更新日 : 2002年 2月17日
尺八雑話(9)   「交通事故(1)」


平成12年の2月、交通事故に遇った。

午後8時20分頃、自宅の近くの変形五差路の横断歩道を信号が青になったのを確認して渡り始めたところ、横断歩道の真中辺で、前から突っ込んできた右折車に出会うことになった。

其の時の記憶は、まるで、モノクロ写真のように、?   舞い上がった、?  落ちた,?  左手が何かに引っかかった、?  黒い液体がどくどく手から流れている。?  地べたにころがった。といった断片的なものである。

丁度、同じ時期に交通事故に遇った芸能人が同じことをいっていたと後で家族から聞かされ驚いた記憶がある。

幸い、脳,内臓、脊髄の「三種の神器」がやられなかったので自分で携帯を自宅にかけた。女房が出た。「私だが、やられた」と言った記憶はある。其のうちにまわりが騒がしくなって、いろいろな人の気配がしだした。

その時点から救急車に乗せられ病院へついた時までが良く思い出せない。

病院でおろされ、看護婦さんやお医者さんの激しい動きがなんとなく記憶に残っている。これも後できいたのだが、其の時病院は土曜日の夜で、手術のスタッフの先生方への連絡が大変だったそうだ。自分にも先生があちこち電話していた光景はうっすら覚えている。

問題なのは左手の親指だった。バックミラーに引っかかって、体重が掛かってしまったせいか、大怪我で、骨髄に達していた。聞いた話だと、こうした場合確か6時間以内に手術をしないとばい菌が全身に回りかねず、そうなると大変なことだそうだ。

また、自分は帰りにジュースを一杯飲んでいたが、これが事態をややこしくした。
全身麻酔は水分をとるとかなり時間を経過しないとかけられないそうだ。6時間以内の壁と麻酔の壁の相反する問題が先生方を悩ませたそうだ。

其の時、先生が言った。「最悪左手の親指はあきらめるようになるかもしれない。」と言いながら,先生は右手でさっと、上から下へ、斜めに空気を払い、据物切りのような仕草をした。

とっさに尺八のことが頭に浮かび、先生、自分は尺八を吹いているからなんとか、指を助けてもらいたいと懇願した。    女房も指だけは何とかしてやってください。
と頼み込んだ。    ―続くー


  
じゅっぽんの ゆびがみなある ありがたさ

                                               
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