
●いじめの発生件数
文部科学省の調査によれば、いじめの発生件数は近年減少傾向にありますが、依然として2万人以上の児童がいじめに苦しんでいます。一方、いじめが原因となることも多い不登校の児童数は大幅に増加しています。文部科学省調査では不登校の約2割が友達とのトラブルを原因としています。13年度の不登校13万人の2割がいじめによると仮定すると、2万6,000人となります。いじめを受けた生徒の多くが不登校となり、結果的に統計上のいじめ発生件数が減少したといえるのではないでしょうか。
<文部科学省の調査によるいじめ発生件数>
| |
60年度 |
61年度 |
62年度 |
63年度 |
元年度 |
2年度 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
9年度 |
10年度 |
11年度 |
12年度 |
13年度 |
| 小学校 |
96,457 |
26,306 |
15,727 |
12,122 |
11,350 |
9,035 |
7,718 |
7,300 |
6,390 |
25,295 |
26,614 |
21,733 |
16,294 |
12,858 |
9,462 |
9,114 |
6,204 |
| 中学校 |
52,891 |
23,690 |
16,796 |
15,452 |
15,215 |
13,121 |
11,922 |
13,632 |
12,817 |
26,828 |
29,069 |
25,862 |
23,234 |
20,801 |
19,383 |
19,371 |
16,636 |
| 高等学校 |
5,718 |
2,614 |
2,544 |
2,212 |
2,523 |
2,152 |
2,422 |
2,326 |
2,391 |
4,253 |
4,184 |
3,771 |
3,103 |
2,576 |
2,391 |
2,327 |
2,159 |
| 計 |
155,066 |
52,610 |
35,067 |
29,786 |
29,088 |
24,308 |
22,062 |
23,258 |
21,598 |
56,601 |
60,096 |
51,544 |
42,790 |
36,396 |
31,359 |
30,918 |
25,076 |
(注1) 平成6年度からは調査方法等を改めたため,それ以前との単純な比較はできない。
(注2) 平成6年度以降の計には,特殊教育諸学校の発生件数も含む。
<文部科学省の調査による不登校児童生徒(30日以上欠席者)数>
|
区分
|
小学校
|
中学校
|
不登校児童生徒数の合計(人)
|
|
(A)全児童数(人)
|
(B)不登校児童数(人)
|
不登校児童数の増▲減率(%)
|
B/A×100(%)
|
(A)全生徒数(人)
|
(B)不登校生徒数(人)
|
不登校生徒数の増▲減率(%)
|
B/A×100(%)
|
|
3年度
|
9,157,429
|
12,645
|
-
|
0.14
|
5,188,314
|
54,172
|
-
|
1.04
|
66,817
|
|
4年度
|
8,947,226
|
13,710
|
8.4
|
0.15
|
5,036,840
|
58,421
|
7.8
|
1.16
|
72,131
|
|
5年度
|
8,768,881
|
14,769
|
7.7
|
0.17
|
4,850,137
|
60,039
|
2.8
|
1.24
|
74,808
|
|
6年度
|
8,582,871
|
15,786
|
6.9
|
0.18
|
4,681,166
|
61,663
|
2.7
|
1.32
|
77,449
|
|
7年度
|
8,370,246
|
16,569
|
5.0
|
0.20
|
4,570,390
|
65,022
|
5.4
|
1.42
|
81,591
|
|
8年度
|
8,105,629
|
19,498
|
17.7
|
0.24
|
4,527,400
|
74,853
|
15.1
|
1.65
|
94,351
|
|
9年度
|
7,855,387
|
20,765
|
6.5
|
0.26
|
4,481,480
|
84,701
|
13.2
|
1.89
|
105,466
|
|
10年度
|
7,663,533
|
26,017
|
25.3
|
0.34
|
4,380,604
|
101,675
|
20.0
|
2.32
|
127,692
|
|
11年度
|
7,500,317
|
26,047
|
0.1
|
0.35
|
4,243,762
|
104,180
|
2.5
|
2.45
|
130,227
|
