレイによって、被害者を助ける方法、大人の助けを呼ぶ方法、被害者との信頼関係を作る方法、被害者の気持ちを理解する共感能力を身につけさせる。


生徒同士でいじめを解決させる、仲間調停法 
 学校でトラブルが起きたとき、生徒から調停員を選び、調査と両当事者の調停を行わせ、話し合いでの解決を徹底させる。

スウェーデン                    
⇒高橋たか子著 「福祉先進国スウェーデンのいじめ対策」 2000年 コモンヒルズ


スウェーデンでも90年代にいじめが深刻化し、社会問題となりました。
1993年に国会で子どもオンブズマン法が制定され、95年には子どもオンブズマンが中心となり、アンケート調査、対策立案を行いました。また、いじめ反対協会という民間組織が、被害者のサポート、いじめ解決のための仲介などの活動を全国的に行っています。
スウェーデンの教育法には、職員が、生徒が他の生徒の権利を侵害する行為を阻止しなければいけないと明記され、学校がいじめ対策を立案することが義務づけられています。