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カヌ沈隊きのこ美味美味山行同行記
(柳小屋) ’01/10/20・21
記=斉藤
両日 とってもいい天気♪
冷え込む夜、礼服、黒のネクタイ、まんじりともせず座る葬儀の受付。
目の前にはカミソリみたいに細い三日月。
「なんだか斜にかまえて俺をあざ笑ってるみたいだ。」
ほんとなら今頃ヨコサワ君の車に乗って「運転いつでも代わるから!」なんて心にもないこと言いながら、プシュウゥ〜〜なんて缶ビールあけてたのに・・
あっ!番長も同じ車だったっけ。岩石の話でも聞いて“雲母”と“金”ぐらい見分けられるようなれたのになぁ。
しがない総務課員には会社の不祝儀爆弾は避けきれない。
呪縛その1。カヌ沈の入山前夜祭に参加したかった・・・
そう言えばカヌ沈BBSでは“呪縛その2・ヨコサワ参加微妙レス”が流れていたが。
同じ総務務めのヨコサワ君も会社の葬儀があったのだが、何とか係員の割り振りを回避したようだ。
やっぱり俺より足腰が強いのだろうか?
でもこっちのほうもなんとか明日の告別式の係員を拝み倒して代わってもらったので、半分被弾というところか?
通夜の手伝いを終え、焦る気持ちを知ってか知らぬか、居酒屋お清めで上機嫌の先輩方。
結局11時頃帰宅した。
10月20日
前夜のオザキ隊長との打ち合わせどおり8時半に140号線沿いの東屋に着いた。
カヌ沈の入山祝い会場だ。
「カヌ沈たち何時まで呑んだのかなぁ〜。大宴会だったんだろうなぁ〜。俺も混ざりたかったなぁ〜。酒呑んで、唄って、星見て、酒呑んで、ほんでまた酒呑んで・・」
今日の焚火宴会というメインがあるのに、酒呑みは意地汚く、また悔しさがこみ上げてくる。
なんだかやけにまぶしい朝日に照らされ、豪快に眠るカヌ沈のメンバーがいた。
周りには空の一升瓶やら、缶ビールやら、肴やら、酒呑みに係わるモロモロのものが散在してる。
(参加しなくて正解だったかも・・・)一瞬思った。
写真を撮っているとフカマチ君がもぞもぞと起きだしてきた。続いてヨコサワ君、トラ君、番長、オザキ隊長・・・・・ん?ひとり足らん。
呪縛その3・シュラフから引きずり出された○○さんは完全にいっちゃっていた。
傍らで黙々と共装を振り分けるヨコサワ炊事班長。心配する風のフカマチ君。「○○!オマエ最低だな!人間失格だぞ!立て!・・・・・・始末書だな」とオザキ隊長。
大の男自体を共装にするわけにもいかず、結局、○○さんそのまま車に詰め込まれ、入川ゲート前で放置された。
「○○!あとから来いよ!」オザキ隊長の一言で一行は柳小屋への道を進んだ。
「来いって言われてもあれじゃ無理かな?」と思いながら久しぶりの森林軌道を歩く。天気もいいし、前夜祭に参加してないからスガスガしい気分だ(安堵)。
しかし前を行くカヌ沈のザックはでかい!どれも80リットルはゆうに入るデカザックだ。番長にいたっては新潟から大鍋までザックにくくりつけて持ってきている。
硬派だ・・・まさに硬派だ。
俺の方はと言えば、山にゲストもホストもないのだが、客人扱いと言うことで、共装はブルーシートのみ。
それでもザックはパンパンだ。相棒の渡部に「おまえ山なめてるよ」と言われる公称35リットルザック。
赤沢谷出合いで一本入れる。
朝飯抜きの俺に気をきかせくれたのか(単にみんなも腹がへっているのか?)ここで昼食となる。
番長持参の大鍋にバーナーを二本かまし蕎麦を茹で上げる。
ツケ汁の味付けはヨコサワ炊事班長の出番。実は俺にとって今回の山行の楽しみのひとつなのだ。
なにやら色々な出汁材を袋のようなものに詰め込んでいく。かなりこっているようだ。
よく見ると袋にはヒラヒラのレースが・・・・
蕎麦が茹であがり特製のツケ汁で食す。
ん〜〜〜うまい!実はもっと豪快な味を想像していたのだが、繊細で奥深い味だ。
しかし出汁袋の正体「ヨコサワ君出入りのスナックのママ未使用ストッキング(ママ本人申告)」は間違いないとして「実はヨコサワ寮でコッソリ使用(本人否定)」の味が隠されているのを私は見逃さなかった。
腹を満たして、後から追ってくるであろう○○さんをしばらく待ち、結局来ないので出発。
赤沢谷からの急登後、ブナの森できのこ狩りをする。講師はオザキ隊長。
今回目当てのきのこはブナハリタケ。
しかし、すでに採られていたり、先日の雨で溶けてしまったのか、思ったより収穫が少ない。
きのこ狩りをしたことがないのでよくわからないが、オザキ隊長のヒミツの場所にも出ていないので、今年は不作なのだろうか?