⇒文部科学省のホームページ 「いじめの発生学校数・発生件数」
「生徒指導上の諸問題の現状について」
●いじめ問題に対する文部科学省の見解
90年代にいじめを苦にした児童の自殺が相次いだことから、文部省は専門家による調査研究を行い、94年には愛知県の中学生のいじめ自殺を受けて、「いじめ対策緊急会議」を設置しました。96年に「いじめの問題に関する総合的な取組について〜今こそ、子どもたちのために我々一人一人が行動するとき〜」とする、調査研究の最終的な報告書を出しました
児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議報告(概要)
「いじめの問題に関する総合的な取組について」
〜今こそ、子どもたちのために我々一人一人が行動するとき〜
平成8年7月16日
文 部 省 発 表
はじめに
本報告は、現時点におけるいじめの問題に関する総合的な取組をまとめたもの。学校
関係者のみならずできる限り多くの人々が様々な取組を積極的に推進することを期待。
21世紀の日本、そして世界を担う子どもたち一人一人の健やかな成長を社会全体で
支援するという考えに立ち、「今こそ、子どもたちのために我々一人一人が行動すると
き」。
A いじめの問題に関する基本的な考え方
1 いじめアンケート調査等に見られるいじめの背景
1.家庭における要因
基本的な生活習慣や生活態度が十分に教育されていないなど家庭のしつけが不徹底。
2.学校における要因
一人一人の個性、特性を伸ばす教育が十分に行われていないこと。また、教師のいじ
めに関する基本的認識が十分に徹底されておらず、学校教育の問題との受けとめが弱
い。
3.地域社会における要因
住民の連帯意識が希薄化するなどして、地域の教育力が低下。都市化の進展等による
子どもの遊びの変化、生活体験の不足。
4.社会全体の要因
社会全体に「いじめは絶対に許されない」という意識が不十分。異質なものを排除す
るという社会の同質志向の意識にも問題。
2 いじめの問題に関する基本的認識
(1)「弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識に立つこ
と。 どのような社会にあっても、いじめは許されない、いじめる側が悪いという明快な
一事を毅然とした態度で行き渡らせる。いじめは子どもの成長にとって必要な場合もある
という考えは認められない。また、いじめをはやし立てたり、傍観したりする行為もい
じめる行為と同様に許されない。
(2)いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行うこと
子どもの悩みを親身になって受け止め、子どもの発する危険信号をあらゆる機会を捉
えて鋭敏に感知するよう努めること。自分のクラスや学校に深刻ないじめ事件が発生し
得るという危機意識を持つこと。なお、いじめの件数が少ないことのみをもって問題な
しとすることは早計。
(3)いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりを有していること
いじめの問題の解決のために家庭が極めて重要な役割を担う。いじめの問題の基本的
な考え方は、まず家庭が責任を持って徹底すること。家庭の深い愛情や精神的な支え、
信頼に基づく厳しさ、親子の会話や触れ合いの確保。
(4)いじめの問題は、教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であること
社会の過度の同質志向を排し、個性や差異を尊重する態度やその基礎となる新しい価
値観を育てる指導の徹底。道徳教育、心の教育を通してかけがえのない生命、生きるこ
との素晴らしさや喜びなどについて指導。
(5)家庭、学校、地域社会など全ての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となっ
て真剣に取り組むことが必要であること
いじめの解決に向けて関係者の全てがそれぞれの立場からその責務を果たすこと。地
域を挙げた取組も急務。
B いじめの問題の解決に向けた具体的な取組
1 家庭・地域社会
(1)家庭教育の重要性の再認識
善悪の判断や正義感、他人への思いやりや弱い者を助ける勇気などを子どもに身に付
けさせる一義的な責任はまず家庭にあることの再認識。
(2)真の「心の居場所」となる家庭づくり
深い愛情と信頼で結ばれ、安らぐことのできる家庭。今一度、子どもたちを温かく見
守り、十分に目を配ること。行事等への参加など積極的な親子の触れ合い、特に父親の
子育て参加と家庭におけるコミュニケーションの重要性。全ての保護者が深刻ないじめ
は自分の子どもにも起こり得るとの強い認識を持つこと。
(3)家庭と学校の役割分担
