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硫黄沢(南会津
実川) '04/8/12〜14
すみ沈隊 横澤・一枡・渡部・河西・斉藤 記=斉藤
12・13晴れ 14晴れのち曇り一時雨
「あっ!光りました!パッシングしてください!パッシング!」
夜の首都高でカワニシが小さく叫ぶ。
運転する渡部のパッシングに、前を走る運転手の頭頂部が光った。
実は、我々すみ放は夏合宿のため南会津に向かっているのだが、直前にカヌ沈隊のヨコサワ君、やっさんの飛入り参加があり、渡部を交えた初の「すみ沈隊山行」となったのだ。
前を行くのはヨコサワ車。やっさんも同乗している。
すぐヨコサワ君から電話がはいる。
「なんかありましたか?」
『いや、その、あの、なんでもない。なんでもない。』
しかし「光りました!」も失礼だが、パッシングする渡部も渡部だ。
昨年、盆山行に選んだ硫黄沢は、雨のため敗退というか中止。弱っちく蕎麦食って温泉入ってすごすごと帰ってきた。
異常な冷夏に
どこの会も同じようなもんだったようだが。とにかく今年はリベンジ山行なのだ。
桧枝岐までの道のりは遠いが、後ろの席でよだれをたらしてると近い。懐かしい桧枝岐の村落を通り過ぎ、七入の駐車場に到着。
予想より早く深夜2時に着いたが、酒呑みすみ沈隊、お約束の入山祝いは欠かせない。ヨコサワ君が作る肴でマッタリと酒を呑む。
一面の星空が明日の天気を約束してる。そして
やっさんの肩越しにはニタリと笑う三日月が・・・スワっ!大虎の出現かっ!と思ったが、宴の夜は静かに過ぎていったのであった。(参照)
8月12日
昔の木造校舎のような趣の七入山荘を見送り林道を進むと大きな堰堤が見えてくる。
堰堤前にいた釣師と世間話。
硫黄沢は源頭部まで魚影が濃いが数箇所悪場があり、釣師達はとなりの赤法華沢から尾根越しに入るらしい。
右側から堰堤を登ると対岸に道が見えた。水量も少ないので堰堤を渡り遡行開始っ!・・なんてカッコはいいが、ガツガツ登れば1日で抜ける沢で2泊しようってんだから、いい幕場であれば堰堤の脇でも「ビバーク!」宣言してしまう典型的「すみ放流山行」なのである。
そういえば特記事項。アブがまったくいなかった。代わりにトンボが飛んでいた。
例年にない猛暑と集中豪雨で盛りの時期がずれたか、はたまた全滅か?
アブアブ地獄をカワニシに味わわせてやりたかったが・・・残念っ!

バックウォーターの川原を進むと渓は狭まり、いくつかの滝、きらめく瀬が交互に続き飽きない。
地形図では想像しにくい枝沢が右から何本か入ると、大きくねじれた滝に出る。水量も多く立派な滝だ。地図上では二俣の先にあるはずだが、形状からするとこれが蛇滝か?この滝は左からねじれに沿って越えられる。
そこからしばらくいくと、二俣にでる。右俣には苔むした5メートルほどの滝。左には森に囲まれた本流が続く。何度来ても南会津の森の豊かさには感動させられる。
ところで無知を恥じずにいうが、ここらへんは尾瀬なのだろうか?と思いネットで調べてみたが、尾瀬は
【群馬・福島・新潟の三県にまたがり、尾瀬沼(面積1.7平方キロメートル)・尾瀬ヶ原を中心に燧(ひうち)ヶ岳・至仏山などの周辺山地を含む地域。海抜1400メートル内外。日本最大の高層湿原。ミズバショウ・ニッコウキスゲなどの湿地植物の宝庫。日光国立公園の特別保護地区に指定されている。】《goo国語辞典より》
ほう、日光国立公園の一部なのであったか。それで特別保護地区なのだな。で特別保護地区とは?・・・とか考えていると先に進まなくなるのでやめる。
で結局、この硫黄沢は尾瀬の主峰
燧ケ岳に続くわけであるから、きっと
どっかから尾瀬なのだろう。
二俣の大きく張り出した岩盤が気持ちいいので、すこし早めの昼飯にする。
ヨコサワ炊事班長が手際よく作った豚角煮入りソーキソバをすすりビールで乾杯。
今回はカヌ沈二人のデカザックに酒と食い物がギッシリ詰まっているのだ。ウシシ。
昼飯食って一服してる間に、やっさんが目の前のポイントに一投。すぐさま岩魚を抜き上げた。さすが狩猟班長。
ただ型が小さいのでリリース。
一服後早くも幕場を探しながら登ることにする。予定ではカヌ沈両名は14日に用事があるので、1泊でお別れ。明日は同沢を下降して帰路に着く手はずになっている。
竿をだしたやっさんとヨコサワ君を先頭に釣りあがる。岩魚は数はでるがどれも小さい。暑さで上にあがったか?