結局、一握りのムキタケを袋に入れ柳小屋へと向かう。
途中、イノシシにあう。カヌ沈の面々も「はじめて見た!」と大騒ぎ。実は俺もはじめて見た。
「鉄砲がありゃなぁ〜。今晩ボタン鍋」「ウリ坊いないかな?ウリ坊」逃げていくイノシシに強気の発言。
しばらく行くと今度はクマが出た。俺の後ろを歩いていたヨコサワ君が叫んだ。
「クマだ!!クマ!」目の前のルンゼを落石を誘発しながらクマが逃げていく。
笛を吹こうとした俺を、ヨコサワ君が制した。
確かに驚いて落ちてきたら逆ギレされる。しばし様子を見た後、そそくさと山道を逃げた。さっきとエライ違いだ。
運動会の行進みたいにピッピキ笛を吹きながら足早に歩く一行はまもなく柳小屋に着いた。
建て直してから来るのは初めてだが、ずいぶん綺麗な小屋になっている。シートもあるけど今宵の寝床とすることにし、早速全員で薪拾いに行く。
盛大な焚火をかこみ、ヨコサワ炊事班長は仕込みにかかるが、「野菜はほとんど○○のザックだ・・・・来ねえかなアイツ」と残念そうだ。
間もなく、つるべ落しの秋の日は、なんの未練も無く闇とバトンタッチしてしまうだろう。
○○さんは今頃どこにいるのだろう?
友のため胃液吐きつつも「ゴボウ・ネギ・サトイモ・ハクサイ」を走りとどける。
野を越え山を越え沢を遡り、クマもイノシシもなぎ倒し。
走れメロスみたいだなぁ・・・・
オザキ隊長がそれを聞いて、メロスの裏話を教えてくれた。
熱海にいる太宰を奥さんに頼まれ連れ戻しに行った壇一雄だが、ミイラ取りがミイラになり、一緒になって散財し、結局太宰は壇を人質に東京の井伏鱒二に金を借りに行く。
しかしいつまでたっても太宰は戻らない。痺れを切らした壇がつけ売りの店に事情を話し東京の井伏宅に行くと、太宰は呑気に将棋を指している。
さんざん世話になっている井伏に金の無心を言い出せなかった太宰は、壇に「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」と言ったそうだ。
硬い結束で知られるカヌ沈隊。硬派ゆえに口ではさんざん悪態をついているが、みんな心配してるみたいだ。
ここでホントに登場したら、一発逆転ヒーローだろうなぁ。いや・・少なくとも始末書は免れるかも。
どっさりの焚火、豪快な炎の中、大鍋に具材が投入されていく。
ナス、厚揚げ、鶏肉、きのこ、手作りの味噌に、吟醸の酒粕。言う事なしの香りが闇間に漂う。
隣で番長が「あ〜〜!鶏とゴボウってあうんだよなぁ〜〜」向かいでヨコサワ君が「ネギぃ〜〜!」と絶叫する。
でもメロスが持ってる野菜も食べたかったが、俺には十分過ぎるうまい鍋だった。
酒が酌み交わされ、唄が出て、燃やしきれないほどの薪がある。空にはたくさんの星を従え天の川が横たわっている。夕べ俺を笑った三日月は谷間からは見えない。
当然いつ来るやも知れぬメロスも極上の肴になる。(笑)
贅沢すぎる、楽しすぎる時間が流れた。
知らぬ間に寝ていた。
オザキ隊長とヨコサワ君に起こされ、だらしなく千鳥足で柳小屋まで歩く。これでもかとくべられた焚火はまだ元気良く燃えていた。
「メロスは間に合わなかったみたいだなぁ・・・・」
山間低く流れ星が短く消えた。
10月21日
雨♪
あ〜め が降れば♪ がふれば 小川♪
おがわ ができ♪ ができ 風が♪ かぜが
