Making Airfix 600th Scale Warspite Kit



船体、甲板の製作
主砲塔、高角砲の製作
艦橋、前檣の製作
飛行機格納庫、煙突付近の製作
仕上げ

 「世界戦艦史上の最強艦は?」との問いに多くの艦船ファンがそれぞれの答えを持っているだろう。アイオワ級、大和級、ビスマルク級・・・ 未成艦、計画艦も加えるとさらに議論が混迷するに違いない。しかし「もっとも活躍した艦は?」との問いには誰もあの「オールド・レディ」の名前を忘れることはできない。HMSウォースパイト。
 第1次大戦のジュットラントではビーティーの巡洋戦艦戦隊を壊滅から救った。第2次大戦ではそれ以上の働きを見せた。ナルビックの狭いフィヨルドに駆逐艦と共に突入し、10隻のドイツ駆逐艦を全滅させた。地中海ではカニンガムの旗艦としてスパルトヴィエントでイタリア艦隊を遁走させ、マタパンでは3隻の巡洋艦を沈めた。クレタ、サレルノではルフトバッフェに手ひどくやられたが、それでも持ちこたえた。本当に常に戦いの最前線にいるか、そうでないときは修理している時だけだった。X砲塔とスクリュー1本が使用不可能になってもノルマンディーで、ウォルヘレンでその主砲は火を噴き続けた。
 戦いが終わり、解体が決まってもウォースパイトは自らそれを拒否した。解体地に向かう途上嵐によりプルシア湾の岩礁に乗り上げた。しかし結局は解体業者の手から逃れることはできなかった。オールド・レディが完全に姿を消したのは1956年、第2次大戦の終結から11年目だった。

エアフィックス600分の1キットについて
 このキットの初めてのリリースは1963年です。だいぶ古いキットですが、この後に発売されたサフォークのキットと比べても全体の形の捉え方などはかなり上出来です。もちろんあのエアフィックスのキットですからデティールアップに薄々攻撃と大変な苦労をすることになりますが、絶対にそれに見合った個性的な作品が得られます。キットは1937年の第2次改装から大戦初期の状態となっています。最近の再版キットのインストでは「1944年のノルマンディー上陸支援」のタイトルで迷彩図がおまけされていますが、キットのままではこの迷彩は施せません。図そのものもダークグレイの範囲が間違って指定されていたり、このあたりの詰めの甘さが残念です。

資料について
 Raven,A., and Roberts,J. British Battleships of World War Two, Arms and Armour Press,1976:第2次大戦に参加した英国戦艦についての大冊。写真は大判でシャープ。第2次改装後のウォースパイトに関しては227ページから235ページにかけて写真と1943年の状態の中央部の図面が、また421ページに解体地に向け曳航中の写真が掲載されている。

 Raven,A., and Roberts,J. Ensign 4 Queen Elizabeth Class Battleships, Bivouac Books,1975:上掲書と同じ著者によるモノグラフシリーズの1冊。ウォースパイトに関してはあまり写真はない。センターの観音折りのクイーン・エリザベスのイラストがこの本の一番の売りでしょう。

 Burt,R.,A. British Battleships 1919-1939, Arms and Armour Press,1993:19世紀の砲塔艦から第2次大戦の戦艦までを3分冊で扱ったシリーズの最後の1冊。おもしろいことにヴァンガードは無視されている。37年の図面が右舷図、艦内側面図の他にリギング図が掲載されている。

 Tarrant,V.,E. Battleship Warpite, Arms and Armour Press,1990:竣工から解体までの生涯を綴った一冊。この本は戦闘記録や元乗員の証言に基づく本文記述が中心となっているが、写真も多く掲載されている。その他にも改造の内容やジュットラントでの被害記録なども掲載。個人的にはおすすめ。

 Butler,J.,G. Fighting Ships in Perspective, Ian Allan,1981:ウォースパイトの他サウス・ダコタ、ティルピッツ等計6隻の戦艦を収録。プルシア岩礁に乗り上げた後の航空写真が最後の姿を伝えている。

 Watton,R., The Battleship Warspite, Conway Maritime Press:コンウェイのアナトミー・シリーズの一冊。多数の詳細図が掲載されており、模型製作におおいに参考になる、はず。実は筆者未所有。