しばらく行くと釜を持つ5メートルほどの滝が2個続く。
さっきのねじれ滝のほうがそれっぽいが、他に大きな滝もなし、これが地図上の蛇滝だろうか。
次の滝は10メートルの直瀑。
右岸は手が付けられないし、巻きも大高巻きだ。
左岸は中盤までは問題ないが、上部水流脇は岩がもろく直登は無理。
渡部がロープを引いて回り込むように草付を巻き登るが、てこずっているのか、なかなかOKの笛がない。
あとで聞いたが、ビナとスリング、ついでに息も切れたそうだ。
時間がかかったが半フィックスしたロープでやっさん、ヨコサワ両氏が登り、カワニシと私はトップロープで水流脇の垂壁を登る。
ぐらつくスタンスに身を預け
だましだまし登ったが、あぶなくてノーロープじゃとても登れるもんじゃなかった。
そんなわけで、なんだかんだと小一時間使ってしまった。
まっ昼間から宴会の予定が、もう2時半。通常ペースの幕場探しになった。
ちなみに、ここらへんでカヌ沈二人がロープも地図も持ってないということが判明し、彼らの沢下降の帰路はなくなったのであった。
大滝の後はちょっとしたゴルジュ帯を高めにへつる。ちょっと岩がかぶり気味でむつかしい。というか俺の腹がかぶってるのか?まぁそんなこたぁどうでもいい。
そこを過ぎると沢はひらけ、右岸大地にちょうどいい幕場を見つけた。
ブナの森にタープを張り、川原を土木工事。快適な宴会場を作って、宴の下準備にはいる。
すみ放の出し物は「野菜たっぷり鶏つくね鍋」カヌ沈は「手羽の味噌漬け」と「ラム味?の牛肉(←ちょっといっちゃってた模様)」
そのほかヨコサワ炊事班長が細かく繰り出す肴に、ビール、日本酒、芋焼酎、ウイスキーに、まぁ
とにかく贅沢な宴となった。
その間、岩魚調達に行ったやっさんが戻ってきた。
どうやら獲物はなさそうで、カヌ沈的には「ヤス帰ってこねーなー」と出迎える・・というより釣れるまでシカトするそうだが、我々すみ放、大人だから、やっさんの労をねぎらいビールを勧める。
やっさんいわく夕まずめでも、チビしかでないようだ。
「ほんじゃ
俺が行ってみっか」と足元定まらぬヨッパライなのにビーサンひっかけ舐めきった態度で釣りのぼったが、案の定ビーサンを流された。
「クゥワニシィー!!ビーシャン流されたー!!取ってくでー!」って叫んでも、最近代表の座も近いと言われ、やや態度の大きくなったカワニシは微動だにしない。
代わりにもう一人のヨッパライ ヨコサワ君がひょこっと立ち上がり走ってくる。
そしてまっすぐ走れないヨコサワ君はニコニコしながら紙芝居の人形みたいに沢に倒れ込んでいくのであった。
8月13日
めずらしくカワニシが一番の朝寝坊だった。
起き抜けの一言が、黄金のエルドラド帰りのやっさんに「で?どうなんすか?で?どんくらい出たんすか?」だから
やっさんに「すみ放入って壊れてきましたねぇ。さらに」なんて言われてしまう。
朝飯は冷飯に夕べの鶏鍋スープと銀座のママにもらった海苔をかけた雑炊。キュウリと梅干、ヨコサワ君特製ナスの浅漬けでサラっと食す。飲酒明けの朝に最高。ちなみにナスの浅漬けは残り物の蛸塩辛とコチジャンが入ったチャレンジメニューだったが、ナース好きの渡部には好評だったようだ。
朝からうまいもん食って、なにより天気がいいのもうれしい。
幕場を撤収し、本日ものんびり釣りあがる。中流部以降は大きな滝もなく、いかにも岩魚がいそうな渓相が続く。今日は型も上がってくるだろうか。
やっさんの仕掛けはフライ。ラインを短めに持ち、小さい落ち込みに正確に毛鉤を打ち込んでいく。おまけに1mほどの至近距離から岩魚を引きずり出すその技に
私も渡部も感心することしきり。
