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根羽沢 湯沢(片品川) '03/10/4・5(土・日) 渡部・河西・斉藤
記=斉藤
見上げた岩壁の先に真っ青な空と秋の雲が浮かんでいた。
ルートは半身ほども上がったところにある灌木をまたぎ、数センチのエッジに立ち
左に2メートルほどトラバース、その左斜め上にある小さな灌木までが3メートル程か?それを越えるとやや傾斜もゆるくなる。その先に樹林帯とも呼べない
まばらに木が生えている場所があるが、その先が山頂だろうか?
中流域の穏やかな渓相とは違い、頂上付近は急峻な笹薮と岩と木の根がたよりの登攀だった。
かろうじて歩いてきた壁際のバンドもズッポリと抜け落ち、岩壁をトラバースぎみに登らなければならない。
ゆえに、灌木をまたいだ先からは、抜け落ちたバンドの上を行くことになり、落ちたら相当な落差になる。
私には垂直にも見える壁だが、他に弱点はなさそうなのだ。
最近は妄想癖に引きこもり症も併発しているヒッキー渡部にビレイを任せ、一本目の灌木をまたぎ、トラバースに移る。中間にあるエッジはしっかり立ち込める。
さて次の一手は・・・と考えている時、そのエッジは座布団ほどの塊となってはがれ落ちた。そして私も一緒に落ちた。
初めてハーネスにショックを感じた。
・・◆・◆・◆・◆・・
夕べはカラノマタ沢出合いから少し入った川原に幕を張った。幕場には困らないとの情報だったが、三ツ星の幕場は少なかった。
それでも日程に余裕があるので、刈りとった草で荒れ気味の川原を整地し、「あーでもない、こーでもない」言いながらタープを張り、グリルマスターの席をしっかりと設えて、どっさりの薪を集めて・・・そうそう、カワニシは働き者だ。黙々と薪を集めていた。なんでいい旦那が見つからんのかなぁ〜?いい女なのになぁ〜?ホントいい嫁さんになれるのになぁ〜。やっぱ「いい」の前に「どーでも」が付いちゃうのがマズイのかなぁ〜?そんな他愛もない冗談を言いながら、焚火と鍋を囲み酒を呑む。やっぱりフルメンバーの山行は楽しい。(といっても3人だけど)
で、なんで日程に余裕があるかと言うと、日帰りの沢だからだ。
今回のルートは大清水から、湯沢に入渓。沢中で一泊し、翌日は物見山経由、鬼怒沼湿原で燧ケ岳でも眺めながら昼飯でも食って、のんびり下山後、片品温泉で汗を流す、ヒッキー渡部のリハビリも兼ねた完璧な?計画だった。
土曜の朝、東京を発った我々は、お昼前に沼田街道どんずまりの大清水に着き、すぐに入渓すりゃあいいものを、生ビールの誘惑に負け、物見茶屋でジョッキ各3杯を摂取。「焼酎ボトルキープする?」なんて言い出したヒッキー渡部を誰が制するのか?そういう俺も呑んじゃってダメだしぃ・・・いやカワニシがいる!と思うも、ジョッキ1杯を呑み干したカワニシも、すっかりすみ放の一員なわけで、そんなこんなで、千鳥足なのか体力不足でふらつくのか青い顔をしたおじさん二人はカワニシの罵声をあびつつ林道を歩き、入渓後1時間も行かない場所で「ビバーク!」を宣言したわけなのである。
翌日、夜半ぱらついた雨はやんだが曇り空。しかし、9時も過ぎる頃「撤退しちゃおうかなぁ〜」の雰囲気を醸し出す我がすみ放に、「ハヨ
行かんかい!」とばかりに空は晴れ渡り、お日様に追い立てられるように幕場を後にした。
幕場からしばらく行くと左に緩やかなスラブが広がる。日に照らされた緑鮮やかなコケの絨毯が、「ヤスンデケ〜〜ヤスンデケ〜」と言うので、大休止。
なにせ、始点の大清水がすでに千メートルを越しているわけで、のんびりのんびりなのである。
湯沢はナメのキレイな沢だが、中流部以降はボサが多く歩きづらかった。
地図に見る源頭部はかなりコンターが詰まっている。奥の二俣を左に入ってから、できるだけ登山道のある右岸寄りに進路を取るつもりだったが、右岸はほとんど壁だった。
見上げる壁に張り付く木々は見事に紅葉して秋の深さを感じさせる。
まだ、ここまでは余裕があった。
「帰りにまた茶屋
寄っちゃう?」茶屋のオネーサンが気に入ってしまった渡部がそんなことをのたまうほど余裕だった。
やがて、沢は傾斜を増し、冒頭の滑落現場へと続くわけである。
・・◆・◆・◆・◆・・
座布団ほどの岩の塊は、ビレイする渡部の横を抜け、谷底へと落ちていった。
カワニシが「こえ〜〜!」と声を上げる。
俺はもっと「こえ〜〜!!」かった。
またいだ灌木が支点になった。渡部にロープを引いてもらい、オタオタと登り返し、振り出しにもどった。
トーゼンもう一度チャレンジする足場も無く、懸垂下降で少し降りて、もう一つ左のルートを取るが、そこもどんづまり。
「ホント、ここ初級の沢か?」猜疑心ムクムクするが、灌木の隙間から垣間見る先は岩壁がず〜〜っと広がっていて・・「やっぱムリ?」という気になる。
こんな時でも腹が減るカワニシに言われ、とっくに昼も過ぎていることに気づく。
オープンサンドにポタージュスープ。こんな時でもしっかりお食事をとりながら、冷静に考えるも打つ手なし。
食事をとった場所からも、やや窪状にルートが有りそで無さそだが、灌木の先には岩壁が見え隠れ。
下手に突入するとタイムアウトは必至と判断し、すみ放定番の「撤退」と相成った。
腹も一杯になったことだし、脱兎のごとく下山開始。
せっかく登った10mルンゼ滝を懸垂下降、登ったルートだから当たり前のように簡単にクライムダウン、幕場まではトントンと来たが、そこからが悪かった。
前述のとおり、初日の幕場までのルートはヨッパライおじさんの記憶にないところ。
今更あせってもしょうがないが、完全に日も暮れヘッデン沢下降。さすがの渡部もルートミスを繰り返す。
結局、疲れると無口になるカワニシの「コッチ」「ソッチチガウ」「コンナトコトオッテナイ」などの適切な指示で入渓点まで戻り、事なきをえた。
真っ暗な林道を歩きながらオジサンふたり、
「もうお茶屋さん閉まっちゃったかな?」「生・・ビール・・・やっぱムリ?」
今季最後の沢、まさに典型的すみ放山行の顛末でございました。
10/4
11:00 大清水駐車場着 物見茶屋にて生ビール多量摂取 オネーサンと世間話/12:00 オネーサンと記念撮影後出発/13:00 入渓点通り過ごししばし戻る。すぐの6m右岸巻き入渓・ゴルジュ水線通し不可 左岸明瞭な踏跡を行く/13:40 カラノマタ沢出合・手前のナメ床が美しい/14:00 幕場・宴会モード 夜半雨ぱらつく 吐く息が白い。
10/5
9:20 幕場発/9:35 地図上の二俣 左に入る・左岸は岩壁がつづく/10:40 奥の二俣 左に入る/12:30 壁トラバース失敗・別ルート突入失敗・しばし戻り昼食/15:00 撤退/17:00 カラノマタ沢出合/18:30 入渓点/19:10 車着
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