家庭、学校、地域社会の適切な役割分担。学校は学校としての責任を果たしつつ、家
庭を側面から支援すべき立場に立つ。
(4)地域を挙げた積極的な取組
子どもたちに様々な体験を得させるため、地域の各種団体の活動の活発化や民間活力
を生かした各種のプログラムの展開などにより地域の実情に応じた運動が積極的に展開
されることを期待。
2 学校
<学校運営改善の基本姿勢>
学校は子どもにとって楽しく学び生き生きと活動できる場でなければならず、いじめ
の問題の解決について大きな責任を有している。子どもの立場に立った学校運営と開か
れた学校への取組が基本的な姿勢として特に重要。
1. 子どもの立場に立った学校運営
いじめの問題は国公私立を通じどの学校にとっても共通の課題。学校運営の在り方を
子どもの立場に立って見直し、改善すべきは思い切って改善していくこと。きめ細やか
で『個に応じた生徒指導』の観点からの見直しも必要。
2. 開かれた学校
いじめは学校だけでは解決のできない問題であり、いじめに関する様々な情報を適時
提供するなど、保護者や関係機関等と日常的な連携を確保し開かれた学校づくりが必
要。その際、学級や学年の風通しをよくする取組、すなわち、『内なる開かれた学校』
の実現が大切。
(1)実効性ある指導体制の確立
1. 学校を挙げた対応
校長のリーダーシップのもとに全ての教職員が日頃から児童生徒の学校生活のきめ細
かな把握に努め、緊密な情報交換による共通理解の下、連携協力して対応することが肝
要。その際、それぞれの教職員の役割分担や責任の明確化を図ること。
2. 実践的な校内研修の実施
全教職員の共通理解と指導力の向上を図るため、事例研究やカウンセリング演習など
実践的な内容を持った校内研修を積極的に実施することが必要。
3. 養護教諭と保健主事の役割
「心の居場所」としての役割を果たしている養護教諭を保健主事に充てるなど積極的
に活用。また、保健主事は、学校保健委員会を通じて学校医等との連携協力を図るな
ど、その役割を十分に果たすこと。
4. 関係機関等との連携の強化
カウンセリング等に関し専門的な知識・経験を有する者や関係機関等との積極的な連
携協力を行うことが必要。また、特に深刻ないじめ事件については警察との連携協力も
大切であり、教師間や保護者との共通理解を得ておくこと。
(2)事実関係の究明等
1. 事実関係の究明
いじめの問題の解決のためには、事実関係の正確な究明が急務。友人関係等からの情
報収集等を通じ、事実関係の把握を迅速かつ正確に行うことが必要。
2. いじめ被害の相談等
全教職員がいじめられている児童生徒を必ず守り通すという毅然とした姿勢を示すと
ともに、情報収集や実態把握に様々な工夫をすることが必要。
3. 保観者とのきめ細かな連携
保護者からの訴えを受けた場合には、まず謙虚に耳を傾けることが必要。その上で、
家庭やPTAの協力を求め、関係者全員で取り組む姿勢が大切。
(3)いじめる児童生徒に対する適切な教育的指導
1. いじめる児童生徒への指導
いじめを行う児童生徒には、その心理を十分に理解しつつ一定の教育的配慮をもって
根気強く継続して指導することが大切。保護者の協力を求めて、必要な場合には、校内
での特別な指導も有効。しかし一定の限度を超える場合には、いじめられている児童生
徒を守るために、出席停止や警察等との協力による厳しい対応策をとることも必要。
2. 児童生徒が自己存在感を持つことができる学校運営及び学級経営
きめ細かな学習指導による全ての児童生徒が自ら参加でき、分かりやすい授業。各自
がそれぞれの役割を持ち、存在感を感じることができるような学校が求められる。なか
でも学級経営の重要性。学級担任の役割と責任を特に指摘。
(4)いじめられる児童生徒への弾力的な対応
1. 緊急避難としての欠席
いじめを受けている児童生徒には、その後の学習に支障を生じないよう十分な措置を
講じつつ、緊急避難としての欠席が弾力的に認められてよい。
2. 学級替え等の弾力的運用
いじめられている児童生徒又はいじめている児童生徒のグループ替えや座席替えのほ
か、学級替えを行うことも必要。また、必要に応じて子どもの立場に立った弾力的な学
級編制替えも工夫されてよい。
3. 「転校」措置の弾力的運用の徹底
いじめられている児童生徒の立場に立って、「転校」措置の扱いについてこれまで以
上に柔軟に対応していくことが必要。
4. 卒業するまでの継続指導
当該児童生徒が卒業するまで、継続して十分な注意を払うなど、いじめが完全になく
なるまで注意深く継続して徹底的に指導を行っていくことが必要。
(5)積極的な生徒指導等
1. 学校教育活動全体を通じた指導
全ての児童生徒の人格のよりよき発達を目指す生徒指導の機能を、学校生活の全ての
場で十分作用させていくことが必要。
