東横イン事件について

 ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)や各地の自治体が定める条例などを意図的にかいくぐり、不正な改築をしていた東横インの事件で、驚かされたのは、良心のかけらもない利益追求の企業論理を露わにした社長の会見でした。

 その会見をテレビで見たときに、なんて酷い社長だ、こんなことを言っててどうなるかわからないのか、なんて馬鹿な社長だ、と多くの方が思われたはずです。同時に、全国に160ものホテルを持ち、客商売であるからには広報部くらいはあるはずなのに、事前に会見のリハーサルやって点検するくらいの仕事しないのか、と疑問に思いました。

 当然ながら、社長会見の様子はテレビで繰り返し流され、同社は厳しい社会的な批判を受けることになり、あわてて社長は障害者団体に謝罪をしたり、改めて謝罪会見をしたりしましたが、最初の会見と後の会見と、どちらが社長の本音か、本当に改心したのか否か、誰だってわかるでしょう。

 こういう様子を見て、「だらしない広報部」という当初の印象はもしかしてとんでもない誤りだったのかも知れないと思うようになりました。今までの社長の独裁的社内運営を聞くにつけ、内部で何を言っても、やり方を改めるようなことはなかったでしょう。そこで、社長の姿勢をありのままに露見させ、社会的な指弾をもって社長の放逐と会社の再生を図るという賭けに出た、広報部や一部役員の確信犯が最初の社長会見をなさしめたのではないか、とも思うのですが、考えすぎでしょうか。