偶然か
年末、米国産牛肉が食品安全委員会と厚労省・農水省の連係プレーで電撃的に輸入再開され、一部外食産業などが明るい新年を迎えたのも束の間、成田に着いた3箱の骨付き肉が彼らの1月余りの夢を砕きました。
正直言って、この第一報を携帯にもらったとき、私もただちに全面停止というのは信じられませんでした。と言うのも、厚労省の担当官は、違反が見つかっても輸入停止は当該パッカー(食肉と畜・加工業者)にとどまり、全面輸入停止に至るのは重大なシステム的問題が発見されたときだけ、と説明していたからです。脊柱の混入が見つかったことだけで、重大なシステム的問題と言えるのかどうか、むしろ色々な政治問題が惹起している中で、政治的に停止したように見えました。
ところが、その後、この違反事例は、外資系とは言いながら日本の商社がわざわざ脊柱の入った部位を発注したために輸入されたものとわかったのです。そうなると、話は全く変わってきます。
輸入再停止の翌日くらいに、米国政府は早々と、パッカーと農務省検査官が揃って輸出規制(日本向け輸出証明プログラム)を知らなかったからだと発表しました。それから一月近くして、農務省の調査報告書が発表されましたが、そこでも同じ説明で、「不適格な出荷の経緯は例外的なケースである」と言っています。
しかし、日本側から注文したものとすれば、それがたまたま40ヶ所あったパッカーのうちの一つで見逃されたという確率は、正しい注文をパッカーが間違ってしまう確率よりも、はるかに低くなると思います。間違った注文を、よりによってわざわざ杜撰なパッカーに出したと言うことになるからです。
年末に日本政府が輸入を解禁した直後に日本向けの輸出証明プログラムの認証が沢山のパッカーに出され、すぐに出荷が始まりました。農水省・厚労省が解禁直後に派遣した「査察」団が米国政府のお手盛りで10ヶ所余りのパッカーを「査察」している最中に、最初の荷物は成田に着いていました。米国側の説明では、解禁前から準備をしていたと言いますが、米国側の杜撰さ加減が、この脊柱混入でわかったと言うことでしょう。まさに重大なシステム的問題です。この程度の管理状態ですから、「輸出プログラムが遵守されるものと仮定した上で」なされた食品安全委員会の評価の信頼性が問われます。
ところで、米国側の杜撰さはともかくとして、日本の商社もなぜわざわざ脊柱の入った部位を注文したのか、ということが気になります。そこで、当該商社のホームページを見ると、驚くべきことに、「弊社の見解といたしましては、日本シイベルヘグナー株式会社がEVプログラムに対する認識がなかった、又、不正な注文を出したという様な諸説に対し、強く否定するものであります」と、米国側の主張に反論しています。本当のところはどうなのでしょうか。
それとも、米国側の杜撰さを知っていた勇気ある社員が、国民の健康を守ろうとして、すぐに違反とわかるものを輸入させるため、わざわざ脊柱の入った部位を注文した、という英雄的行為??