大幽西ノ沢(南会津 黒谷川)   '99/8/12   渡部・斉藤     記=斉藤

曇り時々晴れ→雨


体温計を見ると39度5分だった。
昨年は大雨であきらめた丸山岳。(結局、ルート変更した湯檜曽でも悲惨なめにあったのだが)今年は、ここまで夏らしい日がつづき、絶好の沢日和になりそうだが・・・・・・・その前日に発熱した。
“よくいるんだ・・・・学校の行事の前とか、旅行の前に熱だすヤツ”・・・・・ソウソウ、そういうヤツです。あたしは。
でも、とにかくこんな体じゃ沢に行けないので、近所の病院で注射を打ってもらい強引に熱を下げた。
しかし注射で一気に下がった熱は、その夜また38度に。
結局、予備日を使うことになり相棒の渡部には申し訳ないが、1日様子をみて出発することにした。

8/11

19:00頃、只見に着く。駅前に駐車し今宵の宿とする。道中、数時間おきに計っている体温は36度台で安定しているが、天気のほうは不安定で新潟に入ってから降り始めた雨は強くなってきた。
本来の予定では、今ごろ西ノ沢中流域で幕を張っているはずだが、この雨では難儀していただろう。
ラジオの予報によると、台風9号くずれの熱帯低気圧が悪さをしているようだ。
駅の街路灯に大粒の雨と大きなコウモリが舞っていた。

8/12

目覚めると雨は止んでいたが、重苦しい雲がたれこめている。
朝飯を食いながら、渡部と作戦会議を開き、丸山岳をあきらめ西ノ沢を釣りがてら偵察することにした。
熱は下がったとは言え、病み上がりの体には順当な判断だと思う。
黒谷の林道を進むと、駐車スペースに釣り師の車が4台ほど止まっていた。釣り師に大幽沢の出合を聞いてみたが要領を得ず、沢を降りてみるとそこが出合だった。
身支度をし出発前にもう一度検温。36度7分・・・・安全日かしら?
出合には“大幽橋”がかかっており、その先に仕事道が通っていた。
沢沿いに行くものだと思い歩き出すと、早速メジロアブのお出迎えを受け、今回持ってきた新兵器“ハッカ油”を塗りたくるが、まったく効果なし。
しばらく進むと沢から離れだしたので、すこし戻り、沢に降りた。
沢に降りてもメジロ君は大挙して押し寄せてくる。同じ山域の袖沢のメジロもすごかったが、どうも黒谷のメジロのほうがキモチしつこいようだ。
平坦な河原がしばらく続くが、沢床が赤くなり始め、硫黄のような匂いがすると、その先に取水堰が現れた。
堰堤をこえると沢は元に戻るので、あの赤いものは取水堰の側からでているようだ。
メジロに囲まれ一本つけて、小さいゴルジュとゴーロ帯を抜けると二俣に着いた。
 ここから竿をだして、のんびり釣り上がることにする。
釣り師の先行者がいるのか、所々に新しいゴミがちらかっている。いつ見ても腹の立つ事だ。
結局、私が5寸ほどのイワナを上げリリースしただけで、渡部は途中から竿を仕舞い地図を眺めながら進んでいた。
実は、このあたりから空は明るくなり青空も見えてきて、なおかつ釣り上がりながらもいいペースで進んでいたのだ。
渡部は丸山岳を意識していたのだろう。
お昼頃、明るい場所で軽食をとり、現在位置確認をした頃には黒谷の森の精気で私の体調もだいぶ回復してきていた。
気合を入れれば丸山岳を狙えると思い、竿を仕舞い遡行に専念することにした。
当初の計画では、11日西ノ沢中流域泊、12日丸山岳山頂泊、13日東ノ沢下降、14日予備日、15日家族でオデカケ(厳守!)By渡部 だったのだが、私の発熱で1日ずれている。予備日はないのだ。
そこから先は、腰までのへつり、ショルダーで水線通しで進み、手前に広い河原のある黒河原沢をみて、屏風沢へと進むと傾斜の緩い右岸に不安定な雪渓が現れた。

雪渓を過ぎると、小さなゴルジュに小滝がかかっている。
状況からみて、滝は直接登れそうにないので、渡部が左岸を小さく巻こうとするが、ホールドに乏しくうまくいかない(左岸上部に残置あり、たぶん懸垂用)、手前を登っても、3mほど上の草付き自体傾斜が強く巻けそうにない。
いろいろやってみたが、結局右岸の巻きに入る。
渡部が手前ルンゼの巻きに入っているところで、一思案。
時計は14:40?空はにはまた雨雲が?この高巻きで小一時間はかかる?(左岸の巻きにこだわったのは、右岸の巻きは大高巻き懸垂になり時間がかかるから)この先、幕場適地はどの辺にどの位あるのか?ウンコがしたい!
以上、勘案して下山体調じゃなかった下山隊長として、巻きに入っている渡部に声をかけ「帰ろう」を提案した。
降りてきた渡部も、高熱の後遺症が残る私をみて「そうすっか」ということになり遡行を終了した。
そう、スケベ根性で登ってはいけないのだ。なんたってここは西ノ沢なのだから。
下降途中、ウンコ中にキ○○マの裏をメジロに刺されるアクシデントはあったものの、無事クルマにたどり着いたとたんに雨が振り出した。
“ナイスジャッジ”思わず二人でつぶやいた。
出発前の発熱。玉袋メジロ刺され事件。渡部のお手々グローブ事件(これもメジロ君の仕業)。こんな天気に休みを取った。などなど不幸な事件が続いたが?結果オーライ、人生イロイロである。
雨はその後も強くなり、帰りの車のラジオで東北地方の雨の被害を聞いて改めて胸をなでおろした。
ちなみに、私の発熱の原因は山行前に子どもとプールでゴルジュ突破訓練をやりすぎたからという説もある。
丸山岳は今年も遠かった。


7:30大幽沢出合着/8:20同発/9:10取水堰(手前数十メートル沢床赤い)/9:50西ノ沢出合(二俣)ここから先メジロ少ない。途中1時間ほど昼食休憩/13:45黒河原沢(傾斜緩く倒木多い。手前広河原あり)/14:10屏風沢(先、右岸雪渓あり)/14:45屏風沢先小ゴルジュ小滝、右岸巻き途中、終了(下降)/16:30東ノ沢出合/17:45大幽沢出合(終了)