尺八雑話(2) 「あがるということ(1)」
舞台に上がると何故、あがるのか。
これは難しい問題である。
肩の力を抜いて演奏すればあがらないと良く言われる。
しかし、力が抜けない。抜ければこんなに苦労はしない。
大部前のこととなったが、初舞台の時である。曲目は乱輪舌で、もちろん単管ではなく、その他大勢の一員であった。
後ろの方に隠れるようにして座っているうちに、幕が上がって曲が始まった。第一音のツレが出ない。唇がぶるぶる震えている。全身の血液に対し、本人の意に反して顔面への集合命令がかかる。
客席の全員が自分だけに注目しているという大いなる?誤解に身を包み、この世の終わりとはこのことかと身悶えする。
考えて見ると案外あがるということの根源はこんなところにあるのかも知れない。
きゃくせきと ちがうせかいで あせをかき
蛙
更新日 2002年 1月 7日