  BS Firma Wydawniczo Handlowa,1997:最近とみに元気なポーランド出版界。このシリーズは「なんとありがたい、こんな艦の資料まで出ているとは」と思わせる一方で「けっ、○○の焼き直しじゃねーか」と玉石混淆(本の出来と言うより本の企画の中身が)なのですが、かなり左舷図が掲載されているのがこのシリーズの偉い点です。ウォースパイトの本に関しては1943年の状態をメインに多数の図が掲載されています。水準には達していると思いますが、増備時期ごとの単装機銃のブルワーク形状の違いが無視されています。

 Military Model 3-4/95 Angielski pancernik HMS Warspite, Wydawnictwo Andrzej Hakinski:これまたポーランドお得意の精密ペーパークラフト。200分の1大型モデル。おすすめ。実は筆者も相当参考にしました。1942年のピュ−ジェット・サウンド工廠での修理後を再現してあり、階段状の塗り分けの2色グレイ迷彩(Stepped Disruptive and Concealment Type)がすでに印刷されており、制作者の気合いが感じられます。舷窓が左右で同じ位置だったり、煙突基部あたりが他の資料と解釈が違いますが、組立説明図がデティールアップの参考になります。

 季刊丸グラフィック第23集 写真集英国の戦艦:どぎつい巻頭着色写真でおなじみのシリーズですが、写真のキャプションなど現在から見ても高い水準にあると思います。写真の再現性はあまりよくありませんが、これだけ多数の写真が掲載されていればお得だと思います。

 戦艦ウォースパイト 井原裕司訳 元就出版社 1998年:先に述べたV.E.Tarrant氏の本の邦訳版。訳文の言い回しにいくつか誤りがある、図や写真を原書から転載する際に質が下がっている等の問題点が目に付きます。出版社さんも限られた予算の中で御苦労されているとは思いますが、何とかもう少し質の高い邦訳版を望みたいところです。とはいえ日本語で気楽に読める点は評価していいと思います。

 この他にも「世界の艦船」増刷がありますが、模型製作には写真点数が少ないのが残念です。しかし写真の再現性は非常に高いと思います。

製作プランニング
 その前に第2次改装後のウォースパイトの変遷を見てみましょう。
 1937年〜大戦初期:キットの状態です。スペイン市民戦争の時期はB砲塔に青、白、赤の帯が塗られています。41年頃は一時的に舷外電路がつけられていました(丸グラ98p)。先に述べた階段状の2色迷彩も41年には施されています(Tarrant105,109pp)。ところでRaven and Robertsの本では「507cと507b の2色」となっており、確かにライトグレイとニュートラルグレイの2色に見える写真もありますが、濃い方のグレイがダークグレイに見える写真もあります(Tarrant 111p等)。ふつう当時のイギリス海軍の2色迷彩はライトグレイとダークグレイの組み合わせが一般的のようですし、模型としてはこの組み合わせの方がメリハリがつくような気がするのですが、いかがでしょうか。

 1941年8〜11月:ピュージェット・サウンド工廠で修理。クレタでの被害の後にスエズ経由でアメリカに向かいブレマートンのピュージェット・サウンド工廠で修理を行いました。このとき以下の改装が施されました。●艦橋の信号甲板を後方に延長、提督艦橋を左右に拡張 ●前檣トップに271レーダーを装備、トップマストは短縮されロアーマストの後ろ側に移設、頂部に281レーダーを装備。後檣は延長され頂部に281レーダーを装備 ●主砲射撃管制器に284レーダーを装備、高角砲射撃管制器に285レーダーを装備。ポンポン砲射撃管制器に282レーダーを装備 ●B、X 砲塔上の0.5インチ機関砲を撤去●20mmエリコン単装機銃を11基装備(13基、15基説もあり) ●4インチ高角砲の周囲にブルワークを取り付け
 1942年:20mmエリコン単装機銃を4基増備(その以前にエリコンが何基装備されていたかは先のカッコ書きのようにいくつか説があるのですが、ともかくこの段階では単装機銃が計15基となったと考えてよさそうです)。271レーダーを273レーダーに換装、迷彩パターンは簡略化されました。
 1943年:エリコン単装機銃を16基増備(計31基)、カタパルトを撤去、飛行機格納庫は映画室等に改装
 1944年:副砲を撤去、284レーダーを274レーダーに換装、エリコン単装を4基撤去、エリコン2連装を4基装備(信号艦橋左右の36インチサーチライトを2連装エリコンに換装とのことですが、実際に装備されたかどうかは不明のようです。他の2基は後部艦橋の左右に装備されたようです 。)

 筆者は「迷彩マスキングが簡単、レーダー、機銃が装備されている」という理由で1943年の状態で製作しました。

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