2. 集団活動等の推進と子ども自身の取組の支援
学級活動(ホームルーム活動)や児童会・生徒会活動など、自主性・主体性を育む活動
を通じて、いじめについて考えさせることは意義が大きい。また, ボランティア体験や
自然体験など人間関係や生活体験を豊かなものとする教育活動を取り入れることも重
要。
3. 信頼関係の醸成
教師が児童生徒の悩みを受け取るためには、まず何よりも、全人格的な接し方を心が
け、日頃から児童生徒との心のチャンネルを形成するなど深い信頼関係を築くことが不
可欠。正義感や思いやりの心をクラス内に行き渡らせるように指導を徹底する。
4. 児童生徒や保護者と触れ合う時間の確保
会議や行事の見直し等校務運営の効率化を図りつつ、何よりも児童生徒や保護者と触
れ合う機会の確保と充実に努めること。給食、遊び、清掃活動などを通して児童生徒と
触れ合うこと。
5. 部活動を通じた指導と配慮
部活動の本来的機能を生かし適切に運営することは、いじめの問題に対する有効な方
策となり得るものである。学校は、部活動指導においては、児童生徒同士の人間関係や
一人一人の個性に配慮するとともに、教師が部活動指導の多忙が理由で他の児童生徒と
の触れ合いを不足させることがないよう、校務分掌をはじめ学校全体として十分に配慮
する必要がある。
6. 子どもの仲間意識の変化
仲間意識や友人関係が変化してきており、信頼関係の希薄化又は欠如がうかがわれる
ことから、こうした変化に注意しつつ、いじめの発見や適切な対応、学級経営や指導方
法の見直し等に努めること。
7. 相談しやすい体制づくり
教育相談室を生徒指導室とは別の場所に設けたり、部屋を相談しやすい雰囲気にする
よう創意工夫するなど、児童生徒にとって相談しやすい体制を整えること。
(6)家庭・地域社会との連携協力
1. 保護者への情報提供
いじめの問題は、問題を学校のみで解決することに固執することなく、家庭や地域社
会と共同して解決を図る姿勢が重要であり、日頃からいじめに関する情報を十分に提供
することが必要。
2. PTA等との連携協力
いじめの問題に関し学校と保護者や地域の代表者との意見交換の機会を設けるほか、
特に、PTAと学校との実質的な連絡協議の場を確保して、積極的な連携を図ることが
必要。
3. 懇談会等の持ち方
休日や学校外などのPTA懇談会や保護者面談の開催など、開催時間や開催場所を見
直して多くの保護者が参加しやすいように工夫すること。
3 教育委員会
都道府県や市町村の教育委員会は、他の関係部局との連携にも十分留意しつつ、教育
委員会が一丸となっていじめの問題に対する取組を進めていくことが必要。
(1)家庭教育に対する支援の充実
家庭の教育力の回復や活性化を図ることは容易なことではないが、保護者や地域の人
々に対する啓発活動や支援方策を積極的に行うことが必要。学習機会や情報の提供、相
談体制の整備、親子の共同体験の機会の充実など家庭の教育機能の充実を図る施策を計
画的に推進すること。
(2)学校での取組に対する支援の充実
1. 学校の取組への恒常的支援
校内研修の講師としての指導主事や教育相談の専門家の派遣、児童生徒や教員に対す
る相談事業の実施等の具体的な支援を恒常的に行うこと。教育相談員等で指導チームを
編成するなど多様な取組を期待。
2. 教職員配置を通じた学校への支援
生徒指導上困難な課題を有する学校には、管理職の登用、教職員の加配、年齢や経験
を考慮した教員構成の在り方など人事面を通じた学校への積極的支援が必要。
3. 学校における取組状祝の点検
学校の取組状況の点検を行い、学校の積極的な取組を促すことが必要。また、諸会議
の開催や調査報告の求め方、各種の調査研究の在り方、教員研修の体系化など学校の多
忙な状況に配慮した対応について積極的に検討し、できるところから改善すべき。
4. 出席停止及び「転校」措置の弾力的運用
深刻ないじめを行う児童生徒に対しては、緊急やむを得ない措置としての出席停止を
含む毅然とした厳しい指導が必要な場合があること。その場合には、趣旨の説明や事前
の意見の聴取などに配慮すべきこと。また、いじめを受けている児童生徒を守る方法の
一つとして「転校」措置を講ずることに躊躇すべきではないことを改めて指摘すること
が必要。
(3)効果的な教員研修の実施
あらゆる段階にわたり、できる限り多くの教員がいじめの問題に関する実践的な研修
を受講できるよう施策の充実を図ることが必要。その際、管理職研修はもちろん、受講
対象者に応じたきめ細かで効果的なプログラムを用意することが必要。
(4)教育相談体制の充実
1. 相談体制の整備と周知
教育相談員の配置を積極的に進めるなど、教育委員会や教育センター等の相談体制の
一層の整備・充実を図ること。利用者の相談ニーズに配慮し、相談時間を延長するなど