一方ヨコサワ君は餌釣りの仕掛けに毛鉤だがまだ釣れない。
やっさんが
「毛鉤が悪いんじゃねえの?見せてみ」
「うわっ! なにこれ?」
『ペコペコ毛鉤』
『・・・釣具屋で10個ぐらい入ってて400円ぐらい。箱にペコペコ毛鉤って書いてあって台湾製』
「・・・・・それって、台湾の人、なんだかわかんないで作ってんじゃない?“これはアクセサリーだ。間違いないっ!”とか思いながら」
「“ツレナクテ スミマセンっ !スミマセンっ!”って言いながら巻いてるとか」
『で、ペコペコ毛鉤?』
「・・・・・うひゃひゃひゃ!!」
 みんなで大笑いした後、やっさんの毛鉤に変えたヨコサワ君が7寸ほどの岩魚をゲット!「幼魚虐待」執行猶予の身だが、腕がいいのかやっさんの毛鉤がいいのかわからんけど、あっぱれあっぱれ。
しばらくすると右から枝沢の入る小さな川原にでる。
ちょうど時間もいいので竿を納めて昼食の用意をする。
昼飯前に、やっさんも8寸ほどの良型を2匹キープ。帳尻をあわせるなんてさすが狩猟班長。
新鮮な岩魚の刺身に、カワニシ考案
梅とろろソーメン。2日目なのにビールもついてシアワセー。
ゆっくり食事を楽しみ、デザートの梨を食べおえると、そろそろカヌ沈組とのお別れだ。
読みではこの枝沢を行けば、最短で林道にあがれるはず。バスがうまくつかまれば御池まではあっという間だろう。
カヌ沈から余った食材や酒をもらい、名残惜しいが二人を見送る。すみ沈隊はここで解散だ。
 さて、いつものすみ放3人に戻り、先に進むとドーム状の釜を持つ滝が出る。左から巻き、沢がひらけたところで燧ケ岳が見えてくる。
沢床もだいぶ赤茶けた色になり、硫黄のにおいが濃くなる。
そんななかでも岩魚が走るのが見てとれ。生命力の強さに感心する。
次の二俣は確認できないまま次の二俣に出る。右の沢は沢床が茶色くなく水も澄んでいる。ここを左に行く。
全体的に地形図の水線は当てに出来ない感じで。水量が多く、沢床が茶色いほうを忠実に進んだほうが間違いないようだ。
白樺やダケカンバなど植生の変わってきた森を小川のように水が流れ気持ちがいい。
曲がりくねった沢の左岸に幕場によさそうな大地があった。行ってみるとそこは長池のはずれ。
ゆったりと銀色に波打つ草原にオゼミズギクの黄色い花が控えめなアクセントを添え、その向こうにはくっきりと燧ケ岳が望める。
「決めっ!」「もう
ここにキメっ!」渡部が言うまでもなく、みんなでザックを降ろす。
まだ2時だけどドッカと仰向けになり、みんなで昼寝を決め込む。
その夜は、空一面の星を肴にまたまた最高の酒を味わうことができた。
8月14日
いい加減に寝たので寒さで目が覚めた。煙草を喫いながら時計を見ると4時だった。
私は里でも山でも、この夜とも朝ともいえない暁闇の時が好きだ。・・いや里ではカミサンへの言い訳と罪悪感を覚えながら朦朧としていることが多いが・・・
うっすらと見える燧の山際がほんの一瞬にじんだのは、デイダラボッチが夜の彷徨からシシ神に戻ったからか、風もないのに草木がゆらりと揺れながら空と交信している。山の中にちっぽけな自分を置くと、この草原も山も水も
そこ転がる小さな石も生きている。ハッとそんなことに気づくのだ。
なんてことを思いながら、にぎりっ屁で他の二人を起こし、朝食の用意をする。グリルマスターは強いのだ。
もうここは尾瀬だろうからってわけじゃないけど、お洒落に「茹でたてパスタにアンチョビクリーム」「ほうれん草ポタージュスープ」なんかを気取って食べ、本日ものんびりスタート。
沢は笹と潅木の枝が覆いボサがきつくなる。もう、あとわずかで林道なのはわかっている。
前を行くカワニシが、沢旅の名残を惜しむように