吹けば♪ ふ〜けば 山が♪ やまが できる
できる ヤッホ♪ ヤッホ ヤホホホ♪
オザキ隊長の音頭で無骨な男どもの唄が山道に響く。
朝飯は昨夜の残り汁を使ったうどん。ヨコサワ炊事班長が微妙に味を調えた、これまた絶品のご馳走だ。
昨夜の残り酒を呑みながらも、たどり着かなかった仲間を心配してか、そそくさと撤収し、帰路につくカヌ沈隊。
カヌ沈は面白い。ふと思ったのだが、音楽で言えばジャズのセッションバンドなのだ。一見統制のとれた集団に見えるが、個々の持ち味がぶつかったり融和したり、好きに奏でる。
でも、山を愛し、仲間を愛す、硬派なんて今時古臭いこだわり、奥底でそんな共通点が得も言えぬ不思議なハーモニーをかもし出す。
もちろん聴いてる者なんか関係ない。それそのものが持ち味なのだなと。
帰りの山道も楽しかった。
ウィスキーをチビリチビリやりながら、日本酒をグビグビやりながら、ビールをゴクリゴクリやりながら、時折横切る沢の水をチェイサーに、酒の肴は当然○○さん。
まさか谷に落ちてはいまいと思っても、時々ザレた道の下を覗いてしまう。
「もう帰っちゃたかなぁ?」
「帰るったって金ねえべ」
「オザキの車ガラス割られてるな」
「直結でブ〜っと」
「いや管理釣り場で下手糞なオヤジの横に立って“ダメだなそれじゃ”なんて言って」
「指導料せしめてる?」
「釣り場の食堂で皿洗いのバイト?」
「ヤッパ帰ってるんじゃないの?」
「俺の車ないわけ?」
「電話代借りてカミサンに迎えに来さす・・・」
「あっ それかえって命取り・・」
「昨日は死んでるとしても、今日はつらいよなぁ〜」
「朝からシラフだろうし」
「食いもん持ってたっけ?」
「ザックにいっぱいコンビニ弁当が入ってるはずだ」
「それとネギ」 「ごぼう!」
「さといも!!」 「やっぱ軍法会議だな・・・」
「酒はなかったな・・確か」
「呑めんだろ・・あの状態じゃ」
「しかしなぁ・・」
「いたとしたらどんなリアクションすると思う?」
「あのさぁ〜オマエらねぇ〜」 「そりゃ俺だろ」
「あのねぇ〜だろ」
「さいとうサンはまだ来てないの?とか」
「完全逆ギレするんじゃないっすか?」
「いや結構愁傷に反省してたりして」 「ヤッパ帰っちゃってるかなぁ?」
「金持ってねえって」 「無理だな帰るのは」
「ちゅう事はいるわけ?」 「何してんだろ?」
「トラがいけないな」
「消えかけた火をあおるから」
「側溝にズッポリはまってましたよ」
「脳震とう起こしたんじゃないかな?ってくらい」
「でもまたムクッて起き上がって」 「“*p@♪!#&%+=;#♪”とか歌いながら」・・・・・「ヤッパいるかな??」
ゲートが近づくとみんなでドキドキしだした。
「待つ身が辛いか。待たせる身が辛いか。」・・・・
あっ!そうか!
今日は立場が入れ替わっている訳だ。
ん〜〜道徳の授業をうけたみたいだ。勉強になる山行だ。
しかし、どうしてるかなぁ〜?ヤスさん。
ゲートを過ぎしばらく歩くと、いかつい男どもの肩越しに、ひとりうなだれるメロスがいた。
硬派野営集団
カヌ沈隊 Website http://www2.plala.or.jp/tankentai/
(検閲:カヌ沈隊 ヨコサワ炊事班長)
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