相談窓口の開設時間の工夫等が必要。
2. 学生などの参加による教育相談
教育センター等の相談員や臨床心理士などの指導助言の下に、教員養成学部の学生な
ど児童生徒に比較的年齢の近い者を相談相手とする方策も効果が期待される。
3. 適応指導教室等との連携
適応指導教室や民間施設で同様の活動を行う施設には、いじめに関わって登校拒否
(不登校)となっている児童生徒も含まれていると考えられることから、今後は従来に
もましてこれらの施設との指導面でのよりー層緊密な連携を図ることが必要。
4. 相談機関と学校及び相談機関相互の連携
問題のより適切な解決のため、相談機関、学校、教育委員会等の有機的な連携が必
要。
(5)学校外における多様な教育活動の充実
青少年関係団体等とも協力しながら、異年齢間の交流事業など学校外における多様な
体験活動や集団活動の機会を積極的に提供していくことが必要。
4 国
(1)一人一人を大切にし、個性を生かす教育の充実
学校教育において真に一人一人を大切にし、個性を生かす教育を一層充実するため、
教職員の配置改善など教育条件の整備を図るとともに、様々な体験活動等を推進するこ
とが重要。また、学校の多忙な状況に配慮した対応について国も積極的に検討し、改善
すべき。
1. 就学すべき学校の指定の変更等の弾力的な運用
就学すべき学校の指定の変更や区域外就学といった措置が子どもの立場に立って弾力
的に運用されるよう関係者への周知の徹底を図ることが必要。
2. いじめられている子どもに対する適切な学習の機会の確保
いじめにより学校に通うことが困難となっている児童生徒が、一時的に緊急避難し、
適切な学習の機会を確保するための『やすらぎの教室(いじめサンクチュアリ)』(仮称)
の在り方等について、国として速やかな調査研究が必要。
3. 中学校卒業程度認定試験の有効な活用
いじめによってやむを得ず長期にわたって登校できなくなった生徒についても、中学
校卒業程度認定試験の制度が有効に活用されることを検討することが必要。
(2)教員の資質・能力の向上
1. 教員養成の充実
教員養成の段階において、いじめの問題についての具体的な指導の在り方等を身に付
けることは極めて重要。このため、関連科目の充実や教育実習の期間や内容等について
十分に検討することが必要。また、大学の取組を支援するため、教育実践総合センター
の設置をさらに進めることを期待。
2. 教員採用における留意事項
生徒指導やカウンセリング等を円滑に実施するためには、豊かな個性や魅力ある人間
性といった資質が大切であり、教員採用に当たっては、人物評価重視の考え方の徹底が
必要。
3. 教員研修の効果的実施
いじめの問題に関する体系的な研修及び中核的・指導的な役割を果たす人材を育成す
るための専門的な研修の一層の充実が必要。養護教諭に対する初任時、中堅時期におけ
る研修も充実が必要。
(3)教育相談体制の整備
教育相談体制の整備を図るため、スクールカウンセラーの拡充やきめ細かい調査研
究、専用の教育相談室等の整備、国立教育会館のいじめ問題対策情報センターの充実、
教育相談員配置の地方財政措置の一層の拡充などが必要。
(4)家庭・学校・地域社会の連携の推進
地域を挙げたいじめの問題への取組を支援するため、「いじめ対策地域連携モデル市
町村」事業の一層の充実や家庭教育に関する支援の在り方についての調査研究の実施、
青少年団体やスポーツ団体の活動の一層の振興に努めていくことが必要。
(5)関係省庁との一層の連携
児童生徒のいじめ問題に関する関係閣僚会合や青少年対策推進会議、非行等問題行動
対策関係省庁連絡会議などの会議を一層活用し、関係省庁との一層の連携を図りつつ、
取組の強化が図られることを期待。
おわりに
1. 企業
企業も社会的な存在として、いじめの解決に向けたキャンペーンの実施又は積極的な
協力を期待。また、社員の家庭教育への参加を促すような環境づくりに積極的に取り組
むことを期待。
2. マスコミ
情報化が進展する中で、各種メディアが子どもに与える影響は極めて大きい。報道の
自由や表現の自由は尊重されなければならないが、子どもの自殺報道やテレビのバラエ
ティ番組を制作する際の配慮など、子どもの豊かな人間性の涵養を図るため、関係者の
理解と協力を強く求めたい。なお、企業と同様キャンペーンへの協力を求めたい。
3. 大人の一人一人
いじめの問題は、自己中心的な風潮や連帯感の希薄化、また「いじめは許されない」
ということを社会全体のルールとして確立すること、さらに、過度の同質志向の排除な
ど、大人の一人一人に対して大きな意識の変革を迫っていること。同時に、大人の一人
一人が、それぞれの立場で、その責務を自覚し、まず可能な取組を行うことを期待。
|