ゆっくりゆっくりと歩を進める。
「コンニャロ!オリャ!テッ!コノヤブッ!チクショメ!ほーとー!」
あっけなく林道に出た。
御池から沼山峠休憩所を結ぶ林道はマイカー規制がされており、時折バスが通るだけだ。
折りよく、これまで照りつけていた夏の日が翳り、林道歩きに丁度いい風が吹いてきた。
車さえ通らなければ、林道歩きも乙なもの。
蛇のヌケガラを拾ったり、道路わきの湧水でのどを潤したりしながら、一時間ちょっとで沼山休憩所に着いた。
ビールを買って、デッキで乾杯すると、これまたタイミングよく雨が降ってきた。
今回はほんとに御天道さまさまだ。
呑みながら見ていると、次から次へとバスが来て、客を吐き出していく。
中には本格的な装備の人もいるが、ほとんどが普段着の人たち。
「完全な観光地だな」
そんな観光客を眺めながら、冷たいビールを数本呑み倒し出発。すると
またまた日が差してくるのだった。
七入への沼田街道は崖崩で通行止になっていたが、休憩所の主人に聞くと大丈夫という。でっかい通行止の看板は観光客用か?
誰もいない登山道、雨上がりの森をゆっくり味わうように下山。沢旅を締めくくる最高のフィナーレであった。
・・◆・◆・◆・◆・・
七入の駐車場で着替え、桧枝岐まで車を走らせ蕎麦屋にはいる。
桧枝岐歌舞伎の幟がなびく街道を見ながら、数年前桧枝岐の人々にお世話になったことを懐かしく思い出す。
そういえば最近、群馬県の片品村が「戸倉」を「尾瀬」に地名変更する計画に桧枝岐が待ったをかけた記事を読んだ。
尾瀬がまたがる3県には「尾瀬」の地名はなく、ひとり占めはズルいんじゃないのということらしいが、それよりも私は「戸倉」という地名を簡単に捨ててしまうことのほうに首をかしげてしまう。
「平成の大合併」のもと全国の市町村が繰り広げている合併やら地名変更は、なんと味気なく大人気ないものだろうか。
歴史や土地を体現するいわば文化遺産である地名を、行政や住民の利害やエゴで簡単に変えてしまっていいのだろうか。
まぁ
そこの住民でもないから、とやかく言えないが、「尾瀬の裏玄関」なんて言われている桧枝岐とすれば当然ひとこと言いたいところだろう。コインやフライパンじゃあるまいし、山に表も裏もないんだから・・・
『あれ?どっちウラだっけ?』
「やだぁ〜、まちがえないでよぉ〜 こっちオモテでしょ?」
『いや、おまえが明るいと恥ずかしいっていうからさぁ。暗くて・・』
「なにやってんのよぉ〜!あんた男でしょ?パパっと着けられるように練習しときなさいよー!」
『この出っ張ってるほうがオモテだからぁ〜』
「ちょっと見せなさいよ〜・・(ガサゴソ)・・違うわよ〜こっちがオモテよ〜」
『??いや、だからさぁ
おまえから見てオモテなの?俺にとってオモテなの?どっち?』
・・・日本最大の高層湿原「尾瀬」を守ってきた仲なんだし、ここはひとつ
これからもラブラブでやってもらいたいわけですよ。
8/12
8:00 七入駐車場発/11:00 ねじれ滝/11:20 二俣(3:1) 昼飯/12:30
同発/12:50 釜を持つ5m滝が2個続く蛇滝?/13:30
10m直瀑/15:00 右岸大地に幕
8/13
9:00 幕場出発/11:30 右から支流 昼食
カヌ沈2名とお別れ/12:45 同発/13:30
燧ケ岳が見える/13:40 奥の二俣/14:00 幕
8/14
8:00 幕場発/8:20 林道/10:00
沼山峠休憩所 ビール摂取/12:00 同発/14:00
七入駐車場着
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